万博協会の責任整理:法的・社会的・理念的観点と対応不在の背景
■結論
・法的には:規約の免責条項により、来場者同士の争いや炎上について協会が賠償責任を負う可能性は低い。
・社会的には:規約の曖昧さが誤解を招いたことを把握しながら、明確化や声明を怠った点で説明責任を十分に果たしていない。
・理念面では:協会が掲げる「多様性の尊重」「他者への共感」といった理念と、現実の対応が大きく乖離している。
・対応しなかった背景:事なかれ主義や組織内の責任分散、著作権問題のデリケートさから、あえて沈黙を選んだ可能性が高い。
1.事実関係の整理
・規約には「撮影に関する禁止事項(著作権侵害・侵害のおそれ)」が定められている。
・一方で「コスプレ来場は可能」とも案内されている。
・この曖昧さから「版権コスプレはNG」と解釈する来場者が現れ、対立や炎上が長期化した。
・協会は矛盾を早期に認識していたが、補足や声明を公式に出していない。
2.法的責任と社会的責任の整理
A.法的責任
・免責条項は、主催が直接関与しない来場者間トラブルに関して賠償責任を限定する。
・よって裁判で協会に法的責任を問うのは困難。
B.社会的責任
・公共性の高い事業として、規約の曖昧さを放置したことは「説明責任の未達」と評価され得る。
・FAQや補足の発表、スタッフへの周知といった対応があれば誤解は防ぎやすかった。
3.理念との乖離
協会は「いのち輝く未来社会のデザイン」を理念に掲げ、
・多様な文化や考えを尊重すること
・他者への共感を育むこと
・多様性を基盤に未来を築くこと
を強調している。
しかし現実には、
・規約の曖昧さを放置して参加者同士の攻撃や排斥を抑止できなかった
・誤解を解消する声明を出さず、個人に説明責任を委ねた
→理念と現実の乖離が明白になった。
4.なぜ協会は対応しなかったのか?(考察)
協会が「対応を控えた」背景には、組織文化やリスク回避的な判断が影響したと推察できる。
①前例を作りたくない
一度詳細な見解を出せば、他の規約解釈やトラブルにも同様の説明責任を負うことになる。
これを避けた可能性。
②責任の所在の不明確さ
誰が最終判断を下すかが組織内で曖昧であり、意思決定が先送りされた。
③著作権問題のデリケートさ
版権元に対して「暗黙の許可」を与えるように見えることを恐れ、あえてグレーを残した。
④事なかれ主義的な組織文化
「声明を出せば新たな火種になる」と判断し、短期的リスク回避を優先した。
これらの要因が重なり、「把握していても対応しない」という結果になったと考えられる。
5.結論
・法的には免責だが、社会的責任は残る。
・理念に掲げた「多様性・共感」を体現する役割を果たせず、理念と実態に乖離が生じた。
・背景には、組織的な事なかれ主義やリスク回避姿勢があり、これが説明責任の放棄につながった。
つまり万博協会は「やるべきことをやっていない」という評価は、法的・社会的・理念的、さらに組織文化的な観点からも合理的に成立します。
Quote
鹿乃つの
万博コスの人
@shikano_tsuno_
もうそろそろ万博終わるし限界だから言うけどさ。
この著作権云々のルールについて、くだらない論争がずっと続いてるのに、一切声明を出さない博覧会協会を強く批判したい。
4月段階で電話やメールでやり取りして、問題ないって言ってましたよね。Nさん。 x.com/higetatsu1/sta…
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・現段階での万博側の慎重対応は合理的と考えられます。理由として著作権法の解釈(私的利用のグレーゾーン)はイベント側が一方的に解決できる問題ではないことがあげられます。内部との連絡に関しては立証されていない情報であることから誤解を招く恐れがある。
・当人物の炎上は万博ではなく、投稿者の他での行動(SNS言動)に対する正当な批判が起点。協会の「放置」ではなく、個人トラブルを組織責任に転嫁している可能性があることに注意が必要です。
・また撮影に関してのトラブルについては万博側は一切の責任を負わないと明記されています。
(出典: 万博公式サイト)
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