日産とCFGがパートナー契約解消 マリノスとの関係「変わらない」

岩佐友

 経営再建中の日産自動車が、サッカー英プレミアリーグの強豪マンチェスター・シティーなどを傘下に持つシティ・フットボール・グループ(CFG)とのパートナーシップを解消したことがわかった。業績不振を受けた経費削減の一環。日産は2014年からCFGと契約を結び、試合会場で広告活動などを行っていた。日産は、横浜国際総合競技場(日産スタジアム)の命名権についても、現在の半額以下となる年間5千万円で1年間の更新を横浜市に打診している。

 日産とのパートナーシップを解消したCFGは、日産を親会社に持つサッカーJ1横浜F・マリノスの強化にここ10年あまり、深く関わってきた。今後、両者の関係はどうなるのか。

 横浜マの幹部は朝日新聞の取材に対し、「ベースの形は変わるが、(クラブとCFGの関係は)変わらない」と語った。

 横浜マとCFGの資本提携が始まったのは14年だ。

 CFGが日産とパートナーシップを結び、横浜マの株式約20%を取得。経営や強化の面でクラブをサポートするようになった。

 イングランドの強豪マンチェスター・シティーを筆頭に、世界各地でクラブ経営を展開するCFGは世界中に約50人のスカウトを抱え、豊富なネットワークがある。

 横浜マは選手のプレーの特徴や性格などを詳細にまとめた報告書を手に入れられるようになった。

 MFマルコスジュニオール、FWエリキ、FWヤンマテウスら横浜マで活躍したブラジル人の多くはCFGからの推薦を受けて、獲得した選手たちだ。

 それは指導者にも当てはまる。

 18年に監督に就任したアンジェ・ポステコグルー氏もCFGの候補者リストの中から選ばれた。

 伝統だった堅守から攻撃的なスタイルに転じて19年には15年ぶりのJ1優勝を果たした。22年にもJ1を制し、24年はアジア・チャンピオンズリーグで準優勝。近年の横浜マの躍進をCFGは支えてきた。

今季は残留争い

 一方、クラブの主体性が薄れてしまう懸念もある。

 今季開幕からチームを率いたスティーブ・ホーランド元監督はCFGとともに選考を進めたクラブが、最後は主体的に選んだ指導者だった。

 ただ、ヘッドコーチにはCFGの推薦で監督選考の終盤まで残ったパトリック・キスノーボ氏を置くことになった。クラブは当初、日本人を軸に検討していたが、CFGの意向を聞き入れる形に。「監督候補」から2人を選んだ体制は失敗に終わった。

 4月に成績不振でホーランド監督が解任され、後任に就いたキスノーボ氏も6月に契約を解除。現在、大島秀夫監督が指揮をとっているが、クラブ史上初のJ2降格の危機に陥っている。

 基盤となるCFGと日産の提携が終わっても、横浜マとのつながりが切れないのはなぜか。

 横浜マの幹部は、クラブがCFGとの関係性を深めていた点を理由に挙げる。

 今季から強化責任者であるスポーティングダイレクター(SD)に就任した西野努氏は昨秋、約2カ月半、英国に渡り、CFGの幹部らとともに監督の選考などを進めた。中山昭宏社長は昨年12月の会見で、「CFGとのさらなる連携が必要になる」と話していた。

 CFGも、横浜マとの提携に価値を見いだしてきた。今季はJ1で残留争いを強いられているが、約10年でスタイルを変革し、タイトルを複数回獲得したという過程と実績は成功例といえる。

 複数の関係者によると、日産は今後も横浜マの運営に関わっていくという。日産とCFGの提携は解消したが、横浜マは日産、CFGとそれぞれ結びつきながら、運営、強化を進めていく方針だ。

CFGとは

 シティ・フットボール・グループ 世界各国でサッカーに関わるビジネスを展開する事業体。クラブの選手獲得、育成、経営に投資、参画する。2014年に横浜F・マリノスの株式約20%を取得して提携。マンチェスター・シティー、ニューヨーク・シティー、メルボルン・シティーなど現在、13クラブの経営に関わっている。

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この記事を書いた人
岩佐友
スポーツ部
専門・関心分野
サッカー、バレーボール