必殺技のかめはめ波はまだ打てないけど必殺料理【スペシャリテ】は作れる
こんにちは、料理愛好家の三戸満平です。
唐突なのですが皆さん、人生で「これ、身につけてぇー!」と思ったことがあるもの、ありますか。
僕はあります。
そう、必殺技です!
あの日何回もお風呂場で練習した「かめはめ波」。
プールで水をかきつつ放った「蛇王炎殺黒竜波」。
辛い時何度も口走った「卍解」。
最近だと「自分ならどんな領域展開がいいかしら」と考える日々。
それでも、結局、必殺技は身につかないまま今日にいたります。必殺技、それは人生に付きまとう儚い憧れなのでしょうか。
でも!ほしい!俺だけの必殺技…!
そう思っていた私に天啓が下ったのです。
「なら、スペシャリテ作ればいいじゃん?」
って。
スペシャリテ、とは
スペシャリテ、という言葉をご存知の方もそうでない方もいるので、少し説明させていただくと、スペシャリテというのは料理人が技術と知恵とパッションを結集させて作る、その料理人のオリジナリティあふれる渾身の一皿のことです。
例としてあげると「GINZA kansei 坂田シェフ」の「トマトのパルフェ キャヴィア添え」、「ヌキテバ 田辺シェフ」の「魚のスープ ニース風」など、名前だけじゃわかるようなわからないようなだけどすごそうなのもあれば、「ピーチメルバ」のように今となってはメジャーとなっている料理なんかもあります。もはや知らない人はいないであろう「つけ麺」も、元を辿れば大勝軒というラーメン屋のスペシャリテ(まかないから派生した料理ではあるけれど)だったりします。
名のある料理人が一つは持っているもの、それがスペシャリテ。
それってすなわちその料理人の必殺技そのものだと思いませんか?
腕からなんかすごいの出すのは難しくても、腕を振るってなんかすごいの出すのはまだなんとかかろうじてできそう!というわけで、僕は自分の必殺料理ことマイスペシャリテを開発することにしたのです。
スペシャリテのベースになるパスタ
この「スペシャリテを作る」という課題を前に、私の脳裏にはある料理が浮かんでいました。
それが、「セロリと鶏肉と白だしのパスタ」
そもそもパスタはご飯並に「何を具材にしてもそれなりのおいしさを提供してくれる」のですが、その日たまたま冷蔵庫に余っていたセロリと鶏肉をフライパンで炒め、そして本当になんとなーく白だしを味付けにつかったパスタを作ったらこれが全てパズルのピースのようにぴたりとハマったのですね。
セロリのあの独特な臭み(けどこれがたまらない!)と、白だしのキリッとしてクリアな塩味、それに淡白な鶏肉が組み合わさることでえもいわれぬ味を作り出していたのでした。セロリ好きにはたまらないお味とでも言いましょうか。以来何回か作ることがありました。
これをベースにブラッシュアップしていけば、これは自分のスペシャリテと呼ぶことができるのではないか…?と思ったのです。
まずは名前を決める
このまま「セロリと鶏肉と白だしのパスタ」ではスペシャリテとしては名前がちょっと弱い。パスタ業界には「貧乏人のパスタ」「娼婦のパスタ」「暗殺者のパスタ」と、いかにもイタリア料理人が「これが私のスペシャリテでーす!」といいながら大会に出してきそうな名前がずらりとしています。
そうであるならば私もこのパスタにそれなりの名前をつけねばならないでしょう。このパスタのベースになっているセロリ、これをメインに
「セロリ好き…」「セロリマニア…」「セロリファン…」
など幾重もの言葉を重ねてついに作り出した名前が「セロリ狂いのパスタ」。
そしてこれをさらにパワーアップさせるために、スマホの翻訳機能にかけてイタリア語に変換!
ぱ…パスタ・パッチェスカ・エル・セダーノ!(多分そう言ってる。イタリア語に強い人が見たら違うと言われそうだけれども)これが私のスペシャリテの名前!
スペシャリテギアセカンド「肉を変えてみる」
さて、名前も決まったところでこの料理をさらにブラッシュアップしていきたいと思います。このままでももちろん美味しいのですが、某ワンピースがそうであるように、必殺技もレベルアップしたほうがたのしい。俺のスペシャリテのギアセカンドってことですね。
まず考えたのは、「具材。鶏肉じゃなくてもよいのでは?」ということ。むしろこれを豚肉とかにしたら、豚の脂の旨さが加わってさらに美味しくなるのでは?
と思ったので早速挑戦。
ビジュアルはやっぱ豚肉の方が美味そう!と思いつつ食べてみた結論としては「このパスタに合わせる肉は鳥胸肉で正解かも」でした。
もちろん豚バラはめちゃくちゃ美味しいのですが、豚バラの肉としては豊富に感じさせる甘味が強すぎることで、セロリと白だしによるキリッとした味わいがぼやけてしまった感がありました。
肉に関してはあっさりとした鶏胸肉のままでいくほうが良いようです。試行錯誤を繰り返すことで強くなる、それもまた必殺技の通る道…!
スペシャリテギアサード「野菜の切り方を変えてみる」
その後に考えたのは「セロリを細かくすること、そしてほかの野菜も加えることでより複雑な味わいになるのでは?」というもの。鶏肉は胸肉にすることで淡白な味わいをキープしつつ、野菜から出る旨みをよりパスタと絡めることでさらに美味しくなるのでは、というイメージ。フランス料理でスープ作りに使う「ミルポワ」、はたまたイタリア料理でつかう「ソフリット」なんかをイメージしたソースを作ってみます。
食べら前の見た目としては少しとっちらかった感じが出てしまっています。一方で味に関して言えば、セロリ、たまねぎ、にんじんを細かくして炒めたことによってでた野菜の甘味が白だしと組み合わさることで、結構複雑性が増した気はします。あと細かくしてるから麺によく絡んだら食べやすい。
とはいえここでも、野菜の甘さが「おいしさ」にもつながる一方で「セロリ狂いと言えるほどのセロリ感か」と言われると首をすこし傾げる感じに。野菜の具材はやはりセロリメインにした方がいいのかもしれません。
スペシャリテ、ギアマックス
ここまでのスペシャリテ特訓を経て思ったことは
「とにかくセロリセロリさせたい」
「そしてそのセロリを満遍なくパスタにからめたい」
「肉のコクとかは特にいらない」
でした。
そこからさらに思考を重ねること数日。
あ、これいけるのでは!?と思いついたレシピがあるので試してみることに。
そしてそれによって完成した真の俺のスペシャリテ「パスタ・パッチェスカ・エル・セダーノ」がこちら。
まずは材料。
・パスタ
・鶏胸肉
・セロリ
・ジャガイモ
・白だし
・牛乳
まずはセロリを刻みます。茎の部分は具材に、歯の部分はソースに使います。
ブレンダーを用意し、セロリ、茹でたじゃがいも(四等分くらいしたものを皮ごと)、牛乳、白だしを入れてブレンダーにかけます。白だしと牛乳の割合は白だし1、牛乳6-7くらいがおすすめです。
セロリセロリした味をパスタ全体にいきわたらせるためには、セロリと白だしをベースにしたソースを作って、それをパスタに絡めるのが手っ取り早いし一番効果的なのでは?となったのですね。
でもそのとき、ソースにとろみがないとシャバシャバになってパスタとうまく絡みそうにない。
こう言う時だと生クリームとかがベストなのか…?と思いつつ、でも生クリーム結構お高くつくよなぁーと思いながら、自分の子の離乳食で野菜のポタージュを作っていた時に見つけたのです。
ジャガイモをスープにすると、でんぷん質も相待ってなかなかのとろみが生まれることに。つまりこれをソースに応用すれば…!と思ってできたのが上のソース。
ここまでできたらあとは簡単
完成!パスタ・パッチェスカ・エル・セダーノ!!
けどこのままだとすこし見た目が地味なので、これを振りかけると実は美味しかった七味をパラパラ
今度こそ完成!パスタ・パッチェスカ・エル・セダーノ!!
実食
出来上がったスペシャリテを早速食べてみます。
ジャガイモでとろみを増したソースは、パスタにぐりんぐりんと絡んでいます。ソースが少しザラザラとしたテクスチャになることがなおさら良かったのかもしれません。
そして一口!
口の中に広がる白だしとセロリの組み合わさったあのおいしさ!セロリがブレンダーで液状にされたことでよりセロリの味が出ているため、牛乳やジャガイモの味も全然邪魔をしません。ソースと別に炒めておいたセロリの食感、そして鶏むねにくの淡白な味わいと食感もソースに旨く絡んでいて、パスタとしての完成度が手前ながらめちゃくちゃ高くなった気がします。本当にこれは「必殺技」的料理を作ってしまったぞ…!!
初期段階と比べてみたらその見た目も歴然
これが。
こうですからね。美味そうにもなっている…!!
スペシャリテをもつと楽しいことはまだある
というわけでひとまず、私なりのスペシャリテ「パスタ・パッチェスカ・エル・セダーノ」はここに完成しました。将来店を出す時があれば一皿1200円くらいでご提供したい(ソースをすくうパンつき)。
しかしですね、料理とは沼なわけでして、まだこのスペシャリテを改造する余地は山ほどあるわけですね。
例えばパスタ!太くしてみる、細くしてみる、ペンネみたいなショートパスタにする、ラザニアみたいにしてみる…とか
肉!…鶏胸肉に限らずほかの肉も試してみていいのでは!例えばうずらとか、七面鳥とか!
ソース…牛乳の代わりに豆乳にしてみては。はたまたしっかり生クリームをつかってみたらどうなるのか?
仕上げ…たまごを乗せてもおいしそう。粉チーズもいいのでは?
と、山ほど試したいことは増えていきます。
そうしてるうちに今度は「じゃあこれをパスタのメインに据えたコースを考えるのは…つまり…俺のスペシャリテコース」というふうにもっと楽しそうな料理創作が控えてたりもするわけですね。こうなるともう人生をかけた趣味になってくる。
必殺技は持てないまま大人になってしまったけれど、必殺技に近いくらい修行と、実感と、強さ(料理的な)を追い求められるスペシャリテ。
あなたもぜひ作ってみてはいかがでしょう。
国民総スペシャリテ時代とかきたら、それこそ楽しすぎる気がする…!!
ではでは。
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