不特法に基づくスキームで高利回りをうたい個人投資家らから2,000億円以上を集めた不動産投資商品が2025年に破綻した。
当初より一部で指摘されていた通り、その実態は新しい参加者の投資資金が既存の参加者への配当の原資に回される、いわゆるポンジスキームであったことが白日の元に晒されたのだ。
破綻後の紆余曲折を経て、不動産ポンジスキームの"被害者"たちには投資資金ではなく、"現物"が返還されることとなった。
年金受給者、退職者が大多数を占める"被害者"たちは所有していたほとんどの現金を投資商品に投じていたため、彼らは仕方なくその現物を受け取り、そこで暮らし始めた。
昼夜の別なく鳴り響く成田空港を発着する飛行機の音。現物を見下ろすアートホテル成田の高層階ラウンジからのインバウンド観光客たちの物珍しそうな視線。
そういうものにも現物で暮らし始めた"被害者"たちが慣れ始めたころ、不動産屋のぼくはまるで難民キャンプのようにテントを張った数万人の"被害者"たちでひしめく成田の現物へ向かった。
現物の入口にある鉄条網のゲートに蹴りをいれながらこう叫ぶためだ。
「女性のためのシェアハウスを作ります!シングルマザー向け!!シェアハウスの住人に仕事を斡旋したりするので普通のシェアハウスより何倍も利益が出せます。今なら利回り14%!」
「東武練馬、駅徒歩十五分、三十坪、未公開シェアハウス。一口100万円、早いもの勝ちですっ!」
おしまい。