■連覇へ死角なし?
勝った喜びを肌で、いや財布の厚みで感じ取った選手たちは当然のことながら「来季もやるぞ」となります。佐藤輝が今年の流行語大賞にも輝いた「アレ(A.R.E.)=Aim、Respect、Empower」を基にした来季のチームスローガンの候補として「アレンパ」を発案し、岡田監督も大絶賛しました。
「アレ」と「連覇」をうまくアレンジした傑作かもしれません。シーズン中は佐藤輝に辛口の言葉を発する機会が多かった指揮官も「うまいこと言ったよ」と賛辞を贈りました。これで来季のスローガンは「アレンパ」で決定?
そして、実際に阪神が連覇する確率は高いと思います。優勝メンバーは若手が多くて伸びしろはいっぱい。投手陣は充実。近本、中野、森下、大山に佐藤輝、ノイジー、木浪と続く打線は来季もつながりそう。岡田監督も腹の中で「勝てる」と思っているから「連覇を目指す」と言い切っているのでしょう。
まさに「死角なし」-と思っているときこそ、十分に脇を締めて周囲の状況を見ておかなければなりません。世に言う「好事魔多し」はこういう状況を指すのです。
■約6分20秒の短縮
来季の戦局にどう影響を与えるのか。一つの〝懸念材料〟になり得るのが「30秒ルール」ですね。将来を見据えたルール改革は「試合のスピードアップを目指す、ピッチクロック(投手が打者に投球するまでに使える時間を制限する)とタイブレーク(延長戦において、試合の早期決着を促すために、点が入りやすい状況から攻撃を始める制度)の導入時期」が中心議題なのですが、11月22日に開催された12球団オーナー会議では、ピッチクロック&タイブレークの来季からの導入は先送りされました。しかし、試合のスピードアップを目指す方向性の中で出てきたのが「30秒ルール」だったのです。
「来季は打者交代を30秒以内に行うことを徹底する。前の打者がアウトになったり、出塁したりしてから次の打者は30秒以内に構える。ステップ①30秒以内の徹底②30秒から25秒に短縮化③時間内を守らないと罰則を設ける」としていて、②、③についての導入時期は未定としています。
今季の1試合の平均試合時間(九回で終了した試合のみ)は3時間7分でした。打者間の交代平均時間は36・9秒でした。打者の交代回数は1試合平均で55回。つまり6・9秒×55回=約6分20秒の短縮で試合のスピードアップが実現する-というわけです。30秒ルールが順守されれば、来季は日本野球機構(NPB)が目標とする1試合2時間50分~3時間に近づきます。
今季は米大リーグでピッチクロック&タイブレークが導入され、9イニングの平均試合時間は2時間39分49秒となり、昨季と比較して24分も短縮されました。NFL(アメリカンフットボール)やNBA(バスケットボール)、NHL(アイスホッケー)という他のスポーツと激しく競争している大リーグは、試合のスピードアップを重視しています。プロ野球は脅威となる他のプロスポーツが米国ほどではなく、ピッチクロック&タイブレークの導入を遅らせている主な要因なのですが、今回の30秒ルールをあまりナメてはいけません。