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李箱「烏瞰図」 和訳


はじめに 

韓国20世紀初頭のモダニズム詩人、李箱
李箱の代表作である小説『翼』、そして全十五号存在する『烏瞰図』(オガムド)の内、『翼』の和訳は複数出ているが『烏瞰図』の一号の翻訳はあれど全十五号全てを和訳していたものがある個人サイトに掲載されていたのだがサーバー元であるFC2ウェブのサービス停止に伴い、サイトが閉鎖されてしまい、サイトの管理者と連絡を測ろうとしたものの消息が分からず2025年6月30日現存はしているものの存在はない状態になっている。

李箱の作品は著作権が切れており、パブリックドメイン化しているため多くが韓国のウィキペディアサイトに全文が公開されている。https://ko.m.wikisource.org/wiki/%EC%98%A4%EA%B0%90%EB%8F%84
その為、それを参照にdeepL翻訳や該当個人サイトの翻訳の魚拓を参照にしつつ全十五号の翻訳を作成した。
機械翻訳かつドブの素人なので誤字脱字誤用表現などには限りなく気をつけたつもりだがあるかもしれない。その点にはお手柔らかに生暖かい目でこっそり指摘していただきたい

『烏瞰図』

第一号

13人の子供が道路を疾走しています。
(道は行き止まりの路地が適しています。)

最初の子供が怖いと言っている。
2番目の子供も怖いと言っている。
3番目の子供も怖いと言っている。
4番目の子供も怖いと言っている。
5人目の子供も怖いと言っている。
6人目の子供も怖いと言っている。
7人目の子供も怖いと言っている。
8人目の子供も怖いと言っている。
9人目の子供も怖いと言っている。
10人目の子供も怖いと言っている。

11人目の子供も怖いと言っている。
12人目の子供も怖いと言っている。
13人目の子供も怖いと言っている。
13人の子供は、怖い子供と怖がる子供だけで集まっている。
(他の事情がない方がましだ)
その中に1人の子供が怖い子供でも構わない。
その中に2人の子供が怖い子供でも構わない。
その中に2人の子供が怖い子供でも構わない。
その中に1人の子供が怖い子供でも構わない。
(道は開けた路地でも構わない。)
13人の子供が道で疾走しなくても構わない。


第二号

私の父が私のそばで眠りにつくと、私は父になり、また私は父の父になり、それでも私の父は私の父のままなのに、なぜ私は何度も父の父の父の…… 父になるのか。なぜ私は父を飛び越えなければならないのか。なぜ私はついに私と私の父と私の父の父と私の父の父の父の役目を同時に果たしながら生きなければならないのか。


第三号

戦う人は、かつて戦わなかった人であり、また戦う人は戦わなかった人でもあった。だから、戦う人が戦いの様子を見たいのなら、戦わなかった人が戦うのを見物するか、戦わない人が戦いの様子を見物するか、戦わなかった人や戦わない人が戦わないのを見物するか、いずれかであれば十分である。


第四号

患者の状態に関する問題

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診断 0 : 1
26.10.1931
以上 責任医師 李 箱


第五号

前後左右を除いた唯一の痕跡にある
翼殷不逝 目大不覩
矮小な神の眼前で、我が傷ついた故事がある。

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臓腑なぞ、浸水した家畜小屋と何が違うのだろうか。


第六号

鸚鵡(オウム)
※ 2匹
  2匹
※ 鸚鵡は哺乳類に属する。

私が二匹を知っているのは、私が二匹を知らないからである。もちろん、私は希望するものである。

鸚鵡  二匹

『このお嬢様は紳士李箱の夫人ですか』 『そうだ』
私はそこで鸚鵡が怒っているのを見た。私は恥ずかしくて顔が赤くなったに違いない。
鸚鵡  二匹
    二匹

もちろん、私は追放されたのです。追放されるまで待たずに自ら退いたのです。私の体は軸を失い、相当にふらつきながら、私はわずかに涙を流したのです。
『あそこがそこだ』『私』『私の——あ——あなたと私』
『私』
sCANDALとは何なのか。『あなた』『あなただ』
『あなた』『あなただ』『違う、あなただ』私は深く沈み込み、獣のように逃亡した。もちろん、それを知る者や見る者はいないが、しかし果たしてそうなのか、それさえもそうなのか。


第七号

久遠謫居の地の一枝・一枝に咲く顕花・特異な四月の花草・三十輪・ 三十輪の前後する両側の明鏡・萌芽と戯れる地平を向かって、時折落魄する満月・清冽の気の中、全身傷だらけの満月が劓刑に遭い、渾然と溶け込む・ 謫居の地を貫流する一通の家書・私は僅かに遮蔽しただけだ・濛濛とした月芽・静謐を覆う大気圏の遥遠・巨大な困憊の中の一年四月の空洞・散乱倒錯する星座と星座の千裂された死角を逃れる巨大な風雪・ 降霾・血紅に染まった岩塩の粉砕・私の脳を避雷針として沈下搬送される光彩淋漓な亡骸・私は塔を配する毒蛇と価値を地平に植樹され、再び起動できなくなった・天が明けるまで


第八号

第1部 試験 手術台 1
   水銀泡平面鏡 1
   気圧 平均気圧の2倍
   温度 なし
麻酔された被験者の正面から、立体と立体のための立体が備わった全体を平面鏡に映像化させる。平面鏡に水銀を現在と反対の側面に泡を移動させる。(光線侵入防止に注意して)徐々に麻酔を解毒する。一軸の鉄筆と一枚の白紙を支給する。(実験担当者は被験者と抱擁することを絶対避けること)順次手術室から被験者を解放する。翌日。平面鏡の縦軸を通過して平面鏡を二片に切断する。水銀塗抹二回。
ETC まだ満足な結果を得られていない。

第二部実験 垂直な平面鏡 1
助手 数名
野外の実物を選択する。まず麻酔された上肢の先端を鏡面に接着させる。平面鏡の水銀を剥がす。平面鏡を後退させる。(この時、映像された上脂は必ずガラスを無事通過するものと仮定する)上脂の終端まで。次に水銀塗布。(従来面に)この瞬間、公転と自転から真空を降車させる。完全に二つの上脂を受け入れるまで。翌日。ガラスを前進させる。続いて水銀柱を在来面に途絶させる(上脂の処分)(または滅形)その他。水銀途絶面の変更と前進後退の繰り返しなど。
ETC 以下未詳


第九号

毎日、激しい風が吹き荒れ、私の腰に大きな手が触れる。
恍惚とした指紋の痕跡が、私の汗に染み込み、すぐに撃て。撃たん。
私は消化器管に重い銃身を覚え、口に含んだ弾丸の銃口を噛みしめる。
そうして私は銃を撃つ瞬間、目を閉じ、一発の銃弾の代わりに、私は自分の口で何を取り去ったのか。


第十号

破れた壁紙に死にゆく蝶を見る。それは幽界に絡み合う秘密の通話口だ。ある日、鏡の真ん中の髭に死にゆく蝶を見る。翼がだらりと垂れ下がった蝶は、息の靄に浮かぶ貧しい露を飲む。通信口を手のひらでしっかり塞ぎながら、私が死んでも立ち上がるように、蝶も飛んでいくだろう。このような言葉は決して外に漏れることはない。


第十一号

その陶器のカップは私の骸骨とそっくりだ。私がそのカップを手にしっかり握りしめた時、私の腕から突然、接木のように一本の腕が伸びてきて、その腕に付いた手は陶器のカップを勢いよく持ち上げ、床に叩きつけた。私の腕はあの陶器のカップを死守している。砕け散ったのは、あの陶器のカップと似た私の骸骨だ。枝のような腕は、私の腕に絡みつく前に、私の腕が動けば、洪水を防ぐ白紙は破れ去るだろう。しかし、私の腕は依然としてあの陶器のカップを死守している。


第十二号

汚れついた洗濯物の破片が、一塊となって空中に舞い上がり、落ちていく。それは白い鳩の群れだ。この手のひらほどの破片は、空の向こうで戦争が終わり、平和が訪れたという宣伝だ。雨鶏の群れが羽に付いた汚れを洗う。この手のひらほどの空の片隅で、白羽の雨鶏の群れを棒で叩き殺す不潔な戦争が始まる。空気に炭の黒さが不気味に漂うと、白羽の雨鶏の群れは再び手のひらほどの空の向こうへ飛んでいく。


第十三号

私の腕は、刀を握ったまま切断されて落ちた。よく見ると、何かに激しく脅かされているかのように、腕が裂けていた。このようにして失った私の両腕を、私は燭台として部屋の中に飾った。腕は死んでも、むしろ私に恐怖を植え付けるだけだった。私はこのような薄い礼儀を、花草盆よりも大切に思っている。


第十四号

古城の前に草原があり、その草原の上に私は帽子を脱いで座っていた。
城の上から、私は記憶に刻まれた古い石を結びつけ、自分の力と距離に応じて投石を始めた。捕物線を逆行する歴史の悲しげな叫び声。突然、城の下で私の帽子を被った乞食が、長勝とガティに立っているのを見下ろした。乞食は城の向こう側にいて、むしろ私の上にいる。あるいは総合された歴史の亡霊なのか。空を向いて投げた私の帽子が、切迫した空を呼ぶ。突然、乞食は優雅な風采で腰を曲げ、一つの石を私の帽子の中に投げ入れた。私はすでに気を失っていた。心臓が頭蓋骨の中に移動する地図が見える。冷たい手が私の前に差し出される。私の前には冷たい手の跡が烙印のように刻まれ、いつまでも消えなかった。
城の前には草地があり、草地の上に私は帽子を脱いで置いた。
城の上で、私は記憶に重い石を結びつけ、力と距離に応じて投げた。歴史の逆行する悲しみの叫び声。突然、城の下、私の帽子のそばに、一人の乞食が木像のように立っているのを見た。乞食は城の下で、むしろ私の上にある。あるいは、統合された歴史の亡霊なのか。空に向かって置かれた私の帽子の深さは、切迫した空を呼ぶ。突然、乞食は整った体勢で腰を曲げ、一つの石を私の帽子の中に投げ入れた。私はすでに気を失っていた。心臓が頭蓋骨の中に移っていく地図が見える。冷たい手が私の額に触れる。私の額には冷たい手の跡が刻まれ、いつまでも消えなかった。


第十五号

1
私は鏡のない部屋にいる。鏡の中の私はやはり外出中だ。私は今なお鏡の中の自分を恐れて震えている。鏡の中の私は、どこへ行って私をどうするつもりなのか、陰謀を企てている最中なのだろうか。
2
罪を背負った寝床で眠る。確かな私の夢に私は不在で、義足を収めた軍用長靴が私の夢の白紙を汚し、汚した。
3
私は鏡の中の室内へこっそりと入る。私を鏡から解放するため。しかし鏡の中の私は沈鬱な表情で同時に必ず入ってくる。鏡の中の私は私に不安な意思を伝える。私がそのために囚われているように、彼もまた私のために囚われて震えている。
4
私が不在の私の夢。私の偽物が現れない私の鏡。無能でも構わない、私の孤独の渇望者だ。私はついに鏡の中の私に自殺を勧誘することを決意した。私は彼に視野のない窓を教えた。その窓は自殺のためだけの窓だ。しかし私が自殺しなければ、彼が自殺できないことを彼は私に教えた。鏡の中の私は不死鳥に近づいている。
5
私の左胸の心臓の位置を防弾金属で覆い、私は鏡の中の私の左胸を狙って拳銃を発射した。弾丸は彼の左胸を貫通したが、彼の心臓は右側にあった。
6
模型の心臓から赤いインクが流れ出た。私が遅れた夢の中で、私は極刑を望んだ。私の夢を支配する者は私ではない。握手すらできない二人を封鎖した巨大な罪がある。


作者の言葉

なぜ皆が「狂っている」と言うのか、一体私たちは他の人より何十年も遅れていてものんきに過ごそうとしているのか。
知らないことは私の才能が足りなかったからかもしれないが、怠けて遊びばかりしていたことも少しは反省すべきではないか。他の連中のように犬くらい使ってみて詩を作れると信じてうろついている連中とは物足りない。二千点から三十点を選ぶのに汗を流した。
31年、32年の仕事で、勇気を振り絞って選りすぐったのに、皆が騒ぎ立てるばかりで、蛇の尾どころか鼠の尾も付けられず、そのまま放置されたのは残念だ。
新聞という息苦しい条件を忘れたのも失敗だったが、李泰俊と朴泰遠の二人がひどく味方してくれたことには感謝する。
鉄 _これは私の新たな道の暗示だ。今後、誰にも屈しないが、声を上げてもエコーがない無人の地は寂しい。再びこのような
_もちろん、再び他の方法があるだろうし、偽善は止めておく。
しばらく静かに勉強したり、精神病を治すことに専念する。


おわりに

詩の翻訳をしてみるのは初めてだったが文字をゆっくり読んで考えながら読んだ方が理解できるところが多くなる詩だな・・・と感じられた。

本当に正規の翻訳者様が翻訳した正しい翻訳が何かしらの形で公開される事を願っている為、このnoteは正式な烏瞰図の全十五号が公開され次第、公開を停止いたします。

「作者の言葉」にて出てきた李箱の友人であり『九人会』の会員の小説家、朴泰遠の代表作の『小説家仇甫(クボ)氏の1日』の和訳もやってみたのでよかったら目にして頂き、復刊投票に署名をしていただけると嬉しいです

https://note.com/kouseki1102203/n/nf3732e020f90?sub_rt=share_sb


最後に誤字脱字の報告などの用があればの窓口として私のwave boxを掲載しておこうと思う


https://wavebox.me/wave/5x6tpqct51xcu2h4/


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李箱「烏瞰図」 和訳|モフガネ
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