老人ホームで職員殺害、施設側に賠償命じる 「対策すれば防げた」
大阪市平野区の有料老人ホームで2021年、1人で当直中の女性職員(当時68)が入居者に殺害されたのは施設内の安全対策が不十分だったからだとして、遺族が運営会社に賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(松本展幸裁判長)は25日、ほぼ請求通り約3940万円の賠償を同社に命じた。「安全配慮義務を尽くしていれば事件は起きなかった」と判断した。
女性は介護ヘルパーの榊(さかき)真希子さん。施設1階の事務室で当直をしていた21年11月16日夜、入居者の男(当時72)に金づちで複数回殴られて死亡した。男はその後7階の自室から飛び降りたとみられ、府警は男を殺人容疑で書類送検し、容疑者死亡で不起訴となった。男の居室にはほかの入居者も殺害し、自殺する計画を書いたノートがあった。
判決は、男が以前から問題行動を繰り返し、事件の3日前には他の入居者に暴行して退居することになっていたと指摘。男が不満を募らせ、職員に危害を加える「具体的な危険性」を施設側は認識できたと判断した。
その上で、施設側は夜勤の職員を一時的に増やすなどの対策をすべきだったと言及。男の行動に関する申し送りも不十分で、対応の不備と事件には「相当因果関係がある」と結論づけた。
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