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MINORITY CINEMA REPORT GRAVE!!!

映画日記の墓場へようこそ
劇場で鑑賞した作品の個人的な感想が
ここにひっそりと残され 眠っていきます

THE DISAPPEARANCE OF HARUHI SUZUMIYA 涼宮ハルヒの消失

2010-12-16 21:22:28 | 映画
タイムトラベル映画へのオマージュと新表現
高校生らしい日常と描写のリアルさ
素直でない者たちの可愛さが詰まった作品



破天荒な性格で、その行動も突飛なものが多い高校生の涼宮ハルヒ。
そんなハルヒに気に入られ振り回される主人公・キョン。
ハルヒは無理やりに集めた学生たちとメンバーを作り、SOS団という部を結成。
その部でさまざまな変な活動を行っていく。
クリスマスも近づいたある日、クリスマスパーティを開こうとハルヒが言い出す。
しかし翌日になってみると、ハルヒは学校から消えていた。
さらにキョン以外の全ての人たちから、ハルヒという存在も消えていた。
誰に尋ねても、そんな女の子は知らないし、この学校にはいないとい言う。
はたして涼宮ハルヒはどこへ行ったのか。
キョンはこの状況をどのように解決していくのか。
という感じのお話です。


最近の日本映画特有のテレビから映画へという続き物的な流れの作品です。
「のだめカンタービレ」「LIAR GAME」、昔の「エヴァンゲリオン」などのように、テレビの続きからお話が形勢されています。
それゆえに、テレビ版を観ていない人には、話についていくのがやや難しいという欠点もあります。
なんでこんな状況なのか、これは一体どういうことなのか、なぜこんなことができるのか、そういった疑問はテレビ版を観ておけば全然問題なく受け入れられるのですが、観ていない人には最後までさっぱりという方もいらっしゃるでしょう。
ですがこれはこの作品だけということではなく、そして今に始ったことではありません。
古くは「スターウォーズ」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズなどにも言えることです。
突然に2や3から観たとしたら、楽しめるは楽しめるが、細かいところは少し解りづらい。そんな感じだと思います。
この作品はそういった一種の「制約」みたいな部分が大きいため、観る人を選んでしまうという、いわゆるファンのための映画のようになってしまっている感じも受けました。

この作品の面白いところは、ほぼなんでもありの設定になっているところです。
ハルヒが結成したSOS団という部には、キョンのほかに3人の部員が在籍しますが、その3人は全員「特別な性質」をもった者たちばかりです。それぞれ宇宙人、未来人、超能力者という。
それにはある理由があるのですが、テレビ版をご覧になっていない方のために伏せたいと思います。
この設定を聞いたとき、自分はすごいなぁと思いました。
何か作品を作るとき、とくにそれが非現実的なものを登場させる作品だった場合には、ある程度世界を限定して作っていくのではないかと思っています。
それは「宇宙人は出てくるが超能力はない世界」とか「未来人はでてくるが宇宙人は出てこない世界」といったふうに、ひとつのものに焦点をあてるため、ほかの不思議は排除して作品を作ったほうが作りやすいのではないかと。
しかし、この作品ではそれらが全てひとつの舞台に出てきます。これは実に挑戦的ですごいことだなと思いました。
ですが考えてみれば実に現実的であったりもします。今、自分たちが生きているリアルな世界には、「どんなことでも存在する可能性」があります。
宇宙人がいるかもしれない、未来からやってきた人がいるかもしれない、超能力者がいるかもしれない、霊能者がいるかもしれない、ロボットが人間にまぎれて暮らしているかもしれない、全て可能性の中だけのものかもしれませんが、存在しないと証明できるものでもありません。
現実世界は実に不思議で興味深く、フィクションよりもさらに奥が深いという、当たり前のことなんですがそういったことに、ふと気がつかせてくれたりしました。
そんな何でもありの世界を、ある一点から形成し、そしてそれを別の一点から見つめるという形で、この作品は作られています。

あまり深く書いてしまうとネタバレになってしまいますが、ひとつだけ書くのを許してください。この映画はタイムトラベル映画の要素を持っています。
これは先に観た「時をかける少女(2010)」と同じものを扱っているところもありますが、これはまた別の角度からの表現をしています。
それでいて過去のタイムトラベル作品へのオマージュととれる様なシーンも多く存在し、映画ファン、SFファンにとっては思わずニヤリとしてしまいました。
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」はもちろんのこと、アニメでは「ドラえもん~のび太の大魔境~」っぽい印象も受けましたし、この作品は科学的にも実に細かく知的な部分もありますので、「プライマー」という映画にも共通する部分があるなと思いました。

映画の舞台となるのはキョンやハルヒが通う高校ということで、学生っぽさ、高校生っぽさがよく伝わってきました。
中学生でも大学生でもない、高校生の時間と言いましょうか。
映画の中の時期は12月後半。その寒そうな感じと、教室や部室に流れる独特の湿ったような空気感などがすごい伝わってきました。
この作品はテレビアニメ版の時から感じていましたが、そういったリアルな高校生に流れる時間や雰囲気の描き方が秀逸だと思います。その部分は映画版でもしっかりと継承されていました。その辺が実にリアルに描かれているように思います。

もうひとつリアルに描かれているのは、まさしく絵そのものについてです。
それぞれのキャラクターはこれでもかというくらいに動いて動いて動きまくります。
アニメってメインキャスト以外はそれほど動かないものだと思っていますが、その辺にいるどうでもいいようなエキストラも意味無く細かく動きます。こういうのを見ると自分は押井守監督を思い出したりするんですが、そういった一見意味のない感じのことをすることによって、さらにリアルになっていく。まさしく「ひと手間かけることの味わい深さ」みたいな感じがよく出ている部分。世界で高く評価されるジャパニメーションらしい部分のひとつだと思います。
あと自分は実写なのかCGなのか絵なのか分からない背景のシーンがいくつかありました。
「これは・・・・絵、だよね? でも・・・・なんか実写っぽい気も?? 絵・・・・だよね???」
なんて思うくらいの描写があったりしました。

ツンデレなんて言葉が生まれて、その地位を獲得してからだいぶ経ちますが、この作品のタイトルキャラ・涼宮ハルヒはまさしくそんなツンデレを絵に描いたようなキャラクターです。
そして思うんですが、キョンを含めたSOS団全員が、どこかしらで素直になっていない印象を受けます。
本当は好きなんだけど、それを受け入れたくない。うまく表現できない。そう思ってしまうのが嫌。
好きという感情以外でも、キャラたちは何かしら素直になれないところを持っています。
この素直になれないという部分がとっても人間的で良いなと思います。それは幼さや未熟さからくるものもあれば、自分で解ってはいても無意識にそうしてしまう本能的なことでもあったり、また逆に理性が働いてしまって、本当の気持ちを伝えられなかったり。
いくつになっても人間はこんな感じだと思います。人間の可愛らしいところのような気がしますし、それがまた可愛らしく描かれているのも良いです。

最初のほうで、ファンのための映画と書きましたが、そんなファンにはたまらないシーンもたくさんあったように思います。
今までとはちょっと違ったキャラになっていたり、普段は見せないような行動をとったりと。
そんなところは、まさしく映画だと感じなくもないです。ジャイアンがいきなり優しくなるような感じで。
ただ、自分には2時間50分という上映時間はかなりきつかったです。
そしてこの作品特有のエンドレスな感じも少し疲れを感じてしまいました。
しかしタイムトラベル映画としては、たいへん良く出来ていると思います。ただのファン映画、マニア映画として終わってしまうのはちょっともったいない気がしてなりません。
そうはいっても、たぶんこの映画の肝は3人の女の子キャラなんだと思います。そういった意味では、それぞれにちゃんと焦点があたっており、構成もしっかりしていたと思いました。
が、今回はハルヒというよりも長門有希というキャラがヒロインの座に君臨していたように思いました。ファンは嬉しかったでしょうね☆


そういえば「バック・トゥ~」も高校生が主人公の映画でした。
SFでありながら、高校生っぽい「熱」と製作者たちの「熱」を感じる作品。
映画館で観れてよかったです。

ネタバレバージョンはこちらです


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