ホームタウン撤回 庁舎に「白紙にしろ」落書き、広がった疲弊と落胆
国際協力機構(JICA)が25日、国内4市をアフリカ各国の「ホームタウン」に認定した交流強化事業を撤回した。つながりを深めようとしてきた関係者は落胆し、抗議が殺到した自治体の一部は事業を取りやめた。専門家は排外主義的な活動の「成功体験」になることを危ぶむ。
「移民は全く関係ない。残念だ」
アフリカの8カ国で野球を通した人材育成に取り組む一般財団法人「アフリカ野球・ソフト振興機構」(東京)の代表理事、友成晋也さん(61)は憤る。
千葉県木更津市の、ナイジェリアのホームタウン認定とは別の交流事業の一環で、来年から3年間、現地と市の交流を担う。人材育成や日本の野球文化を学んで帰ってもらうための取り組みで、ナイジェリアから来日した野球指導者と木更津市民が交流できる機会をつくったり、現地で野球の指導をしたりする予定だ。アフリカへの理解を進めたいと、3回目の挑戦でようやくJICA事業に採択された。
だが、ホームタウンに認定後、木更津市には抗議や問い合わせが相次いだ。「移民が大挙してやって来るのでは」「ホームタウンを白紙撤回してほしい」。市によると、8月末からの約1カ月で、電話で約9千件、ウェブサイトを通じて4千件以上の問い合わせがあったという。
批判の矛先は、市と協力して交流事業を担う自分たちにも向けられてきたと感じる。「移民が来る」などと誤解をした市民が、来日したナイジェリア人らに差別的な視線を向けはしないかと心配だ。「外国人に対するヘイトはやめてほしい」
自治体の通常業務に支障
「市政の一層の発展に努めますので、引き続きご理解とご協力を」。撤回を受け、国内4市の市長は連名で談話を発表し、対応に追われた。
ガーナのホームタウンに認定されていた新潟県三条市の滝沢亮市長は25日、「ガーナ政府訪問団による市視察、市を対象としたガーナに関する各種調査や企画事業は実施しない」とのコメントを発表した。
三条市では、日本人学生が今年と再来年は市内で「地域おこし協力隊」として、来年はガーナで海外協力隊として活動する協定を結び、取り組みを始めていた。撤回に伴い、25日付で協定は終了するとしているが、日本人学生の地域おこし協力隊としての受け入れは続けていくという。
滝沢市長はコメントの中で「…