SNS「外国人の生活保護は20年で倍増」は正しい? 「優遇許せない」「日本人には増税して…」投稿増のワケ【それって本当?】
前田記者
「SNSの投稿の中には、外国人に関して不正確な情報や、誤った情報も多く見られたんです。例えば『外国人の生活保護は20年で倍増している』『日本人には増税して、外国人にはタダで金を配っている。外国人の生活保護の受給率がすごい』などです」
「このような『外国人で生活保護を受給する人が多い』とする投稿で、中には2万回以上表示されたものもありました」
森アナウンサー
「私もXでこういった投稿を目にすることも何度かありましたが、実際にどれくらいの外国籍の人たちが生活保護を受給しているんですか?」
前田記者
「20年分のデータを調べてみました。日本国籍を有していない、つまり外国籍の方が世帯主で、保護停止中も含めて生活保護を受給している世帯数の推移のグラフがあります(1か月平均、厚生労働省の調査より)」
森アナウンサー
「外国籍の方の世帯数は増えている、ということは合っているわけですね」
前田記者
「そうです。2004年度は2万7918世帯、2023年度は4万7317世帯。過去20年で見ると、約1.7倍に増加はしています。ただ、ここで見ていただきたいのが、全体の生活保護の受給世帯数との比較です」
森アナウンサー
「日本国籍を持った世帯主も含む全体の生活保護の受給世帯数と、外国籍の方が世帯主の生活保護受給世帯の数のグラフを比べると、全体が増えていることになります」
前田記者
「2023年度では 全体の受給世帯数は165万478世帯。外国籍の方が世帯主で、生活保護を受給している世帯の世帯の割合はここ20年変わっておらず、全体の約3%で推移していることが分かりました」
「割合はほとんど変わっておらず、外国人だけ生活保護が増えているとは一概には言えません」
山崎誠アナウンサー
「確かに数は増えているけれども、全体的にも増えていて、割合としては変わっていない。決して優遇されているわけではないということだと思います」
「こうしたグラフやデータは1つだけではなく、さまざまなものを見て、見方を定めていかないといけないですね」
前田記者
「また、SNS上では『外国人がなぜそもそも日本の生活保護の対象になるのか』といった内容の投稿もありました」
「生活保護法では生活保護の対象を日本国民としていますが、戦後に出された当時の厚生省の通知によって、自治体の裁量で困窮する外国人も対象となるという運用がこれまで継続されます」