水菓子 鳴海
演出イーボルーション【INオクタヴィネル・3】 - 水菓子 鳴海の小説 - pixiv
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9,239文字
ツイステIN黒羽快斗シリーズ
演出イーボルーション【INオクタヴィネル・3】
まじ快の黒羽快斗がツイステの世界にトリップし、オンボロ寮の監督生として生活している世界観です。
今回はオクタヴィネル寮が舞台になります。

長らく更新出来ず申し訳ありません。
次で完結できそうです。

相変わらずエーデュースの二人とは仲良しです。
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2021年6月15日 21:45

「「ディナーショー!?」」

オンボロ寮の談話室でエースとデュースが揃って大声を上げる。

夜遅い時間にも関わらず快斗によりわざわざリドルに許可を貰ってまでオンボロ寮へと連れて来られた二人は着くなり聞かされる内容に目を丸くした。

「流石…アズール先輩も商魂逞しいな」

「しかし…手伝うのが僕達で本当に良いのか?聞いている限りだと…失敗は許されそうにないし、僕達よりも先輩達の方が良さそうに思うが」

長椅子の右端に座り組んだ脚に片肘をついて顎を乗せ呆れた様子のエースに対し、その左側に座り指を組んだ手を膝に乗せて不安げな視線を向けるデュース。テーブルを挟んでゆったりと一人用のソファーに座る快斗は対称的な二人を交互に見ながら問題無いとばかりに自信を滲ませる。

「魔法を使う訳じゃないしそう難しい事を頼むつもりはねぇよ。音響と照明は向こうに頼むから、エースには壇上でオレの助手を。デュースは進行に合わせて裏方で道具の準備をしてほしい。ちゃんと手順は紙に書いて渡すし、練習もリハーサルもするから心配要らねぇよ」

「それならまぁ…なんとか」

「間近で見せてやるってそーいう事かよ…」

先に提示された御礼の内容を正しく知ったエースがぼやくのを見ても快斗は笑みを崩さなかった。

「オレそういう目立つ事あんま好きじゃねーんだけど?」

「そう言うだろうとは思ってた。オレとしては強制する気はねぇし、一応舞台に立っているのが『エース』だとは分からない様にする予定だけどな」

「どういう意味?」

言われた意味が分からず問うエースに対し快斗は企みを含ませた笑みを浮かべて答えをはぐらかす。

「まぁ…そこは追々話す。でも悪いようにはしない」

「………しゃーねぇな」

はっきりと断言する快斗にまだ完全に納得はしていないながらも、快斗が持つマジックの技術を間近で見られるチャンスは逃したくないのかエース小さく溜め息をついた。それを同意とみなして快斗は満足げに口角を吊り上げた。

「でもその話本当に大丈夫なのか?まさかアーシェングロット先輩に何か弱みでも握られてるのか?」

まだ不審が拭えないデュースが心配そうに確かめてくるのに快斗は眉を下げて笑う。

「んな訳ねーよ。前から計画自体はあったらしいけど、この前のお茶会の時の動画を見てオレを使う事を思い付いたらしいぜ」

「あー、ケイト先輩のマジカメか…」

「契約書は普通の紙だったし、約款は先に全部目を通してオレに不利な項目は全部訂正してもらうから何も問題はねぇよ」

「…流石だな」

契約書の約款まで注文を付けたと言う普通の人間ならおよそしないであろう快斗の話にエースとデュースは顔をひきつらせた。

「それに万が一の時はまたレオナ先輩に協力してもらうからって話もしてるしな。前回の事もあるし変な真似はしないだろうぜ」

「でもさ、レオナ先輩にはもう快斗に協力する理由が無いじゃん?マジでヤバい事になったらどーすんだよ」

エースの指摘にデュースも視線での無言の同意を向ける。
サバナクロー寮長であるレオナ自身も以前アズールと契約書を交わしており、前回は自身に不利なそれを破棄させる為に快斗に協力したという経緯があった。その目的は既に達成されている為、レオナが快斗に協力する理由が二人には思い付かなかった。

「そこはちゃんとアテがあるんだなぁ」

ニッと笑って自信満々に言うなり快斗はポンッと小さな音をさせて一通の封書を手の中に出現させ、それを二人に向かって徐に差し出す。

「手紙?結構良い紙っていうか…これかなり高級そうに見えるんだけど」

「裏の封蝋見てみな」

「裏…?」

差し出された封書は飾りの無いシンプルな物だった。受け取ったエースがデュースと二人で不思議そうに眺めている最中、快斗に言われた通りに封書の裏を見て真っ先に気付いたらしいエースが目を軽く見開いた。

「これって夕焼けの草原の…レオナ先輩の実家の紋章じゃんっ!」

「えぇっ!?じゃあこの手紙って、夕焼けの草原の王族からって事かっ!!」

手紙の送り主が分かり途端に封書を丁寧に扱い始めた二人に快斗は思わず笑ってしまう。

「ちょっ!何で快斗がこんな物持ってんだよっ!!」

「マジフト大会の時に来てたレオナ先輩の甥っ子さん覚えてるか?」

「えっ、あぁ…確かチェカって名前の王子様だったな」

「まさか……この手紙の送り主って…」

動揺が抜けきらない二人は急に振られた話題にますます困惑したが、快斗があえて出した名前におそるおそる視線を再び封書へと戻す。

「そういう事」

「どういう事だよ…」

あまりにも予想を外れた話に疲れた様子の二人から封書を返してもらった快斗は、再びポンッと軽い音をさせて封書を跡形も無く消してしまった。

「詳しい経緯は省くけど…少し前にお忍びで学校に遊びに来てた王子様と話をする機会があってさ、幾つかマジック見せたら気に入られちゃったってワケ。どうも話を聞いてると世話役の目を盗んでちょくちょく遊びに来てるらしいんだ。レオナ先輩は王子様が苦手みたいであまり積極的に関わろうとはしてないから、ラギーに頼まれて王子様の相手役を何度かした事があるんだ。それでレオナ先輩にはちょっとした貸しがあるんだよ」

「確か国王であるお兄さんの息子…だったよな」

「まぁ…レオナ先輩も色々複雑な事情があるみたいだし、距離を置きたいんだろうなぁ」

快斗がチェカと親しくなった理由を聞き、エースとデュースはレオナがオーバーブロットした経緯を思い出して少し複雑な心境になる。
その空気を払拭するかの様にソファーにゆったりと座り直した快斗が話を再開する。

「そういう訳で、万が一の時はどうにかなる。他に聞きたい事は?」

「…あ!契約書を交わしたって事は…もしかして報酬が出たりすんの?」

空気を読んだエースが興味津々とばかりに口元に笑みを貼り付け真っ先に口を開く。その質問内容にデュースが呆れつつも興味はあるらしく視線で快斗に問い掛ける。

「当然だろ。しかも経費は向こう持ち、予算制限は無しっていう太っ腹ぶり」

快斗に提示されている待遇は相手がアズールである事を抜きにしても破格のもので、以前アズールの契約書で散々な目に合った二人は驚きが隠せずエースに至っては腰が浮き上がる程に前のめりだった。

「マジか!!」

「それだけこの企画に力を入れているという事か…」

「まぁだからって無駄金使う気は無いけどな。ラウンジ内で…しかも客は食事しながらショーを楽しむからあまり大掛かりな事は出来ないし」

動揺が抜けない二人とは対称的に快斗は冷静さを崩さなかった。

「それで、本番は何時なんだ?」

「二ヶ月後」

「マジ!?あんま時間ねーじゃんっ」

「さっきも言ったろ?あまり大掛かりな事は出来ねぇから、言うほど準備も練習も必要ねーよ」

狼狽える二人をよそに快斗はゆっくりとソファーから立ち上がり、月光が射し込む一番大きな窓の前に立ち二人を真っ直ぐ見据える。

「当日のギャラリーは応募者から抽選で選ばれた生徒に加え各寮の寮長と副寮長がVIP扱いで招待されるらしい」

相手にとって不足はねぇよなぁ?

片手をスラックスのポケットへ入れ不敵な笑みと自信に満ちた堂々たる快斗の佇まいに圧倒されたデュースは気付かなかったが、エースはその姿を見ながら沸き上がる複雑な思いを拭い去る事が出来ずにいた。

演出イーボルーション【INオクタヴィネル・3】
まじ快の黒羽快斗がツイステの世界にトリップし、オンボロ寮の監督生として生活している世界観です。
今回はオクタヴィネル寮が舞台になります。

長らく更新出来ず申し訳ありません。
次で完結できそうです。

相変わらずエーデュースの二人とは仲良しです。
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2483387,275
2021年6月15日 21:45
水菓子 鳴海
コメント
くいり
くいり
続きは何処ですか? 永久に待機してるのでどうか気が向かれたらお願いします!
6月7日
かえり
かえり
2024年12月18日
soap
soap
2024年11月17日

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