2025年『第35回イグノーベル賞』10賞全部解説!

2025.09.22

みなさんこんにちは! サイエンスライターな妖精の彩恵りりだよ!

 

今回は、今年もあの問題の賞がやってきた!2025年9月18日 (日本時間19日) に公開された『第35回イグノーベル賞』について、10賞全部を解説するよ!

 

 

 

 

また、私は過去に5年分の解説をやってるから、こちらも観てくれると嬉しいな!

 

2024年『第34回イグノーベル賞』10賞全部解説!

2023年『第33回イグノーベル賞』10賞全部解説!

 

そもそもイグノーベル賞って何?

さて本題に入る前に、そもそも「イグノーベル賞」を知らないか、どういう主旨で贈られるのかを知らない人は多いんじゃないかな?もし知っている人がいたら、この部分は読み飛ばしてもらって構わないからね!

 

世界的な権威と知名度のある学問的な賞と言えばノーベル賞だけど、イグノーベル賞はそのパロディとして、1991年に『風変わりな研究の年報 (Annals of Improbable Research)』誌のマーク・エイブラハムズ編集長によって創設された賞であり、例年本家ノーベル賞の1ヶ月くらい前に先んじて発表されるものだよ。

 

受賞の対象となるものは「人々を笑わせ、考えさせた業績」で、1年に10賞が発表されるよ。こういう主旨なので、イグノーベル賞が贈られる研究は、パッと見の印象は面白いとか笑えるとか、正直意味がわかんない研究も並んでいたりするよ。でも、一方でこのイグノーベル賞、考えさせた業績という点が肝心だよ。

 

イグノーベル賞が贈られる研究は単に面白いだけじゃなく、研究手法がとても斬新で使い道があるとか、高コストで使いづらい手法を改善したとか、予想外のインパクトがあったような、スゴい研究が受賞するんだよね!

 

例えば2024年のイグノーベル生理学賞は「多くの哺乳類は肛門で呼吸ができることを解明したことに対して」という授賞理由だよ。一見すると奇を狙った下ネタかな?と思うかもだけど、実はこれ大いなる可能性を秘めているんだよね。

 

前提として、普通の動物は肺なり鰓なりで呼吸を行うけど、一部の動物は肛門の腸粘膜で酸素交換を行う「腸呼吸」もできることが分かっているんだよね。そしてこの研究では、マウスやラット、およびブタでも、酸素を含ませた特殊な液体に浸せば、ちゃんとガス交換を行えることを実証したんだよね。

 

ポイントは、液体さえ用意すれば、複雑な器具が必要ない事。これまで呼吸不全を起こした患者に施す措置と言えば、人工呼吸器やECMO (人工肺) のようなものを使う必要があったんだけど、高価で複雑な機械を動かせるのは医療従事者の中でも一握りだし、台数もそんなにある訳じゃないよ。

 

人工呼吸器やECMOが不足する事態になったCOVID-19パンデミックの事を思い出せば、数が不足したり、そもそも近くにない地域ではどうするんだろうとなるよね。肛門による呼吸方法が人間に使えるなら、複雑な機械に頼らずとも、多くの人々の命を救えるかもしれない、という点でスゴく重要な研究なんだよ。

 

だから、これは私個人の考えなんだけど、研究の面白さとスゴさを両立していなければイグノーベル賞の対象とならないことから、本家ノーベル賞より受賞するのが難しいと思っているんだよ。

 

イグノーベル賞の受賞式は以前、ハーバード大学のサンダーズ・シアターで行われていたんだけど、COVID-19の流行状況に鑑み、2020年から2023年までの4年間はオンライン授賞式となってたよ。そして昨年2024年からオフライン開催が復活し、今年2025年はボストン大学のジョージ・シャーマン・ユニオンで開催されたよ!

 

2025年イグノーベル賞トロフィー

今年のイグノーベル賞のトロフィーは、例年と比べると組み立て式ではないので豪華……かもしれない? (画像引用元: イグノーベル賞YouTube公式配信より)

 

また、イグノーベル賞は色んな意味で本家ノーベル賞のパロディとなっているよ。本家ではメダルと賞金が与えられるけど、イグノーベル賞では「ノーベル賞受賞者のサイン入り、イグノーベル賞の賞状」「賞金10兆ドル」「トロフィー」がもらえるんだよね。

 

ただし、賞状はコピー用紙に印刷されたもので、いかにも安っぽさを演出しているんだよね!それでも数人のノーベル賞受賞者のサインが入っているという点では、決して価値が低くない……のかな?

 

そして賞金は、10兆ドルと言っても10兆ジンバブエドル!元からハイパーインフレで価値が低下していることで有名な通貨だけど、2015年からは通貨として完全に失効しているので、桁がいくらあっても通貨としての価値はゼロなんだよね。

 

そして、今年のトロフィーは何とも形容しがたい、額に収まった人の胃の模型なんだよね (胃グノーベル賞?) 。これは、今年のテーマが「消化」だからなんだよね。そして例年からすると異例なことに (?) トロフィーはペーパークラフトではない、という点でここ数年よりは優しくできてるよ!

 

2025 Miss Sweetie Poo ?

今年は本物のミス・スウィーティー・プーが欠席のため、年上で大柄な代役 (※本当にこう紹介された) のGary Dryfoos氏 (毎年式典を盛り上げてくれる人) が呼ばれたよ。 (画像引用元: イグノーベル賞YouTube公式配信より)

 

ただ、テーマは正直おまけという感じで、必ずしも賞の内容はテーマに沿っているとは限らないよ。

 

そのほかに有名なイベントで言うと、冒頭で紙飛行機を飛ばすことや、受賞スピーチが退屈だと「Please stop! I'm bored! (もうやめて!私は退屈なの!)」と妨害する8歳の女の子「ミス・スウィーティー・プー (Miss Sweetie Poo)」なんかが登場するね (ただし今年は“代役”が登場) 。

 

また、本当にWelcomeとだけ言うだけの「Welcome, Welcome Speech」、自分の業績を24秒および7単語で解説する「24/7レクチャー」、テーマに沿ったミニオペラなど、イベントが盛りだくさんなんだけど、そろそろ本題に入るね!

 

まずは、今回受賞した10賞の内容について軽く説明し、その後本題に入るよ。

 

第35回イグノーベル賞の一覧
文学賞 35年間も粘り強く、自分の爪が伸びる速さを記録・分析し続けたことに対して。
心理学賞 ナルシスト――あるいはそうではない人――に「あなたは賢い」と伝えると、どのような反応が起こるのかを研究したことに対して。
栄養学賞 ある種のトカゲは、ある種のピザを選んで食べるのかを調べたことに対して。
小児科学賞 母親がニンニクを摂取すると、授乳中の赤ちゃんにどのような影響を与えるのかを調べたことに対して。
生物学賞 シマウマのような縞模様を描けば、ウシはハエに刺されにくくなるのかを知る実験を行ったことに対して。
化学賞 食用テフロン (より正式には「ポリテトラフルオロエチレン」と呼ばれるプラスチックの1種) が、カロリーを増やさずに食べ物のボリュームを増やし、満腹感を得るための良い方法かどうかを検証した試みに対して。
平和賞 お酒を飲むと、外国語を話す能力が時々向上することを示したことに対して。
工学設計賞 工学設計の視点から「靴の悪臭が、シューズラック使用時の快適性にどのような影響を与えるか」を分析したことに対して。
航空学賞 アルコール摂取が、コウモリの飛行能力やエコーロケーション能力を低下させるかどうかを研究したことに対して。
物理学賞 パスタソース物理学の発見、特に、不快感の原因となる、凝集に繋がる可能性のある相転移の発見に対して。

 


イグノーベル文学賞

受賞国: アメリカ合衆国
受賞者: 故・William B. Bean
授賞理由: 35年間も粘り強く、自分の爪が伸びる速さを記録・分析し続けたことに対して。
受賞論文: 以下の6本

  • William B. Bean.“A Note on Fingernail Growth”. Journal of Investigative Dermatology, 1953; 20 (1) 27-31. DOI: doi.org/10.1038/jid.1953.5
  • William B. Bean.“A Discourse on Nail Growth and Unusual Fingernails”. Transactions of the American Clinical and Climatological Association, 1962; 74, 152-167. PMID: 14044604
  • William B. Bean.“Nail Growth; Twenty-Five Years’ Observation”. Archives of Internal Medicine, 1968; 122 (4) 359-361. DOI: 10.1001/archinte.1968.00300090069016
  • William B. Bean.“Nail Growth: 30 Years of Observation”.  Archives of Internal Medicine, 1974; 134 (3) 497-502. DOI: 10.1001/archinte.1974.00320210107015
  • William B. Bean.“Some Notes of an Aging Nail Watcher”. International Journal of Dermatology, 1976; 15 (3) 225-230. DOI: 10.1111/j.1365-4362.1976.tb00696.x
  • William B. Bean.“Nail Growth; Thirty-five Years of Observation”. Archives of Internal Medicine, 1980; 140 (1) 73-76. DOI: 10.1001/archinte.1980.00330130075019

 

2025年イグノーベル文学賞画像1

William B. Bean氏の肖像写真と、実際の爪の拡大写真。傷をつけることで長さを測り、期間から伸びる速さを測定できます。 (画像引用元: イグノーベル賞YouTube公式配信より)

 

今年のイグノーベル賞はトップバッターからインパクト抜群だった!自分の爪の伸びる速さの記録や分析というのも中々に (主にとあるフィクション作品を念頭に) 強烈なものがあるけど、一応は自然科学に属する論文なのに文学賞って何よ?ってなるよね。私も初見ではそうなったのよ。

 

しかし、1953年から1980年の27年にわたる論文群は、自然科学の論文としての側面を持ちつつも、確かに文学的側面もある、そんな不思議な論文なんだよね。なお、William B. Bean氏は1989年に亡くなっており、息子のBennett Bean氏が代わりに授賞式に出席したよ。本家ノーベル賞と違い、イグノーベル賞は死後でも授与されるからね。

 

まずは科学的な内容から。ヒトの爪は指先を保護し、先端までは通っていない骨の代わりを担うのが主な役目なんだよね。そしてご存知の通り、爪はゆっくりとだけど確実に伸び続けているんだよね。じゃあ、爪はどれくらいの速さで伸び続けるんだろう?手足の違いや指の違い、あるいは季節や老化の影響を受けるのかな?

 

William B. Bean氏 (1909-1989) は、まさにこの疑問について、1940年代に文献を調査してみたんだけど、爪の伸びる速さに関して、特に長期的な計測データがなかったんだよね。そこでBean氏は1941年11月、32歳の時に、自分の爪の伸びる速さを測定するという、実行は簡単だけど時間的には根気のいる作業に取り掛かったんだよね。

 

角が伸びる速さは、その月の1日に、爪の根本 (表皮から現れた部分) に、カミソリやガラスカット用のヤスリで傷をつけ、傷の間の距離を測ることで測定されたよ。爪が爪床 (ピンク色の部分) から離れれば爪の終点であると定義し、毎月1日に傷をつける作業と測定する作業を行ったよ。

 

初めは両手足全ての爪に印をつけて伸びる速さを測定したんだけど、数ヶ月後にはいくつかの事情で左手親指の爪のみで測定することとなったよ。まず、左右の手に伸びる速さには差が見られなかったよ。また、足の爪は元々測るのが難しい上に、測り忘れも多かったことから、途中でやめちゃったんだよね。

 

そして、手の指の爪の伸びる速さは中指が一番速いと分かったんだけど、重要なのは指の間での伸びる速さの比率。興味深いことに、速さは一定の比率を保っていることから、1本の爪を測定すれば、その比率から他の爪の成長速度も逆算できるんだよね。なので1本だけ測っていればいいということになるよ。

 

さて、1953年に出版された論文では、1941年11月から1952年7月までの記録が載せられているのよね。この時点では、左手親指の爪の成長速度は1日あたり平均0.119mmなこと、足の爪は手の爪より伸びるのが遅いこと、そして恐らくは加齢によって、伸びる速さはゆっくりとだが着実に遅くなっていることを報告したよ。

 

また、季節・住む場所・職業による伸びる速さの変化は見られなかったけど、これは生活習慣が一貫しているからではないかという考察を加えているね。そして爪は摩耗して厚さが薄くなるけど、摩耗度合いは安定しないことから、爪の切りくずの重量測定では爪の成長速度を測るのには役に立たないことも付け加えているよ。

 

1953年の論文では、爪の成長速度に影響するかもしれないBean氏の私生活の動向に言及する場面はあるけど、正直そこまで文学らしさはないよ。しかし後年に出版される論文になるほど、段々と文学に関する引用や言及が増えてくるんだよね。

 

例えば1962年に出版された論文では、その冒頭に、今日の医学教育の基礎を築いたと評価されているウィリアム・オスラー (1849-1919) の書物の長い引用があるのよね。続いて、病気によって生じる色や形が異常な爪の研究は少ないという点について、「聖書には爪に関する言及は1ヶ所しかない」と、唐突に聖書への言及があるんだよね。

 

こんな感じで文学に関する引用があちこち見られるのがBean氏の論文の面白いところ。私が思うに、内容自体は真面目な科学研究の論文なのに、これに対して文学賞が贈られたのは「35年に渡る極めて長い記録」と「個人的な記述や文学作品の引用・言及などの文学的要素」が評価されたからじゃないのか、と考えているのよ。

 

そんな感じでBean氏は、医学的な現象を観察・研究するにあたっての個人的な思いや、後世に情報を伝える重要性について一家言があるようで、1980年に出版された最後の論文では、結構長々とした心情の吐露があるよ。以下にそれを載せるけど、翻訳の正確性にはちょっと自信がないから、意味を汲み取る程度に留めてほしいのよ。

 

現代の教育機関の多くで、特に医療従事者の養成機関と呼ばれるところでは、私が自然史を研究することで得られた喜びや洞察のようなものはもはや見られない。これらの機関は、もはや医学生に残された、わずかな知的探求心でさえも奪ってしまう、まるで集中治療室のようだ。

「医療センター」と呼ばれる場所は、単に「医療サービス」という名目で、決められた手順に沿った治療が提供されるだけの、希望と苦痛、高度な技術、そして現実感の喪失が入り混じった、混沌とした空間である。

物事を見る力は残っているかもしれないが、物事を真に理解する力はほぼ失われてしまった。教師も生徒も、触診することと、感覚を理解することは異なることを忘れているようだ。


こうした流れにわずかながら抗うために、私はここに、過去5年間の左手親指の爪の成長を観察した記録を掲載する。これは、人間の角質組織の成長に関する、極めて長期的な記録である。その期間は、臨床医学や人類学の分野でも、類例はほとんどない。

依然として爪は、時間の流れという軸に沿ってゆっくりと変化するケラチン組織の成長記録として、人間の老化の過程を刻み続けていると言える。

――William B. Bean (1980)

 


イグノーベル心理学賞

受賞国: ポーランド共和国、オーストラリア連邦、カナダ
受賞者: Marcin Zajenkowski & Gilles Gignac
授賞理由: ナルシスト――あるいはそうではない人――に「あなたは賢い」と伝えると、どのような反応が起こるのかを研究したことに対して。
受賞論文: Marcin Zajenkowski & Gilles Gignac.“Telling people they are intelligent correlates with the feeling of narcissistic uniqueness: The influence of IQ feedback on temporary state narcissism”. Intelligence, 2021; 89, 101595. DOI: 10.1016/j.intell.2021.101595

 

2025年イグノーベル心理学賞画像1

知能を測るテストを受ける前後での、知能の自己評価の変化を示したグラフ。「あなたの知能は平均以上だ」と言われた人 (点線) は自己評価が上がり、「あなたの知能は平均以下だ」と言われた人 (実線) は自己評価が下がっているのが分かるよね。なお、この結果通達は実際のテストの結果とは何の関係もなく、ランダムで決められたよ。 (画像引用元: 原著論文Fig 1より引用)

 

ナルシスト (ナルシシスト)」とは、ナルシシズム (自己愛) な状態にある人であり、すなわち自分の能力を過大に評価し、それに酔っている人というイメージを持つと思うのよね。現在の研究では、これは「誇大型ナルシスト」に分類されるのよね。以下、ナルシストと言えば誇大型ナルシストのことを指すよ。

 

ナルシストな人は自分の能力を過大に評価するので、それは知能に関する自己評価にも現れるよ。つまり、ナルシストな傾向にある人ほど、知能の自己評価が高いということだね。これは長年の研究によって観測されているよ。ただしこれは、比較的長期間安定した性格特性としてのナルシシズムの話となるよ。

 

最近の研究により、ナルシシズムというのは安定で固定された性格として現れるだけでなく、一時的にナルシシズムな傾向を示す場合もある証拠が集まりつつあるよ。例えば日記の研究では、受賞や肯定的評価の後はナルシシズムを強め、逆にストレスや不安はナルシシズムを弱めることが観察されるんだよね。

 

こういう変化しやすいナルシシズムがある以上、1つの疑問が浮かぶよ。ナルシストの人は知能の自己評価が高いという関係性は話したけど、その逆はあるのだろうか?つまり「『自分は賢い』という信念が生まれると、ナルシシズムは強まるのだろうか」という疑問が出てくるのよね。

 

そこで、次の研究を行ってみたよ。ポーランドで実験への参加者を集め、まずは「ナルシシズムの傾向を測るアンケート」「知能に関する自己評価のアンケート」「知能テスト」に回答してもらったよ。参加者はその後、知能テストの結果として「知能が平均以上である」または「知能が平均以下である」という結果を受けるよ。

 

参加者は結果を聞いた後に、「ナルシシズムの傾向を測るアンケート」「知能に関する自己評価のアンケート」に加え、知能テストの妥当性の認識についても回答したよ。そして最後に、この実験の真の内容、分かりやすく言えばネタバラシを受けることになるよ。

 

実は、知能テストの結果として通知される「知能が平均以上である」または「知能が平均以下である」という結果。あれは実際のテストの成績に関わらず、参加者によって完全にランダムに通知される、いわば全くデタラメの内容だったんだよね。しかしネタバラシを受けるまでは、参加者にとってはそれが真の結果だと思うわけだね。

 

さて、実際とは違うかもしれない“結果”を受け取った結果はどうなったんだろう?「知能が平均以上である」という結果を受けた参加者は、知能の自己評価が上がっただけでなく、「自分は特別である」と考える独自性の傾向が強まったんだよね。これはナルシシズムの重要な側面の1つだよ。

 

逆に、「知能が平均以下である」という結果を受けた参加者は、知能の自己評価が下がり、独自性の傾向も弱まったよ。そして否定的な評価は、肯定的な評価よりも知能の自己評価や独自性の傾向に強い傾向を与えることも分かったんだよね。

 

この結果は重要だね。まず「ナルシシズム⇒知能の自己評価」という矢印関係は、「ナルシシズム⇔知能の自己評価」という相互的なものに書き換えられるね。これは単にナルシシズムと知能の関連性を示すだけでなく、ナルシシズムがどのようにして現れるのかという根源的な疑問にも答えをもたらすかもしれないよ。

 

また、これはある意味でもっと重要なものかもしれない。この研究は人に対する評価を送る時、その内容が正確であるか、妥当かどうかに関わらず、肯定的な評価ならポジティブな自己評価、否定的な評価ならネガティブな自己評価に繋がる、という点を示唆したんだよね。評価者の立場にある人は念頭に置くべき結果かもしれないよ。

 


イグノーベル栄養学賞

受賞国: ニジェール共和国、トーゴ共和国、イタリア共和国、フランス共和国
受賞者: Daniele Dendi, Gabriel H. Segniagbeto, Roger Meek & Luca Luiselli
授賞理由: ある種のトカゲは、ある種のピザを選んで食べるのかを調べたことに対して。
受賞論文: Daniele Dendi, et al.“Opportunistic foraging strategy of rainbow lizards at a seaside resort in Togo”. African Journal of Ecology, 2023; 61 (1) 226-227. DOI: 10.1111/aje.13100

 

2025年イグノーベル栄養学賞図1

ニジトカゲのオスは、繁殖期になると鮮やかな体色になることで知られているよ。 (Public Domain)

 

自然界にはない人間の食べ物を野生動物が食べた時、何か悪影響はあるのか?あるにしてもないにしても、それは調べて見ないと分からないのよね。野生動物の生息地と人間の都市が重なる場所がある以上、その影響を調べることは、生態系の維持などに重要になってくるよ。

 

今回研究対象となったのは、主にアフリカ大陸の北側に生息する「ニジトカゲ (Agama agama)」だよ。名前の通り、繁殖期のオスは頭や首が黄色、身体が青色になる鮮やかな色を持つんだよね。そして学名は地元の言葉 (グベ語群) でトカゲを意味するように、アフリカでは一般的に存在するトカゲの仲間だよ。

 

広く分布する関係上、ニジトカゲは自然に乏しい都市部でも結構見かけるんだよね。しかし、ニジトカゲの主な食糧は昆虫などの節足動物。植物や小型の哺乳類・爬虫類なども少しは食べるけどね。ってなると、少ない野生動物の代わりとして、食糧として人間の食べ物にある程度依存している可能性は否定しきれないのよね。

 

実際、トーゴ共和国の海沿いのリゾート地では、捨てられたピザや、時には観光客のピザを“盗んで”食べるなど、若干信じられないけど本当にあった出来事があるんだよね!ただ、これは単に偶然目撃された単発の出来事なのか、実際にニジトカゲがピザに引き寄せられているのか、この辺が謎だったよ。

 

そこでDaniele Dendi氏などの研究チームは、次のような観察研究を行ってみたよ。約10mの間隔を空けて、「クワトロ・フォルマッジ (4種類のチーズが載ったピザ)」と「クワトロ・スタジオーニ (4分の1ずつ、様々な具材が載ったピザ)」を置き、ニジトカゲがどのように反応するのかを観察してみたよ。

 

2025年イグノーベル栄養学賞図2

実験の結果、ニジトカゲは4種のチーズを使った「クワトロ・フォルマッジ」が相当好きであることが分かったよ! (画像引用元: WikiMedia Commonsより (Author: Aiyanakk) )

 

その結果、クワトロ・フォルマッジは人気が高く、15分の間に9匹ものニジトカゲがやってきたよ。わざわざ木から降りてきたり、時には取り合いになるほどニジトカゲが群がったよ。それに対しクワトロ・スタジオーニは人気がないのか、ニジトカゲにはほぼ無視されたんだよね。

 

この観察結果は、明らかにニジトカゲの“好み”を示唆するけど、ではどうして好みが決まるんだろう?もちろん、自然界にチーズは存在しないけど、チーズの強い臭いは、時に腐った肉に関連付けられることがあるんだよね。なので研究者は、匂いによって引き寄せられた「化学的誘因」である可能性を取り上げているよ。

 

そして、ピザはどう見ても自然界に存在しないもの。ニジトカゲに害を及ぼさないのかな?まだ観察は始まったばかりなものの、今のところ悪影響は報告されていないんだよね。おそらく、栄養状態が改善すると共に、エネルギーを脂肪として蓄え、エネルギーコストが高い繁殖行動への投資にしているからと考えられるよ。

 

この仮説を立証するため、研究チームは、クワトロ・フォルマッジを食べることが、繁殖期のメスに利益をもたらすかどうかを調査しているんだよね。この調査が進めば、ピザを食べることによる、ニジトカゲにとっての好影響または悪影響が、さらに理解される、と私は思っているのよ。

 

ちなみに今回の授賞式では、残念ながら論文著者は出席できなかったんだけど、その1人であるLuca Luiselli氏のスピーチ原稿がエステル・デュフロ氏 (2019年ノーベル経済学賞受賞者) によって読み上げられたよ。

 

もちろん内容は笑いを取るもので、「イタリア人はクワトロ・フォルマッジが好きだ。 (中略) そして、彼ら (ニジトカゲ) はイタリア人の様に振る舞った」「日焼け、ピザへの渇望 (に耐えること) 、そして特にカモメの猛攻に耐え抜いた、献身的な研究チームに感謝します」とのことみたいね。

 


イグノーベル小児科学賞

受賞国: アメリカ合衆国
受賞者: Julie Mennella & Gary Beauchamp
授賞理由: 母親がニンニクを摂取すると、授乳中の赤ちゃんにどのような影響を与えるのかを調べたことに対して。
受賞論文: Julie Mennella & Gary Beauchamp.“Maternal diet alters the sensory qualities of human milk and the nursling's behavior”. Pediatrics, 1991; 88 (4) 737-744. PMID: 1896276

 

2025年イグノーベル小児科学賞図1

赤ちゃんは母乳を飲んで育つこともあるけれども、じゃあ母乳からニンニクの匂いがしたらどうなるんだろうか?今回の研究ではこれを調べてみたよ。 (画像引用元: いらすとやより)

 

母親から出る母乳は、赤ちゃんが生まれてからの最初の数ヶ月間で最初に口にする可能性があるものの1つだよね。このため「赤ちゃんがちゃんと母乳を飲んでくれるのか」というのは重大な関心事なんだけど、今回受賞した研究が出版された1990年代より以前、母乳の味や匂いといった官能特性の科学的な評価はほとんどなかったよ。

 

科学的裏付けがないために、人々の間では「母乳は味気がないものでなければならない」という通説が広く知られていたのよね。それゆえに信じられていたものの1つとして、「母乳に味や匂いが移らないよう、授乳期間中は薄味の食事、特にニンニクを食べるのを避けなければならない」という伝承があったくらいだよ。

 

実際、野生で生えているニンニクを食べた乳牛からは、ニンニクの匂いがする牛乳が搾れることが知られているから、この伝承が全く根拠がない、とは言えないのよ。とはいえ科学的に検証された例がほとんどないことも事実なので、当時は実際の影響の程度が分からなかったのよね。

 

そこでJulie Mennella氏とGary Beauchamp氏は、母乳のみで赤ちゃんを育てている母親8人に協力してもらい、次の研究を行ったよ。まずは匂いの原因となる硫黄化合物を含んでいる食品、ニンニク、タマネギ、アスパラガスを食べない期間を設け、その時の母乳を採集したよ。

 

次に、ニンニク入りのカプセルを飲んだ人と、対照としてニンニクが入っていないカプセルを飲んだ人に分け、摂取後に時間をおいて母乳を採集。こうして集められた母乳を、第三者による官能検査にかけたよ。また、赤ちゃんの吸啜行動 (おっぱいを吸う行動) に変化がみられるのかを観察したよ。

 

まずは官能検査をしてみると、ニンニクカプセルを摂取した後の母乳は、そうではない母乳と比べて明らかに匂いに違いがあったんだよね。この匂いは、摂取後1時間ではあまりしないけど、摂取後2時間で匂いのピークに達し、その後は時間経過とともに減少したことが分かったよ。

 

そして面白いのが赤ちゃんの行動。観察の結果は吸啜行動の時間と回数が増加した、つまりはおっぱいに吸い付く時間と、おっぱいを吸おうとする回数が増えたんだよね!ニンニクの匂いがする母乳を避けるという伝承とは裏腹に、赤ちゃんはニンニクの匂いがする母乳への“食いつき”が良かったことを示しているんだよね!

 

一方で、赤ちゃんが母乳を飲んだ量そのものについては、おそらく増えてないよ。1991年の研究では有意差が得られず、続きとなる1993年の研究 (Link) でも違いが見られなかった事から、これは単純に、赤ちゃんが母乳を飲む量に限界がある、どちらにせよお腹いっぱいになってしまっていることが伺えるのよ。

 

この研究にイグノーベル賞が贈られたのは、私が思うに、母乳の官能特性に関する先駆的な研究であると評価されたのが大きいと考えているよ。実際、Julie Mennella氏とGary Beauchamp氏はこれの続きとなる研究を1993年に行っているし、またこの研究以降、母乳の味や匂いと、それに対する影響への様々な研究が行われているよ。

 

例えば、苦味成分としてカカオチョコレートを食べた後の母乳は苦味が強くなることを調べた研究や (Link) 、出産前や授乳期間中にニンジンジュースを飲んでいた母親に育てられた赤ちゃんは、ニンジン入りのシリアルを好んで食べたという研究結果 (Link) もあるよ。

 

これらの結果は、母乳の味を通じて、離乳後の食の好みがある程度決定されることを示唆しているよね。苦味を理由として野菜が嫌いな子供が多いのは (自分自身がそうだった場合も含めて) よく知られているけど、もしかすると出生前や授乳期間中に母乳を通じて慣れさせることで、幾分か野菜嫌いを軽減できるかもしれないね!

 

また、今回の受賞論文とほぼ同時期に出版された研究では、ある意味で反対の結果が見られたよ。アルコール飲料を摂取した後の授乳を観察したところ、おっぱいを吸う回数は増加したんだけど、赤ちゃんが母乳を吸った量自体は少なかった、という結果だったんだよね (Link) 。

 

この研究では一応結論は出しておらず、 (アルコールを摂取すると母乳が出やすくなるという民間の伝承に反し) 可能性としてアルコールの影響で母乳の分泌が阻害され、赤ちゃんが母乳を吸うのに苦労している、という理由を仮説の1つとして挙げているよ。

 

ただ、アルコール摂取後の母乳はアルコールの匂いがすることが官能検査で確認されていることを考えると、母乳に微量のアルコールが混ざったことで風味が変化したことに対する拒否反応、あるいはアルコール分解能力に乏しい赤ちゃんからすれば、微量のアルコールが代謝に影響を及ぼした、という可能性も考えられるんだよね。

 

このため現代においては、飲酒後の授乳については、少なくとも飲酒から2時間以上空ける方が良いとされているのよね。飲酒直後の母乳にはアルコールが混ざっているであろうことを考えれば、この辺はしっかり考慮しないといけないと思うのよ。

 

ただ、母乳に全ての物質が移行するかどうかははっきりしない部分があるよ。ニンニクについては分子の検出で確認済みだけど (Link) 、ハーブティー (Link) や魚油 (Link) の匂いは移らないという研究もあるよ。ただし否定的な報告は、サンプル数が少なかったり時間が経っているなど、証拠が弱いことは注意しないといけないよ。

 

まぁこんな感じで、母乳の官能特性と赤ちゃんの行動に関する研究はたくさんあるのよね。今回のニンニクの匂いの母乳の研究にイグノーベル賞が贈られたのは、単に面白さだけでなく、その先駆性が評価されたんだと私が説明した理由が分かったかな?

 


イグノーベル生物学賞

受賞国: 日本国
受賞者: 兒嶋朋貴, 大石風人, 松原靖, 内山雄紀, 福島宜彦, 青木直人, 佐藤精, 増田達明, 上田淳一, 廣岡博之 & 木野勝利
授賞理由: シマウマのような縞模様を描けば、ウシはハエに刺されにくくなるのかを知る実験を行ったことに対して。
受賞論文: Tomoki Kojima, et al.“Cows painted with zebra-like striping can avoid biting fly attack”. PLOS ONE, 2019; 15 (3) e0231183. DOI: 10.1371/journal.pone.0231183

 

2025年イグノーベル生物学賞図1 受賞スピーチで縞模様が吸血バエを寄せ付けにくくすることを示す寸劇を披露!真ん中で縞模様の服を着ているのが、研究の筆頭著者の兒嶋朋貴氏。 (画像引用元: イグノーベル賞YouTube公式配信より)

 

これは今回の日本人受賞者の枠なので、知っている人も多いかもしれないね。でも一応解説するのよ。映像を見てもらえば分かるけど、受賞スピーチ中の演出というか寸劇によって、どのような研究を行ったのか視覚的に分かりやすく表現されているよ。

 

また、これは余談なんだけど、この研究の一部は2016年にイグノーベル物理学賞を受賞した研究に基づいているのよ! (Link) 2016年の研究では、黒色や茶色のウマと比べると、白馬には吸血バエがたかりにくいことを示していて、この事実は今回の研究結果にも多少影響を及ぼしているよ。

 

「シマウマ」は、身体の表面に白黒の縞模様があることが何よりも特徴的だよね。では、なんでシマウマはシマシマなのか?これはかなり昔から議論されていて、草木に隠れるカモフラージュ説、何頭いるのか分かりにくくすることで捕食者の混乱を狙う説、縞模様が個人の特徴として機能する説などがあったよ。

 

長年の研究により、シマウマの縞模様はアブやサシバエなどの吸血バエを避けるための模様なんじゃないかという説が有力視されるようになったよ。実際に実験を行ってみると、黒1色と比べて、白1色、縞模様、水玉模様の表面に着陸する数が減ったことが示されたよ。特に縞模様が効果的で、幅が5cmを下回るとより効果が上がるよ。

 

吸血バエは刺されると結構痛いし、文字通り血液を吸うので失血もする。さらに種によっては病原体を媒介することもあるよ。これはシマウマに限らず、ウシなどの他の動物でも見られる困った状況なんだよね。特にウシなんかは畜産を行っている関係上、家畜自身と畜産業を営む人の両方に大きなダメージを与えるよ。

 

吸血バエが寄ってきたり刺してくれば、ウシは頭や尻尾を振ってハエを追い払おうとするし、集団で固まることで自分にハエがたかろうとするのを防ごうとするんだよね。これは失血や病気のような直接的な害だけに留まらず、心理的なストレスを与え、集団内でぶつかることによるケガが起きることに繋がるよ。

 

また、吸血バエによる痛みやストレスは、肉牛ならば食欲不振、乳牛ならば乳量の減少という実害に繋がるので、畜産業を営む人にとっても悩みの種。アメリカでは年間22億1100万ドルもの損害が出ているとすら言われているよ!殺虫剤は、導入後速やかに耐性が付いちゃっているので、効果的な対処法とは言えないのよね。

 

ということで兒嶋朋貴氏などの研究チームは、シマウマに倣い、ウシに縞模様を描いて“シマウシ”にしてしまえば、吸血バエが寄ってくる数が減るんじゃないかと考え、実験を行ったよ。研究では愛知県農業総合試験場で飼育されている妊娠中のメスの黒毛和牛6頭を使い、放牧中に近寄る吸血バエの数を記録したよ。

 

2025年イグノーベル生物学賞図2

上から順に「(a) 白いスプレーで白黒縞模様を描いたウシ」「(b) 黒いスプレーで黒黒縞模様を描いたウシ」「(c) 何も描かないウシ」。 (画像引用元: 原著論文Fig 1より)

 

ウシに描く縞模様は、数日で消える水性ラッカースプレーを使い、5cm前後の幅になるようペイントしたよ。また、スプレーの揮発成分が吸血バエの行動に影響する可能性を考慮するため、対照実験は「白いスプレーで白黒縞模様を描いたウシ」「黒いスプレーで黒黒縞模様を描いたウシ」「何も描かないウシ」の3種類で行われたよ。

 

このように実験条件を整えた後、ウシの体表に留まるハエの数を数えるためにデジカメで撮影を行い、また30分間の一定時間内にウシがハエを追い払おうとする行動を記録したよ。また、近くに粘着性のプラスチック板による昆虫トラップを設置し、吸血バエの種類を記録したよ。

 

まず、捕獲された主な吸血バエは「サシバエ (Stomoxys calcitrans)」、「ノサシバエ (Haematobia irritans)」、「キンイロアブ (Tabanus sapporoensis)」であり、日本でよくみられる吸血バエだと確認されたよ。この確認は大事で、実験を行った場所がごく普通の環境であることを示す指標になるからね。

 

2025年イグノーベル生物学賞図3

上のグラフはウシの体表に留まった吸血バエの数、下のグラフはウシがハエを追い払おうとした行動の回数を表しているよ。何もしていないウシや (CONT) 、黒黒縞模様を描いたウシ (B) と比べると、白黒縞模様を描いたウシ (B&W) ではいずれも減少傾向にあることが分かるよ。 (画像引用元: 原著論文Fig 3より)

 

そして気になる結果だけど、まずハエが留まった数は、黒黒縞模様のウシと、何も描いてないウシとの比較では大きな差が見られなかったのに対し、白黒縞模様を描いたウシでは数が半減することが示されたんだよね!また、ハエを避けようとする行動も約25%も減ったんだよね!

 

このような対照実験を行うことで、白黒縞模様は実際に吸血バエが留まる数を減らすらしいことが分かったんだよ!自然界では白黒縞模様のウシがいない以上、これはシマウマに限定される効果ではなく、あるいはアフリカ大陸の吸血バエに限定される効果ではないことが示唆されるのよね。

 

ところで、なんで白黒縞模様は吸血バエが留まるのを減少させるんだろうね?これはまだ結論が出ていないものであり、今回の研究でも「縞模様が吸血バエを寄せ付けにくくする」以外の詳しいところは分からないよ。ただ、数々の研究である程度の理由は解明されつつあるんだよね。

 

ハエの目は人間などの脊椎動物とはだいぶ異なる仕組みをしていて、特に光の偏光と呼ばれる性質で地面と水面を見分けていると言われているんだよね。偏光の詳しい説明は割愛するものの、重要なのは、白色と黒色は単に色が違うだけでなく、偏光の性質にも影響を及ぼすという点だよ。

 

実際、シマウシの観察実験では、吸血バエが遠くからシマウシの近くへと近寄ることを妨げることはないのに、体表に接近しようとする最終段階で、飛行速度を遅くして着陸するのを失敗させているのよ。この観察結果から、白黒縞模様は、吸血バエが動物の体表に留まろうとする最終段階の部分に影響を及ぼすようなんだよね。

 

まだ仮説段階であるものの、白黒縞模様という偏光の性質が細かく変化するような表面は、吸血バエにとっては距離を見誤るほど“見えにくい”のかもしれないし、あるいは着地を制御する脳のシステムに混乱をもたらしているのではないか、という説明が考えられるよ。

 

いずれにしても、ウシに縞模様を描く方法は、ウシに与える負荷が最小限だし、導入コストも最小限で済むよね。また、殺虫剤を使うよりも環境に配慮されているし、耐性ハエの出現も防止できるという点でも優れているのよ!ウシをシマシマに塗って“シマウシ”とするのは笑える部分があるけど、そのインパクトは大きいのよね!

 


イグノーベル化学賞

受賞国: アメリカ合衆国、イスラエル国
受賞者: Rotem Naftalovich, Daniel Naftalovich & Frank Greenway
授賞理由: 食用テフロン (より正式には「ポリテトラフルオロエチレン」と呼ばれるプラスチックの1種) が、カロリーを増やさずに食べ物のボリュームを増やし、満腹感を得るための良い方法かどうかを検証した試みに対して。
受賞論文: Rotem Naftalovich, Daniel Naftalovich & Frank Greenway.“Polytetrafluoroethylene Ingestion as a Way to Increase Food Volume and Hence Satiety Without Increasing Calorie Content”. Journal of Diabetes Science and Technology, 2016; 10 (4) 971-976. DOI: 10.1177/1932296815626726

 

2025年イグノーベル化学賞図1

「PTFE (ポリテトラフルオロエチレン)」は「テフロン」という商品名で知られているフッ素樹脂だよ。前評判やイメージはさておき、これを食品に混ぜることは、少なくとも化学的知見においては毒になりようがない物質であり、究極的な“ゼロカロリー”の物質とも言えるよ。 (Public Domain)

 

初めに注意点。私もちょっと勘違いしたところだけど、この受賞論文自体は何かしらの実験結果を示したものではないっぽいのよね。過去の様々な研究論文を参照し、得られる考察をまとめたレビュー論文 (総説論文) の位置づけっぽいのよ。なので授賞理由の「experiments」は「実験」ではなく「試み」と訳したのよ。

 

ただ、試みとあるように、研究者たちは2018年にアメリカでPTFE (テフロン) でかさ増しし、カロリー摂取量を減らすための特許を取得しているんだよね (US9924736B2) 。また、実際にPTFE入りチョコレートバーも食べてみたんだけど、FDA (アメリカ食品医薬品局) の反応はイマイチだったことも語っているよ。

 

さて本題に入ると、食べ物には多かれ少なかれカロリーがあるよね。美容目的のダイエットならともかくも、肥満のような健康に直接響くような影響は、それこそレビュー論文が書かれたアメリカでは深刻な問題だよ。この健康問題を解決するため、様々な解決策が考案され、一部は実行されているよ。

 

例えば、人間には消化が難しい人工甘味料を添加する方法は、よく知られた方法だよね。いわゆるゼロカロリー飲料には、難消化性の人工甘味料で味付けしたものがあり、ショ糖 (普通の砂糖) の使用量を減らすことでカロリー摂取量の軽減を図っているよ。

 

一方で食べ物の場合、満腹感というより重大な問題に対処しないといけないよ。満腹感を得るというのは、いくつかの複雑なプロセスが絡み合っているけど、胃の中に食べ物が詰め込まれ、胃が膨張することは、間違いなく大きな要因として挙げられるよ。

 

ということは、少ないカロリーで満腹感を得るためには、低カロリーな物質で食べ物をかさ増しすればいいということになるよね。低カロリーな物質とは、人間には消化が難しい物質ということだから、例えば食物繊維なんかが挙げられるよね。

 

実際、食品に由来する安全性や安心感もあって、食物繊維入りの食べ物が市販されているのはあちこちで見かけると思う。ただし、食べ物に食物繊維を入れ過ぎると、食感や風味が悪くなるし、軟便の原因にもなりうるから、あまり多く入れることができないんだよね。

 

キサンタンガムのような、消化されにくい糖質ベースの増粘剤も、時にかさ増しに使われるよ。ただしこれらは吸湿性があるため、あまり大量に入れると今度は下痢の原因となるんだよね。思いつくアイデアだけどあまり広がっていないのは、困難な理由があることの裏返しとも言えるよ。

 

そこでRotem Naftalovich氏などが注目したのが「PTFE (ポリテトラフルオロエチレン)」というフッ素樹脂だよ。これは「テフロン」という商品名で知られていて、この物質を最初に製品化したデュポンの商標にはなるよ。もう普通に論文でも使っちゃうくらいには普通名詞化しているけど、ここではPTFEという化学名を使うね。

 

PTFEの特徴は、高い耐熱性に加え、化学的に極めて安定した物質なことだよ。テフロンという名から焦げ付き防止のフライパンをイメージした人も多いと思うけど、コンロで加熱されても大丈夫なくらい熱耐性があり、意外と酸やアルカリが強い食品に触れても全然溶けないことが使われる理由の1つなんだよね。

 

化学的に極めて安定な物質であることから、PTFEは生体で代謝されることが期待されない、分かりやすく言えば、身体の中では分解されようがなく、比喩ではなく真の意味で“ゼロカロリー”な添加物なのよね。何しろ「消化が難しい」みたいな曖昧な言い方ではなく、「消化ができない」と言い切れる数少ない物質だからね。

 

動物の消化管内で消化されない以上、PTFEそれ自体はゼロカロリーだし毒物を出しようがない。それを示した分かりやすい事例が、まさにこのレビュー論文の主題にも絡む、デュポンによる1960年代の毒性試験なんだよね。試験ではラットに対して90日間、PTFEが25%含まれている餌を食べさせて様子を見たんだよ。

 

試験の結果、ラットに対する毒性は確認されなかったんだよね。この毒性の無さは、後年の試験でも確かめられているよ。ただし、PTFEによって餌がかさ増しされた結果、摂取カロリーが減ったことに由来する体重減少は確認されたのよね。今回のレビュー論文の主題は、まさにそこを拾っているわけ。

 

もちろん、その他の毒性に関する知見も集まっているよ。それには直接的な試験もあるけど、PTFEの化学的安定性を理由に、あちこちの実験や医療で使われ、それでも悪影響が確認されないという間接的な確認方法の方がたくさんあるのよね。例えば以下のような器具にPTFEが使われ、細胞レベルで影響のなさが確かめられているよ。

 

  • 細菌を使った、物質の遺伝毒性を調べるための試験器具 (細菌がPTFEの影響を受けたら試験が成り立たない)
  • 膀胱カテーテル (精子が触れる可能性がある)
  • 子宮インプラント (取り付け後に妊娠を経験する可能性がある)
  • 人工授精に使うカテーテル (精子が安定して生存する)
  • 静脈に刺す注射針
  • 人工血管 (人によっては数十年間体内に入れっぱなし)
  • カミソリ、糸楊枝、化粧クリームなど、皮膚や粘膜に直接触れるもの
  • 舌ピアス (PTFEが舌に触れても味覚に影響しない証拠として)

 

これらに加え、長年の研究において、PTFEの発がん性は否定されているのよね。また、神経毒性も確認されていないよ。一応、炎症反応の報告例はあるけど、これは免疫系が異物に反応して起こる一般的な現象であり、PTFE以外の物質でも起きることだから、発がん性とは区別されるべきだとNaftalovich氏らも注意しているよ。

 

また、少なくとも化学的には消化管から吸収されることは無いんだけど、粒子が小さすぎれば、細胞内外の微小な隙間を物理的に通り抜けてしまうことはあるよ。なので、製造工程では平均粒径を130µm (0.13mm) 、標準偏差15µm (0.015mm) とすることで、隙間を通り抜ける20µm (0.02mm) 未満の粒子の発生を防ぐことを提案しているよ。

 

なお、PTFEの原料であるTFE (テトラフルオロエチレン) 、および2015年ごろまではPTFE製造の添加材に使われていたPFOA (ペルフルオロオクタン酸) に発がん性はあるけど、どちらも普通に作れば最終製品には検出限界以下しか残らないし、PFOAについては2015年以降使っていないので、この部分も安全性を測ることができるよ。

 

ところで散々PTFEの安全性については説明したけど、食物繊維と同じように食感や風味に悪影響を与えたらあまり意味がないよね?また、PTFEの物理的な特性は大丈夫なのかな?Naftalovich氏らは、これらを踏まえても食品に大量のPTFEを含ませても大丈夫だと考えているよ。

 

PTFEは粉末にすることができ、柔らかくて味もないので風味を損なうこともないし、摩擦係数が低いので消化管の粘膜を傷つけることがないよ。先ほど書いた通り、粒子の直径を20µm以上にすれば消化管からは吸収されずに排出されることから、人体に異物として蓄積するリスクも低いと考えられるよ。

 

また、PTFEは250℃以上では劣化や分解が進行し、400℃以上では有毒なガスを放出することがあるよ。しかしこの性質から、250℃以下では分解や劣化が起こらないとみなされているのよね。普通の加熱調理ではその温度に達することがないからこそフライパンに使われるわけだから、調理に影響を及ぼすこともないよ。

 

さてこんな感じで、Naftalovich氏らはPTFEを食べ物に混ぜ込んでも大丈夫な理由をたくさん並べているんだけど、このアイデアが普及するかどうかは、正直未知数だよね。いくら安全と言っても、食べ物にフッ素樹脂というプラスチックを混ぜているとなれば、マーケティング的に成功しにくいのはしょうがないからね。

 

また、消化されないということは、PTFEはそのまま排泄されることになるから、その行方が気になるよね。論文では、製造工程の安全マージンとして提案した平均粒径100µm前後ならば、下水処理施設で汚泥に沈むため、海洋放出はしないと考えているのよね。

 

そして汚泥は最終的に埋立地に行くこと、PTFEは価値が高くてリサイクル対象となっていること、埋立地のプラスチックをリサイクルする動きが始まっていることから、環境への影響は最小限になると提案しているんだよね。ただ、これはあくまで概念レベルの話なのは論文でも認めている通りなので、実現するかはまた別の話よ。

 

まぁ、これは私見なんだけど、食べ物の4分の1という結構な量を混ぜ込む計画なのに、本当に下水処理施設だけで全てフィルタリングされ、環境放出を最小限に抑えられるのか、心配な部分もあるよね。もしやるのなら、大量のPTFE粉末の取り扱いや処理に関する議論をきちんとしてから、とは思うのよ。

 

また、このレビュー論文は、あくまで2016年の出版当時の視点で書かれていることは注意すべきなのよね。その意味では近年急速に関心が高まってきたマイクロプラスチック問題やPFAS問題に紙面を割いてないのはしょうがない部分があるのよ。

 

いずれにしても、イグノーベル賞の受賞論文は、それが絶対に役立つことや実用化を保証するわけじゃない。けど一風視点が変わっていて、笑えるけど考えさせる研究に対して贈られるものだという点も考慮しないといけないよ。

 

実際のところPTFE粉末は、一般のマイクロプラスチックやPFASと比べればの話だけど、比較的有害ではないと捉えることもできるんだよね。これはあくまで私見だけど、この問題が科学的に正当な範囲を超え、必要以上に問題視される場合もある空気を皮肉って贈ったんじゃないかとも考えられると思うのよ。

 


イグノーベル平和賞

受賞国: オランダ (※オランダ王国の構成国) 、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国、ドイツ連邦共和国
受賞者: Fritz Renner, Inge Kersbergen, Matt Field & Jessica Werthmann
授賞理由: お酒を飲むと、外国語を話す能力が時々向上することを示したことに対して。
受賞論文: Fritz Renner, et al.“Dutch courage? Effects of acute alcohol consumption on self-ratings and observer ratings of foreign language skills”. Journal of Psychopharmacology, 2018; 32 (2) 116-122. DOI: 10.1177/0269881117735687

 

2025年イグノーベル平和賞図1

今回の研究では、少なくともドイツ語のネイティブスピーカーがオランダ語を話す場合において、少量のお酒を飲むと、発音が良くなるらしいことが示されたんだよね。お酒は少ない量だし、効果も限定的だし、何より他の言語で同じことが起きるかどうかは分からない点に注意が必要だよ。 (画像引用元: いらすとやより)

 

英語には「酒に酔った勢い」を意味する「Dutch courage」という言葉があるよ。直訳すれば「オランダ人の勇気」となるけど、これは17世紀の英蘭戦争の最中、オランダ人兵士がジュネヴァ (オランダのジン) を飲んだ後に勇敢に戦ったのをイギリス人兵士が目撃したからという逸話に由来する、と言われているんだよね。

 

ただ、これは勇気というより蛮勇というべきかもしれないね。お酒に含まれるアルコールは遂行機能 (実行機能) という脳機能に悪影響をもたらし、認知機能や行動抑制に悪影響をもたらすことがよく知られているので、一般的に脳を使うことのパフォーマンスが低下するとされているからね。

 

言葉を話すという行動も遂行機能に位置づけられているから、一般的にはお酒を飲むと機能が低下するとみなされているよ。呂律が回らなくなるほどベロンベロンに泥酔してるなら分かりやすい、さすがにそこまで極端に酔ってなくても、言葉に詰まったり発音が悪くなったりする、というイメージはあるよね。

 

しかし、外国語を話す人の間で知られている通説として「お酒を少しだけ飲むと、外国語の会話能力が向上する」というものがあるんだよね。母国語ではさほど頭を使わないけど、外国語を話すには頭を使いそうなことを考えると、にわかには信じがたい通説なわけだけど、かといってこれを確かめたり反証した研究は無かったんだよね。

 

そこでFritz Renner氏などの研究チームは実験を行ってみたよ。実験への参加者として、ドイツ語のネイティブスピーカーであり、最近になってオランダ語を習得した学生を50人集め、少量のアルコール飲料を飲むグループと、アルコールを含まない飲料を飲むグループとに分けたよ。

 

次に参加者たちは、実験を行う人とのオランダ語による短い会話を行い、その様子を録音したよ。この時実験を行う人は、会話相手となる参加者がアルコールを摂取して酔っているかどうかを知らない状態となっているよ。これは「盲検化」と呼ばれる工程であり、実験にバイアスが加わらないようにする基本的な手続きだよ。

 

そして、録音した会話の内容を、オランダ語のネイティブスピーカー2人に聞いてもらい、オランダ語のスキルを評価してもらったよ。もちろんこの評価をする人たちも、誰が酔っているのかは知らない状態だよ。また、参加者自身にも自分のオランダ語のスキルを評価してもらったんだよね。

 

その結果は結構面白かったよ。オランダ語ネイティブスピーカーによる第三者評価は、アルコールを摂取した人の方が、そうではない人と比べて、発音が優れていたと評価されたんだよね!一方で参加者自身による自己評価には、アルコールを摂取したかどうかと、発音が優れているかどうかの関連性は見られなかったよ。

 

研究結果からすると、少量のアルコールで酔った状態になると、恐らくは無自覚に、外国語を話す際の抑制を緩和し、流暢な発音に繋がった可能性がある、と推定できるんだよね。果たしてこの仮説が正しいかどうかは検証が必要だけど、「Dutch courage (酒に酔った勢い / オランダ人の勇気)」とはよく言ったものだね!

 

ただし、この研究結果は慎重に受け止める必要があるよ。まず、この研究ではごく少量のアルコールしか摂取していないんだよね。大量の飲酒は確実に遂行機能を低下させるし、健康上のリスクにもなるからね。これについては研究者が属するアルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクのプレスリリース (Link) でも注意されているよ。

 

また、研究結果の適用範囲も注意しないといけないよ。受賞者の1人であるJessica Werthmann氏は「今回の研究は、ドイツ語のネイティブスピーカーがオランダ語を話した場合の結果であり、一般化はできない」と注意しているからね。他の言語で行った場合の効果は全くの未知数だよ。

 


イグノーベル工学設計賞

受賞国: インド共和国
受賞者: Vikash Kumar & Sarthak Mittal
授賞理由: 工学設計の視点から「靴の悪臭が、シューズラック使用時の快適性にどのような影響を与えるか」を分析したことに対して。
受賞論文: Vikash Kumar & Sarthak Mittal.“Smelly Shoes—An Opportunity for Shoe Rack Re-Design”. Ergonomics for Improved Productivity: Proceedings of HWWE 2017, 2, 287-293. DOI: 10.1007/978-981-16-2229-8_33

 

2025年イグノーベル工学設計賞図1

この論文では拡張実験として、短波紫外線の照射で靴の悪臭の原因菌を殺菌してしまおうというアイデアを検証する実験を行ったよ。 (画像引用元: 原著論文Fig 2より)

 

「人間工学」という科学分野があるんだよね。これは人間と、物や環境が相互作用する時、快適性や効率を最適化するにはどういう設計が良いのか?というのを考える学問だよ。人間にとって使いやすく、効率的で効果的、安全に配慮された製品や機器、職場環境、システムはどうしたら設計できるのか?を考えているんだよね。

 

しかし、今回の受賞論文 (※カンファレンスペーパー) を書いた、Vikash Kumar氏とSarthak Mittal氏は、人間工学による工学設計には、「使用者の体験」という要素が欠けているんじゃないか?と考えたわけ。そこでKumar氏とMittal氏は、使用者の体験を考慮しないギャップが生じそうなシューズラック (靴棚) を例に挙げてみたよ。

 

この研究が行われたインドは高温多湿気候。加えて靴は人肌との距離が近い割に、服と比べるとあまり洗わないよね?そんな靴を閉鎖空間のシューズラックに入れれば、キトコッカス・セデンタリウス (Kytococcus sedentarius) のような細菌が繁殖し、悪臭の原因となる物質を生成し、結果として靴が臭くなるわけだね。

 

じゃあ過去の研究において、シューズラックと悪臭の問題についてどんな感じの議論がされているのかな?ということで文献を漁ってみたんだけど、そもそもシューズラックに焦点を当てた研究が少ないし、数少ない研究でも靴の出し入れの際に身体にかかる負荷を考えるなど、物理的な側面に議論が集中していたんだよね。

 

悪臭が靴箱の中に留まっているくらいならまだいいけど、もしも生活空間と近い場所にシューズラックがあった場合、そこから漏れた悪臭が部屋に流れ込む可能性もあるわけ。この不快感を軽減することも、人間工学の面では重要なんだけど、なんか議論されてないよね~という点をまずは指摘したのよ。

 

ということで、まずはシヴ・ナダール大学の学生149人に対して、小規模のアンケート調査を行ったところ、やはり多くのインド人は靴の悪臭に悩まされており、洗ったり消臭グッズを使うなどの対策を行う人もいる傾向が明らかになったよ。ここら辺は万国共通かもしれないね。

 

しかし、靴を洗うのは靴を傷める行為なのが悩ましい。じゃあ消臭グッズはどんなもんだろうと調べてみると、シューズラックにどれくらい靴があるのかを前提に考慮したグッズが見つからなかったんだよね。そして、シューズラックそれ自体が消臭機能を持つものもないんだよね。

 

なんかここまでだとマジメに論理展開をしているというか、何となく普通なカンファレンスペーパーに感じるよね?ただしこの論文、最後に具体的な「消臭機能を持つシューズラックの工学設計の提案」をしたという点が (イグノーベル賞的に) 評価されたんだと思うのよね。

 

振り返ると、靴が悪臭を放つ主因は、悪臭物質を生成する細菌の増殖が原因なのよね。ならば殺菌効果を持つ紫外線を照射すればいいんじゃないかと言うことで、段ボールで紫外線ライトを覆う簡易的な“シューズラック”を作成し、消臭効果を検証してみたよ。

 

実験では、シヴ・ナダール大学の学生アスリートが使った、悪臭を放つ靴を使用したよ。そこに11W出力の短波紫外線 (UV-C) を数分間照射し、分単位ごとの消臭効果を測定したよ。紫外線は、細菌が最も付着し繁殖しやすいと考えられるつま先に当たるようにしたよ。

 

え?どうやって臭いを測ったかって?どうやら臭気センサーが役立ったなかったらしく、自分で臭いを嗅いで測定したんだよね!もちろん、消臭効果を感じるには元の臭いを知らなきゃいけないので、何もしていない状態の悪臭を放つ靴の臭いも嗅いだのよね。いやはや大変な実験だね!

 

ということで自分の鼻を犠牲に実験を行った結果、紫外線を2分間照射すると、完全に臭いが消えることが分かったんだよね。Kumar氏とMittal氏は、悪臭の原因となる細菌が死滅したからだと考えているよ。なお4分以上照射すると、ゴムが焼けたような臭いが生じ、15分もやると靴そのものが熱くなるから、やりすぎも良くないんだよね。

 

ということでKumar氏とMittal氏は、これまで人間工学の観点からは見逃されてきた、紫外線を照射するシューズラックを作れば、人間工学が目指す製品使用や環境の快適性の向上に繋がるんじゃないかと提案しているんだよね。

 


イグノーベル航空賞

受賞国: コロンビア共和国、イスラエル国、アルゼンチン共和国、ドイツ連邦共和国、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国、イタリア共和国、アメリカ合衆国、ポルトガル共和国、スペイン王国
受賞者: Francisco Sánchez, Mariana Melcón, Carmi Korine & Berry Pinshow.
授賞理由: アルコール摂取が、コウモリの飛行能力やエコーロケーション能力を低下させるかどうかを研究したことに対して。
受賞論文: Francisco Sánchez, et al.“Ethanol ingestion affects flight performance and echolocation in Egyptian fruit bats”. Behavioural Processes, 2010; 84 (2) 555-558. DOI: 10.1016/j.beproc.2010.02.006

 

イグノーベル航空学賞図1

翼を広げて飛ぶエジプトルーセットオオコウモリの写真。 (画像引用元: WikiMedia Commonsより (Original photo: אורן פלס / Derivative work: MathKnight) )

 

サルが木の洞や洞窟に蓄えた木の実が自然に発効してお酒になった――これは「猿酒」と呼ばれる自然にできたお酒に関する逸話だね。実際にはサルは果実を蓄えないため、猿酒の“製造”にサルは関与していないとも言われているけど、ただ実際のところ、果実が自然発酵し、アルコールを含んでいるケースはよくあるんだよね。

 

果実は熟すと糖分が生成されるため、野生動物にとっても美味しい食べ物、コスパの良い食べ物となる訳。しかし熟す段階になると、酵母の働きでエタノールの生成も始まるため、熟した果実を食べる動物は、多かれ少なかれエタノールを摂取していることになるんだよね。

 

熟した果実に含まれるアルコール分は0.1~0.7%、時に1%以上になることもあるから (Link) 、酔うには十分な量が含まれていると捉えることができるよ。実際、哺乳類や鳥類、あるいは昆虫に至るまで、熟した果実を食べた後に酩酊状態、つまりは酔っぱらったかのような行動をすることが時々観察されているのよ。

 

本当に果実のエタノールの影響で酔っぱらっているなら、行動が変になったり、刺激への反応が鈍くなるため、捕食者に捕まったり高い場所から落ちてしまうリスクが上がることになるよね?ただ、野生動物での報告が少ないことから、本当に酔っているのか、それとも酔っているように見えるだけなのか、はっきりしない部分があるよ。

 

ただし少なくとも、いくつかの動物はエタノールに対処しようとする行動が伺えるのよね。例えば「アラビアヒヨドリ (Pycnonotus xanthopygos)」は、普通の餌と比べて、アルコール濃度が3.0%のエサを食べる量は36%も減少したんだよね。これは飛行能力を低下させるエタノールを避けようとする行動であることを示唆するよ。

 

あるいは登木目 (Scandentia) に属する樹上棲の哺乳類「ハネオツパイ (Ptilocercus lowii)」は、アルコール濃度が最大3.6%にもなる花の蜜を吸っているんだけど、目に見えた悪影響がなく、アルコール分解能力が高いことが示唆されるんだよね。酔うことは危険な樹上棲を考えると、この能力があるのは不自然じゃないよね (Link) 。

 

じゃあ、哺乳類で唯一自力で羽ばたいて飛行するコウモリの仲間はどうなんだろうね?今回の受賞論文を書いたFrancisco Sánchez氏などの研究チームは、「エジプトルーセットオオコウモリ (Rousettus aegyptiacus)」という果実食のコウモリに関する研究を長年続けているよ。

 

エジプトルーセットオオコウモリに関する過去の研究では、1%以上のエタノールを含む餌を避けるかのような行動が観察されているんだよね。ということは、エジプトルーセットオオコウモリは酔いたくないのでアルコール濃度の高い餌を避けているという仮説が立てられるよ。

 

そこで、飼育されているエジプトルーセットオオコウモリを対象に実験を行ったよ。まずは、アルコールを含む餌と含まない餌を食べさせ、長い通路上の飼育ケージの端から端まで飛行する時間を測ったよ。その結果、アルコール入りの餌を食べた個体は、そうではない個体と比べて1.6倍ほど飛行速度が低下したんだよね!

 

次に、コウモリが空間を把握するエコーロケーションの機能を調べるため、超音波を記録してみたよ。すると、普段なら2回鳴くところ、1回しか鳴かない頻度が増加したんだよね。これらの結果を合わせると、コウモリはアルコールを摂取すると、飛行能力もエコーロケーション能力も落ちていることが示唆されるんだよね!

 

実際のところ、酒に酔うと多くの機能が低下することをヒトが示しているために、コウモリで同じことが起きていても不思議には考えないかもしれないね。ただ、直接的に調べた研究は2010年当時には少なかったから、先駆的な研究という意味では結構重要なのよ。

 


イグノーベル物理学賞

受賞国: イタリア共和国、スペイン王国、ドイツ連邦共和国、オーストリア共和国
受賞者: Giacomo Bartolucci, Daniel Maria Busiello, Matteo Ciarchi, Alberto Corticelli, Ivan Di Terlizzi, Fabrizio Olmeda, Davide Revignas & Vincenzo Maria Schimmenti
授賞理由: パスタソース物理学の発見、特に、不快感の原因となる、凝集に繋がる可能性のある相転移の発見に対して。
受賞論文: Giacomo Bartolucci, et al.“Phase behavior of Cacio e Pepe sauce”. Physics of Fluids, 2025; 37, 044122. DOI: 10.1063/5.0255841

 

イグノーベル物理学賞図1

(a) チーズをベースとしたソースが特徴のパスタ「カチョ・エ・ペペ」。 (b) 上から順に「デンプンを含まない水」「パスタのゆで汁」「パスタのゆで汁を煮詰めたリゾッタータ」にチーズを入れ、50℃から95℃まで5℃刻みで加熱したソースの顕微鏡写真。デンプン濃度が少ないとチーズがダマになりやすくなり、もっとひどいと「モッツアレラ相」と呼ばれる凝集状態が生じることが分かります。 (画像引用元: 原著論文Fig 1より)

 

まずはこのイグノーベル賞、2025年4月29日に出版された研究に対して贈られているんだよね。わずか半年での受賞は最短クラスだと思うのよ。2024年12月31日にプレプリントが投稿された時から話題になってた研究だけど、イグノーベル賞の受賞で再度話題になっているんだよね。

 

さてこの研究、“パスタソース物理学”という聞いたことのない単語が出てくるよね。安心して。もう1つとして「モッツアレラ相」という謎の物質相も出てくるから。一見すると単に料理の研究のように見えるけど、実際にはめっちゃ物理学をしているんだよね。

 

また、一見するとこの論文はパスタソースの探求としか思えないかもしれない。けれどもこの後詳しく解説する通り、これはタンパク質の変性と凝集に関する研究の一例なので、生命誕生の基盤となる細胞の生成や、アルツハイマー型認知症の原因となるタンパク質の変性の研究などと全く無関係とも言えないんだよね!

 

イタリア料理と言えばパスタであり、パスタの味付けには色んなソースが使われているよね。そして伝統的なソースの1つに「カチョ・エ・ペペ (Cacio e pepe)」があるよ。これはチーズとコショウという意味で、その名の通り、材料はヒツジの乳から作られたチーズ「ペコリーノ・ロマーノ」とコショウだけというシンプルさだよ。

 

しかしこのカチョ・エ・ペペ、チーズとコショウ、後はパスタと煮るための水だけという非常にシンプルな材料構成にも関わらず、作るのがやたらに難しいという特徴があったんだよね。典型的な失敗は、ソースの中でチーズのダマやもっと大きな塊が形成され、食感を悪くするというものなんだよね。

 

このためカチョ・エ・ペペは、伝統料理にも関わらず、熟練の料理人やおばあちゃんが作れる、難易度の高い料理であると認識されており、他の材料を入れてダマを防ぐ方法も考えられているよ。しかし論文からは、元の材料だけで作ろうとするこだわりが随所にあり、他の材料を入れるのは伝統に反すると言ってるくらいだからね。

 

さて、この研究を行ったGiacomo Bartolucci氏らは、カチョ・エ・ペペがどのような条件だとダマになりにくいのかを調べてみることにしたよ。この研究では、実験結果を理論的に説明するために、分子の大きさを考慮した熱力学的手法を使うというガチ物理学をやっている場面もあるけど、内容が難しいのでここは割愛するね。

 

Bartolucci氏らがまず調査したのは、チーズがダマを作ってしまう条件面だよ。これは物理学的に言えば、チーズが水に分散しておらず、相分離を起こしているということになるよ。ダマが糸を引くモッツアレラみたいな感じになることから、Bartolucci氏らは物理学者らしく、相分離したダマのことを「モッツアレラ相」と名付けたよ。

 

さて、チーズは化学的に捉えればタンパク質の塊なので、高温に晒すと変性しちゃうんだよね。これは不可逆変化であり、一度塊ができてしまうと、その後に温度を下げても元に戻らなくなるんだよね。これは、ゆで卵を冷やしても生卵に戻らないのと一緒だと考えればいいよ。

 

タンパク質が変性するには高温が必要となれば、ソースを作るお湯の温度管理が重要そうに見えるけど、まさに水の中でのタンパク質凝集について研究している、Bartolucci氏らの見解はちょっと違うよ。タンパク質の変性と凝集は、温度だけでなく濃度も重要なパラメーターだと考えているんだよね。

 

例えば、純粋な水でチーズを温めてみると、65℃付近で凝集が始まるんだよね。しかし伝統的な方法では、カチョ・エ・ペペを作る上で使う水は純粋な水じゃなく、パスタを煮たゆで汁 (リゾッタータ) を使っているよ。ゆで汁を使うとチーズがダマを作りにくくなるという事実は、文字通り伝統的に、経験則的に知られていたよ。

 

パスタから溶けだした「デンプン」が水の中に解けているはず。ということでBartolucci氏らは、デンプンが混ざるとチーズがダマになりにくいのではないかと考え、デンプン濃度と温度を調整し、チーズがダマを作るかどうかを検証したんだよね。

 

その結果、水に含まれるデンプン濃度が高くなると、チーズがダマを作る温度が若干高くなったんだよね。つまり、デンプン濃度の調整がうまく行きさえすれば、ゆで汁の温度管理をそこまでシビアにせずともダマができにくくなる、というテクニックを明らかにしたんだよね。

 

研究者は顕微鏡観察によるモッツアレラ相の有無の検査に加え、実食して食感を確かめてみた結果、美味しいカチョ・エ・ペペを作るのに適切なデンプン濃度はチーズの重量に対して2~3%だと導いたよ。この範囲は、1%以下だとダマができやすくなり、一方で4%以上だと冷えた時のソースが固まってマズくなるからなんだよね。

 

なお、パスタのゆで汁は、そのままだとデンプン濃度がとても薄いのよね。なので伝統的な調理法だと、ゆで汁を蒸発させて水を減らして調整していたんだよね。しかし、適切な分析機器がない調理場では、適切なデンプン濃度に調整するには経験と勘が必要よ。これがカチョ・エ・ペペを作る難易度を上げていたのよね。

 

そこでBartolucci氏らは、デンプンを材料として組み込むこと、より具体的にはジャガイモデンプン (現代の片栗粉) やコーンスターチを加える方法を提案しているよ。これなら作る材料に合わせてデンプン量を調整すればいいわけなので、失敗する可能性をずっと減らすことができるよ。

 

ちなみにBartolucci氏らは、「クエン酸三ナトリウム」という物質を加えてもカチョ・エ・ペペを作るのが安定することも導いたよ。クエン酸三ナトリウムは、カルシウムとタンパク質を多く含む乳製品によく使われていて、ソースの食感安定と、水と油を混ぜる乳化剤として働く作用を持つよ。

 

クエン酸三ナトリウムの場合、チーズに対して2%以上の重量で入れると、沸騰するくらい加熱してもモッツアレラ相ができず、デンプンよりもはるかにダマを形成しにくいんだよね。Bartolucci氏らに言わせれば、これはクエン酸が溶けた溶液内でのタンパク質の挙動としてよく見られる、予測された結果だと述べているんだよね。

 

ただしBartolucci氏らに言わせれば、クエン酸三ナトリウムはカチョ・エ・ペペのソース作りを安定化させる信頼性のある方法なのは認めつつも、この代替レシピを「厳格な料理の伝統から逸脱するという代償を払うことになる」という言い方をしているんだよね。やはり伝統的なレシピにこだわりがあるようなんだよね。

 

そして、仮に伝統に厳密にこだわるつもりがなかったとしても、味にこだわる場合は、クエン酸三ナトリウムを使う方法はあまりお勧めできないかもしれないのよ。というのは、クエン酸三ナトリウムや、それと似た物質を入れたことによる影響で、チーズの味が若干悪くなってしまうんだよね。

 

以上の分析結果から、Bartolucci氏らは伝統を守りつつ、大量に作っても失敗しにくい『カチョ・エ・ペペの科学的レシピ』を導き、論文の最後の方に書いているよ。せっかくなのでこの記事でも、カチョ・エ・ペペの科学的レシピを共有しておくね!ただ、論文の本文からレシピ化したので、もし説明が抜けてたらごめん!

 

[材料] (2人前)
  • パスタ … 300g (一番良いのはトンナレッリだが、スパゲッティやリガトーニでも良い)
  • ペコリーノ・ロマーノ … 200g (人によってはパルミジャーノ・レッジャーノを30%まで含める)
  • 粉末デンプン … 5g (ジャガイモデンプンやコーンスターチなど) (※日本流で言うなら片栗粉)
  • デンプンを溶かす用の水 … 50g + 100g (分けておく)
  • パスタをゆでるための水 … 適量
  • … 適量
  • コショウ … 好みの量


[作り方]

  1. 大きめの鍋に水を入れ、軽く塩を入れて沸騰させる。
  2. フライパンにコショウを入れ、香りが立つまで炒め、火からおろしておく。
  3. 水50gにデンプン5gを加え、泡だて器で混ぜる。小さい鍋に入れ、とろみがついて透明感が出るまで弱火で加熱する。
  4. できたデンプン溶液に水100gを加え、泡だて器で混ぜながら冷ます。
  5. チーズをフードプロセッサーにかけて粉末にする。 (手でのすりおろしは非推奨)
  6. 粉末になったチーズに、作ったデンプン溶液とコショウを加え、フードプロセッサーでクリーム状になるまで混ぜる。
  7. パッケージの指示通りに、パスタをアルデンテになるまで茹でる。
  8. パスタのゆで汁を1カップ (250cc) ほど取っておき、残りを湯切りし、1分ほど冷ます。 (パスタが熱すぎると、ソースの温度が局所的に60℃以上となり不安定化する恐れがある)
  9. パスタにソースを混ぜ合わせ、必要に応じてゆで汁を加える。 (ソースは冷めるととろみがつく傾向にあるため、温度が高いうちはゆるめになるよう加える事)
  10. 必要に応じて温め直する。 (一度ソースが安定化すれば、80℃から90℃に再加熱してもソースは固まらない)
  11. 盛り付け、好みですりおろしたチーズやコショウを加える。

 


終わりに

イグノーベル賞は、受賞した研究内容の奇抜さやユニークさがよく注目されるため、笑える研究が新しく出てくると「これはイグノーベル賞だ」と言われることはよくあるんだよね。ただイグノーベル賞は、単純な面白さとか笑いがとれるとか、いわゆる一発ネタだけで逃げて受賞できるような内容の賞じゃないよ。

 

「人々を笑わせ、考えさせた業績」という主旨や、今回の受賞した研究の内容を見れば分かる通り、とてもまじめな研究に対して贈られていて、その結果や成果を考えても、この先その内容が発展しうる要素を秘めた研究なんだよね!中には既に発展した研究とかもあるよ。

 

授賞理由だけを聞くと、いったいどうしてそんなことをしたのか意味がよく分からない研究でも、具体的な応用とかその業界にインパクトを与える内容のもあったりするのも、イグノーベル賞が贈られる研究の特徴と言えるよ。

 

だから科学研究というのは、すぐに役に立つとかそういう視点ばかりで評価するのではなく、一見するとムダに思える研究にもちゃんとした内容や、思わぬ発展がある、という点が少しでも分かってくれたら、私は嬉しいかな。

文献情報

<イグノーベル賞の情報>

 

<参考文献>

 

彩恵 りり(さいえ りり)

「バーチャルサイエンスライター」として、世界中の科学系の最新研究成果やその他の話題をTwitterで解説したり、時々YouTubeで科学的なトピックスについての解説動画を作ったり、他の方のチャンネルにお邪魔して科学的な話題を語ったりしています。 得意なのは天文学。でも基本的にその他の分野も含め、なるべく幅広く解説しています。
本サイトにて、毎週金曜日に最新の科学研究や成果などを解説する「彩恵りりの科学ニュース解説!」連載中。

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