将棋のプロ棋士誕生、注目の2人が抱負 山下新四段は現役最年少

ガッツポーズで健闘を誓い合う生垣寛人新四段(右)と山下数毅新四段=大阪府高槻市の関西将棋会館で2025年9月19日、新土居仁昌撮影 拡大
ガッツポーズで健闘を誓い合う生垣寛人新四段(右)と山下数毅新四段=大阪府高槻市の関西将棋会館で2025年9月19日、新土居仁昌撮影

 10月1日付で将棋のプロ棋士になる生垣(いけがき)寛人新四段(22)と山下数毅(かずき)新四段(17)が19日、大阪府高槻市の関西将棋会館で抱負を語った。

生垣新四段「熱い将棋を」

 生垣新四段は井上慶太九段門下で2016年9月に奨励会入会。第77回奨励会三段リーグ戦(25年4~9月)で13勝5敗の成績を挙げ、2位の成績で四段昇段を果たした。

プロ入りの抱負を語る生垣寛人新四段(右)と山下数毅新四段=大阪府高槻市の関西将棋会館で2025年9月19日、新土居仁昌撮影 拡大
プロ入りの抱負を語る生垣寛人新四段(右)と山下数毅新四段=大阪府高槻市の関西将棋会館で2025年9月19日、新土居仁昌撮影

 リーグ戦最終日を11勝5敗で迎え、自力昇段の目はなかったが、最終日の2局を連勝して昇段を争うライバルと同星で並び、順位の差で2位となった。「最終日は他力の状態だったが、まずは2連勝しようと思っていました。プレッシャーがかかる場で連勝できたのは自信になったし、プロになれてうれしい」と振り返った。

 振り飛車党で、目指す将棋は「人間らしい将棋」。「最初は振り飛車で頑張っていこうと思っています。最近は後手番の振り飛車は厳しいと聞いていて、僕自身も後手番の振り飛車を課題にしているところがあって、見てくださる方に振り飛車を指していただけるような粘り強い将棋を目指したい」と抱負を述べた。

 記者から「AI(人工知能)何するものぞ、ですか」と聞かれると、「僕自身もAIは使ってはいるんですが、(形勢が)悪くなった時に逆転というか、熱い将棋というか、そういうものを見せたい」と意欲的に語った。

 滋賀大学経済学部で学びながらの二刀流だったが、2回留年。プロ棋士になれたことで、9月末で退学する。「講義はそれなりに楽しかったけど、奨励会との両立は大変でした」

 同大学のホームページには「身近な場所からプロ棋士の先生が誕生されたことに興奮しています」などと、経済学部教員の応援メッセージが多数掲載されており、多くの人たちの期待を背負っての船出となる。

山下新四段「常に成長し続ける棋士に」

 一方、山下新四段は森信雄七段門下で18年9月に奨励会入会。中学2年生で三段に昇段し、藤井聡太名人(23)に続く6人目の中学生棋士誕生なるかと期待が集まったが、三段リーグで1回と、竜王戦ランキング戦5組決勝進出による計2回の次点獲得でフリークラス入りの資格を獲得し、それを行使してのプロ入りとなった。炭崎俊毅四段と誕生日が1日違いで、現役最年少棋士となる。

 記者から17歳でプロになることへの思いを聞かれると、「中学2年生で三段に上がって、1期目(第72回三段リーグ戦)は9勝9敗で、今期も10勝8敗で、そうなると、どれくらい成長しているのかというところがあって、少し情けなくは感じます」。

 苦労した三段リーグ戦の持ち時間は1時間30分。一方、大活躍した竜王戦ランキング戦の持ち時間は5時間ある。「同じ将棋の対局ですが、対局のスタイルが変わる。竜王戦は適度な息抜きといいますか、休憩する時間も自分にとっては必要だと感じていました。リーグ戦の90分間を集中し続けるのは難しくて、そこが課題だったというか、大変だったところです」と、対照的な成績になった理由を説明した。

 フリークラスからのスタートとなるが、名人を目指すためには規定の成績を挙げて順位戦に参加しなければならない。「一局一局、丁寧に対局を重ねていけば、早く順位戦にも参加できるようになると思うので、そういうことを意識していきたいなと思います。常に成長し続ける棋士になりたい」と語った。

 森七段は「山下君は中学生棋士を期待されていた経緯もあり、本人やご両親もやや複雑な心情だったかもしれませんが、師匠としては、三段リーグの壁の厚さを重く厳しく味わったのは今後の棋士人生に生きると思っています。山下新四段の大いなる活躍を期待します」とコメントした。【新土居仁昌】

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