小浜・京都ルートの課題

となると北陸新幹線の敦賀駅と大阪市との間は小浜・京都ルートで建設すべきだが、先に少し触れたようにこちらも課題は多い。

まずはどこを通るか見てみよう。小浜・京都ルートは敦賀駅と新大阪駅とを結ぶとして国土交通省鉄道局と独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)とが2024(令和6)年8月に「北陸新幹線(敦賀・新大阪間) 詳細駅位置・ルート図(案) ご説明資料」を発表した。

この資料には敦賀駅から新大阪駅までのルート図、さらには特に問題となる京都駅周辺のルート図がそれぞれ示されている。

計画されたルート図を見ると、敦賀駅から西南西に進んで福井県小浜市にあるJR西日本小浜線の東小浜駅付近を通り、ここで南西、そして南に向きを変えて京都市の西側を通過して京都府京田辺市にある松井山手駅付近を通り、南西そして西に向けを変えて新大阪駅を目指す。小浜駅付近から京都市内にかけてはすべてトンネルで、列車が地上を走る区間は存在しない。

京都駅周辺はさらに3つにルートが分かれている。東西案、南北案、桂川案だ。

京都駅までの苦しい3ルート

東西案は京都市右京区鳴滝音戸山町なるたきおんどやまちょう付近で桂川案と分かれて南南東に進む、さらには京都市交通局の地下鉄東西線の太秦天神川うずまさてんじんがわ駅付近で南北案とも分かれて南へと行く。阪急電鉄京都線西京極駅付近で東に向かって曲がり始め、東海道新幹線や東海道線とほぼ平行に京都駅にアプローチする。

新大阪駅とは向きが逆だがそのまま東進を続け、京都市山科区上花山久保町かみかざんくぼちょう付近から大きく弧を描いて南西に向きを変えて松井山手駅付近へと至る。敦賀駅―新大阪駅の距離は約146kmと3ルート案のなかでは最も長く、概算の事業費も5兆3000億円程度と最も高価だ。

実はこの東西ルートは2024年12月に与党の整備委員会で削除されしまい、現在は検討されていない。理由は不明だが、次に説明する南北案、桂川案と比べて距離が長く、事業費も最も高価だからであろう。

南北案は太秦天神川駅付近で東西案と分かれて東に向かった後、弧を描いて南に向きを変えて京都駅には東海道新幹線や東海道線とは直交する形態で到達していく。南進を続けた後、近畿日本鉄道京都線上鳥羽口駅付近で西に向きを変え、桂川を過ぎた後に桂川案と合流する。

京都駅
写真=iStock.com/D. Lentz
※写真はイメージです

南北案は太秦天神川駅付近で東西案と分かれて東に向かった後、弧を描いて南に向きを変えて京都駅には東海道新幹線や東海道線とは直交する形態で到達していく。南進を続けた後、近畿日本鉄道京都線上鳥羽口駅付近で西に向きを変え、桂川を過ぎた後に桂川案と合流する。

敦賀駅―新大阪駅の距離は約144km、概算の事業費は5兆2000億円程度と見積もられた。東西案と比べれば、距離、事業費とも少ないものの、急カーブが多くなって列車の速度が遅くなる可能性は捨てきれない。