「守る会」(児玉会長)が寄付金の不適切使用を開始
(1)ついに始まった支援対象の「選別」
現在の「守る会」(児玉昇会長)は、8月6日の東京地裁暴行事件を利用したクーデターで成立したものである。その理事会が、「日本保守党の言論弾圧の被害者」を自分達の好みによって「選別」し、気に入らない人物は支援対象から外すなど、寄付金を不適切に使用する危険性について、私はすでにユーチューブ(以下、「YT」と表記)の動画で警鐘を鳴らしておいた。このたび、まさに危惧した通りのことが起こったので、問題の本質を明らかにしたい。
(2)日本保守党の党首・百田尚樹氏から提訴される
昨年の衆議院選挙で3人の国会議員を出して国政政党となった日本保守党の党首・百田尚樹氏は、昨年の暮れにYTの動画で日本刀を抜刀し、特定の人物を想定して威嚇するかのような仕草をして見せた。いわゆる「抜刀事件」である。これについて百田氏は、去る6月3日、「抜刀事件」についてコメントした『日本保守党との死闘』(WAC)の著者・飯山陽氏と版元のWAC社、並びにフェイスブックで「抜刀事件」にコメントした私・藤岡信勝の三者を被告とする損害賠償請求訴訟を東京地裁に提訴した。百田氏の請求は、①飯山とWACは連帯して330万円を支払い、かつ双方とも然るべき媒体で一ヶ月間謝罪広告を掲載せよ、②藤岡は66万円を支払え、というものだった。
(3)藤岡によるフェイスブックへの投稿全文
私のフェイスブックへの投稿の全文は次のとおりであった。
【公党の党首がyoutubeのライブ配信で日本刀を振り回して特定の女性を威嚇した「脅迫罪」および「銃剣法違反」などの罪に問われても仕方のない行為をしている! こんな人物を持ち上げて、ここまで増長させてしまった保守言論界には重大な責任がある。ほとんど狂気の沙汰、論外だ。30歳以上の女性は子宮を切除するという法律をつくり、脅せば女性は「意識改革」し、少子化が解決するとする暴論は、世界40カ国で日本の「保守政党」の党首の発言として報道されている。この人物をよいしょした言論人は、自己批判をし態度を鮮明にしなければ、真正保守は確実に息の根をとめられる。】
(4)原告側の請求の原因
百田氏の提出した訴状は、被告・藤岡に関する請求の原因を次のように述べている。
【本件記事2は、原告がYouTubeライブ配信で、日本刀を振り回して特定の女性を威嚇したと述べ、さらにそれは「脅迫罪」や「銃剣法」(銃刀法の意味と思われる)に該当し得るとまで指摘するものであり、あたかも原告が特定人を脅迫したと理解させる投稿である】
【また、本件記事2は、前段落の意味合いにおいて、原告が特定の女性を脅迫したか否かは証拠等をもってその存否を確定できる他人に関する事項であるから事実の摘示に該当する。】
【そして、本件記事2は、あたかも原告が特定の女性に対して日本刀を用いて脅迫という犯罪行為あるいはそれに類する狂暴な言動をしたとの印象をもたらし、原告の社会的評価を低下させ、原告の名誉権を侵害する。】
反論はここでは行わないが、私のフェイスブックへの投稿には何の違法性もない。上記の程度の政治評論が「66万円」で膺懲されることを正当であると訴訟で認められるような社会になれば、ほぼ一切の政治言論は死滅させられるであろう。それは紛うかた無き民主主義の死である。
(5)代理人弁護士が辞任を通告
「守る会」は本件訴訟について支援を決定し、私は大島総合法律相談所の安田修、野中信敬、辻美和の3人の弁護士に代理人になってもらう委任状を書いた。この訴訟は守る会では、「抜刀訴訟②死闘編」などと短縮して呼ばれていた。
ところが、9月18日、野中信敬弁護士から次のメールが来た。
【東京地方裁判所民事49部に係属しております令和7年(ワ)第15164号
事件(抜刀②死闘事件)につき,先生より委任状をいただき,訴訟代理人とならせて
いただいておりましたが,今般,日本保守党の言論弾圧の被害者を守る会から,同会
との利害相反が避けられないので,代理人弁護士を辞任するよう要請がありました。
諸般の事情を考慮した上,辞任することが相当と判断いたしますので,上記事件につ
き,弁護士野中信敬,同安田修,同辻美和は代理人を辞任させていただきます。悪し
からずご了承ください。】(ゴシックは引用者による)
要するに3人の被告のうち、私だけを見殺しにするというわけである。ここには、何重もの誤りが含まれている。一つずつ解明して行く。
(6)私は「日本保守党の言論弾圧の被害者」ではないのか
野中弁護士らは「守る会」の「要請」で代理人を辞退したそうである。従って、取り敢えず、弁護士の辞任は「守る会」の意向であるということになろう。しかし、もしそうだとすると、この措置は明白な規約違反である。「守る会」の正式名称は「日本保守党の言論弾圧から被害者を守る会」である。私は百田代表を批判する意見をフェイスブックに書いたことで、66万円を要求する訴訟を仕掛けられた。私は「日本保守党の言論弾圧の被害者」ではないのか。当然、被害者である。会の趣旨からして、救済の対象である。会はそう認定して、すでに支援を決めたのである。その後、会の内部でゴタゴタがあった。私にも言い分があり、会の正統性に根本的な疑いをもっている。私は「守る会」の理事ではなくなった。しかし、それによって、私が「日本保守党の言論弾圧の被害者」でなくなったわけではない。理事ではなくなったが、相変わらず「サポーター」である。寄付もしている。また、理事会は、会発足の早い時期に「サポーターも救援の対象である」と決め、当時代表であった私が公式YTで発表した。自分たちが気に入らないからといって、一度決めた代理人まで引き剥がして敵の面前にさらす。これが正気の人間のやることか、と言わざるを得ない。
(7)「利害相反」など存在しない
「守る会」は代理人を辞めさせる理由として、「同会との利害相反が避けられない」としている。しかし、これは全くの誤りである。守る会、あるいは飯山氏やWACと私との間で、対日本保守党関連の文脈で「利害相反」になることなどない。私とWACとの間、私と飯山氏との間、どれをとっても百田氏の「抜刀事件」について、共通の利害で結ばれている。一方が有利になると他方は不利になる、といったゼロサム的な関係にはないのである。「守る会」の「辞任」の理由は、理由になっていない。
(8)日本保守党の本丸との対決で自陣営を分断
今回の訴訟は日本保守党の党首たる百田尚樹氏との直接対決である。持てる力を総結集すべきところ、何と現理事会は、この訴訟をセクト争いのネタにしてしまったのである。百田氏との対決はそっちのけで、セクト争いに血道を上げているというのが実情である。現在の理事会は、日本保守党の言論弾圧とたたかうことなど、もはやどうでもいいと考えているのかもしれない。
(9)民法651条の「委任契約」に違反
最後に、たとえ「守る会」からセクト的な要請が来たとしても、弁護士が一方的に代理人の委任契約を反故にすることは許されない。民法651条は委任契約について、委任者(依頼する側)と受任者(引き受ける側)のどちらからも契約解除することが出来ると定めている(第一項)。しかし、相手方に不利な時期、すなわち、相手方が経済的・時間的に準備ができていない時期などに解除した場合は、損害賠償義務を負うことになる(第二項)と定めている。今回の一方的な辞任は、第一回の口頭弁論期日が9月30日に迫っている中で行われたものであり、代理人を決めることも答弁書を作成することも極めて困難な中でなされたものである。
(10)寄附金私物化の批判は免れない
クーデター後の現在の理事会は、今回、誤った方向に決定的な一歩を踏み出した。寄付金を恣意的に使うことは許されない。出すべき筋合いのない所に出すことは明らかな不正だが、出すべき所に出さないこともまた不正なのである。現理事会の恣意的な行為は、寄付金の私物化に他ならず、批判を免れないものである。
ご発信ありがとうございます 素直な感想を書かせて頂きます 弁護士の辞任は先生を陥れる為の決定的な一打にしかみえません 不都合な人には費用はだしたくない大人によるいじめ、会の最終目標は今やノートの表題が全て、新規約がその道のり、守る会では無く攻める会に変貌してます。これ以上犠牲者が…
『今回の一方的な辞任は、第一回の口頭弁論期日が9月30日に迫っている中で行われたものであり、代理人を決めることも答弁書を作成することも極めて困難な中でなされたものである』 私怨なのか何なのか知りませんが、9月30日の第一回口頭弁論が迫る中、9月18日に一方的代理人辞任通告。2週間もない中、…
理事の交代があってから後の「新守る会」関しては、当初の理念、会の名前の由来となっている「日本保守党の言論弾圧から被害者を守る会」に合っているのか非常に疑問でありました。 特に弁護士団の辞任に関してはそれだけでも「被害者を守る」において公平ではなく、 しかもこの辞任に関し「新守る会…
本件での利益相反はないかもしれませんが、保守党から提起された、8/6事件を保守党本体からの行動と同視するようなFacebook投稿及びこれに関連する動画投稿の件については、明らかに守る会代理人の先生方のアドバイスに反した行動をされていませんか?また、会計担当理事解任後、守る会代理人の先生方…