谷津矢車(戯作者/小説家)

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谷津矢車(戯作者/小説家)
@yatsuyaguruma
戯作者(小説家)です。 代表作『おもちゃ絵芳藤』(文藝春秋)、『廉太郎ノオト』(中央公論新社)など。近刊『憧れ写楽』(文藝春秋)、『二月二十六日のサクリファイス』(PHP研究所)など。 実態は病的なスピッツファン。操觚の会会員。発言はすべて個人的見解です。
note.mu/yatsuyaguruma/…Born March 20Joined April 2012

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イチロー「合理的になるには無駄なことをたくさんしないとダメ」…手段の最適化を求める者は、目先の最適化を求めがちなので、長い目で見て進歩がない。 togetter.com/li/1936742 #Togetter 大変よくわかる。
ところで、 「スペイン風邪当時、日本の劇界や芸能界はどのように危機を乗り越えたのか」 を調べてみたいと思い立ったものの、図書館が開いていないことに気づき慄然。公共サービスが停止するとはこういうことだ。
数日前に会った後輩が拙作のオーディブル化を喜んでくれたのだけど、その弁が示唆に富んでいた。 「ぼく、本は読まないんですけど学び自体は好きなんで、オーディブル、すげー助かってるんすよね」 業界からは絶対に聞こえてこない意見だよな……。
以前、「お子さんに読書習慣をつけたい」というご相談を承ったことがあり、 ・家に家族全員誰でも手に取っていい本を差す本棚を作る ・子供さんに親御さんが本を読む姿を見せる ・お子さんが選んだ本にケチをつけない と提案したのですが(続く)
これは同業の皆様向けのご報告なのだけど、コロナで外出が難しくなってから谷津は筋トレに努めた結果、座り続けることによる集中力の低下が抑制され、結果的にアウトプット量が増えました(ブログなども含めて20000文字/日が余裕に)。人間は腹筋と背筋でものを考えているのだ!
「小説で感情をあまり書くべきではない」論については、「小説は核心に近い情報を形にしないほうが美しくなる」論だと思っております(し、小説講座にお越しの方にはそのように教えております)。
某編集者さんに、 「多章によって構成された小説を書き終えた時には、お話の区切りごとに原稿の枚数を数えて表にするといい」 と言われたことがあり、今、それを実践している処なんですが、いやー、びっくりするくらい問題点が明らかになりますねこれ……。
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スペイン風邪は日本においても相当猖獗を極めており、テレビがなく基本的には劇場などでの興業が大きな柱であったはずの往時の芸能界がどういう風に危機を乗り切ったのかという問いは、現代にも資するところがあるのではと思ったのだけど……。
ここのところ 「『無惨』という言葉が新たな意味を獲得してしまい、うかつに書けなくなった」 というモノカキさんからの報告を聞き、「そんな馬鹿な」と思っていたのですが、いざ己がその場面に直面すると、「せやな」となりました。うーん「無惨」。
平安時代に「天保」の元号が取りざたされたとき、「この元号を分解すると『一大人只十』、すなわち家臣が十人しかいなくなるという意味になるから駄目だ」という主張が通り結局採用されなかった故事があるので、元号についてあーだこーだ言うのはもはや日本の伝統であります。
そういえば、物語クリエイターの皆様。 『(面白さ)の研究 世界観エンタメはなぜブームを生むのか』(都留泰作 角川新書) 、マジで読んでおいたほうがいいです。ジャンルクリエイター(SFとか歴史とか)の方は 特に。
ようやくブックオフ騒動を追えたのだけど、これ、ブックオフとしてもいい迷惑では……。 だってこれ、発端の方が特定の本の価値を否認する文脈を付与する方向(←ここ大事)で「古本屋で購入した」と言っているわけで、普通の古本ユーザーの皆さんに罪悪感を与えかねない……。
TLで本の価格に対する議論がヒートしておりますが、わたし個人としては、本、かなり高い買い物になってると考えています。単行本だと安手のディナーくらいの金額になってますし、文庫だって既に昼ご飯一食分くらいにはなってるので……。
これ、聞き流してくれると嬉しいのですが、大河ドラマは歴史小説家にとっては確変的なお化け番組で、手元に大河ドラマに紐付けできそうなネタがある場合、企画の通しやすさが100倍は高まるのでマジありがたいんです。
Twitterで本の感想を書いていると業界内部の人からも「本業に勤しめ」「作家の馴れ合い気持ち悪い」などのご意見を頂くのですが、わたしとしては腹の内でうっせえわくらいのことは呟いております次第です(にっこり)。
一般論を申し上げるんですが、版元さんが不祥事とか社会的に物議を醸す行動を取ると、付き合いのある作家にも薄く広くダメージが入るんですよ。少なくとも、今日わたしはやるべき告知が出来なくなりました。
歴史創作の描写について「勉強が足らん」って言うの、止めた方がいいと思うクチなんですよね。なんでかというと、それが本当に作り手の不勉強によるものなのか、(実態を知りつつ)世間に通用するイメージを援用したものなのかは作り手本人にしか分からないところがありますので。
小説家としての司馬遼太郎の魅力の一つに「読者の脳内メモリを食わせない」作りがあると思っていて、だからこそ「余談だが」に代表される著者による語りが選択されているのだよなー、などとつらつら考える朝。
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初めまして~。 電子書籍って読書上級者向けのシステムだと思うんですよ。自力で興味関心を把握していて、自ら本を買い集めて、という。他人との記憶や習慣の共有のしやすさの点で、紙書籍はすばらしいんじゃないかと思いました。
創作物一般に言えることだと思うんですが、その創作物の「面白さ」と「描写の正しさ」は正比例の関係ではないですよね。極論するとこの二つは無関係で、「描写が正しい」からといって「面白い」わけではないですし、「面白い」からといって「描写が正しい」わけでもない。別レイヤーの話にすぎない。
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「他の箇所と比して枚数を費やしていない」ということは、そこがただの繋ぎに堕している虞があるということですし、(確固たる狙いがない限り)構造として美しくない、ということなのです(そしてそこに何かギミックを挟み込めるということでもあり)。これもまた小説TIPSか。
歴史クラスタの間で噂の『明暦の大火』(岩本馨 吉川弘文館)、とんでもない労作でした。「明暦の大火を境に江戸では都市改造が行なわれた」という歴史ファンには自明の言説に切り込みその実像を明らかにするとともに、なぜそんな言説が生まれ強化されていったのかにまで筆を伸ばす。
「現在、多くの作家には自己プロデュースが求められている」とはわたしがデビューした頃から業界に横たわっている「圧」なんじゃないかと思っているのですが、そのせいで損をしている才能があるんじゃないかと思うと色々辛みを感じる。
「若くデビューした作家さんは三十歳近辺で体の衰えや作品の伸び悩みを感じるので、三十歳代からその準備をしておいたほうがいいよ」とある作家さんからアドバイスを受け、二十代後半からずっとその準備をし続けてきた谷津でございます。結果としてうまくいっている感があります。
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わたしはこれを「厚み」と呼んでいるんですが、芸事を支えるものは小手先の技術や最短距離の「合理性」ではなく、全体の大きさ。もちろんお金を頂いて小説を書いている以上技術や「合理性」も大事なんですが、長く続けるには「厚み」が必要だなと常日頃から感じております。
なるほどなー。 実名報道の是非の件、原則論として「実名報道をして報道が事件を再構成しないと警察権力の発表をうのみにすることになって危険」なのだけど、マスコミの過熱報道への反発ゆえにその原則が絵空事に聞こえる、と。 Twitterの集合知、すごいな……。
『バイエルの謎: 日本文化になった教則本』 (安田寛 新潮文庫) がめちゃくちゃ面白かったです。ピアノの初学者向け教則本で絶大な知名度を誇っておりながらその実体が謎だらけだった音楽家の人生に音楽学者が迫る一冊。
『君に勧む杯 文豪とアルケミスト ノベライズ』 (仁木英之 新潮NEX)読了。元ネタ(文アル)未摂取勢で、著者が仁木英之(敬称略)というだけで手に取ったのだけど大変おもしろかったです。
拙作『蔦屋』(文春文庫)重版が決まりました。 お買い上げくださった皆様に厚く御礼申し上げます。刷り上がりまで少しお時間掛かります点、平にご容赦ください(市中在庫はある程度存在する様子なので、書店様に足をお運びいただけましたら)。
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文春文庫
@bunshunbunko
\\重版決定// #谷津矢車 著『#蔦屋』、重版が決まりました~ 2025年大河ドラマは、蔦屋重三郎が主人公の『べらぼう』。 本作『蔦屋』、スピンオフともいえる『憧(あくが)れ写楽』(単行本)、2冊合わせて、ぜひ予習にどうぞ
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『一つの時代を終わらせた制御不能の爆刷(バズ)りを体験せよ!』 大政奉還前夜、東海道沿いに降った御札の裏で暗躍する人々を描いた『ええじゃないか』(中央公論新社)、2022年9月20日、発売。
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「歴史小説、時代小説がミソジニーの逃げ場になっている」みたいな言説をちょろっとお見かけしたんですが、わたしに言わせれば、「そういう小説もあるっちゃあるし、めちゃくちゃミソジニーに喧嘩売ってる小説もあるよ」なんだよなあ。
ある編集者さんに、 「小説の発表形態が多様化しつつある中、ウェブでの無料掲載も含めて『一生小説を書き続ける』ことのハードルは格段に低くなった。その中で『あえて商業で書き続ける』ことの意味を考えなくてはいけませんよ」 とたしなめられたことがあって、わたしはずっとその答えを探している。
新人賞のコツ、かあ。 編集部の全体講評をしっかり読むことですかねー。 一般論を書いているかに見せて、編集部がどういう作家を欲しがっているのかをはっきり書いているので、全体講評を読むと自分に合っている賞かどうかチェックできる場合が多いですよ~。
スペイン風邪について調べていた頃、与謝野晶子が新聞にスペイン風邪を主題にしたコラムを二回寄せているのを知って読み比べたんですが、一回目に比べて二回目のコラムの与謝野さんが明らかにスペイン風邪疲れを起こしていて、2021年5月現在のわたしは「わかる……」となってます。
ところで、数日前、ネタ的に消費してしまった「作家は経験したことしか描けない」話ですが、 「一切小説を読んだことがないんですが小説家になりたいんです」 と宣う小説家志望者には「小説を読む経験はしたほうがいいよ」とアドバイスしちゃうわたしがいるな……とは思っております。
アトランダムにいわゆる「なろう系」作品を読むようになってから確信に変わったことなんですが、「なろう系」はライトノベルからエンタメ、一般文芸、もしかしたら純文学的な素養を持った人々が相乗りしている巨大な小説ハブ空港の様相を呈している”ジャンル”なんです。
妻と朝から話していて、上手くいかなかった仕事の共通点に気づく。揃って、編集者氏(発注側)が同じオーダーをしているんですよね。 「あなたらしい作品を描いてください」
今読んでいる本に非常によい一節があったので引用。 『「歴史に学ぶ」とは、過去に教訓を求めることではなくて、今を生きる私たちが、ものを見るとき、考えるときに、時間的・空間的な深度や遠近法をもって臨むことであると考える』(「史料としての猫絵」(藤原重雄 山川出版社 P103)
明日頃より、文庫版『蔦屋』(文春文庫)が発売となります(2014年刊行の単行本文庫化)。 颯爽たる若手版元、蔦屋重三郎と、丁寧な仕事が身上の老版元、丸屋小兵衛のバディ×お仕事×時代小説です。大河ドラマの予習にもなにとぞ。
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