トランプ氏が国連を批判 総会で一般討論演説 「7つの戦争を私が終わらせた」と成果誇示

国連総会一般討論で演説するトランプ米大統領=23日、米ニューヨークの国連本部(AP=共同)
国連総会一般討論で演説するトランプ米大統領=23日、米ニューヨークの国連本部(AP=共同)

【ニューヨーク=塩原永久】国連総会の一般討論演説が23日午前(日本時間同日夜)、米ニューヨークの国連本部で開幕した。トランプ米大統領は演説で、「終結させるのは不可能といわれた7つの戦争を私が終わらせた」と語り、国際紛争を巡る自身の外交成果を誇った。「国連の代わりにやらざるを得なかったのは残念だ」と述べ、紛争解決に向けた国連の機能が不十分だと批判した。

国連総会に合わせ、各国にパレスチナ国家の承認が広がっていることに関し、トランプ氏は「紛争を助長する」ようなものだと非難。「(イスラム原理主義組織)ハマスのテロリストの残虐行為に対し、あまりにも寛大だ」と話し、承認の動きに強く反対した。

また、厳しい移民政策で不法移民の流入を著しく減少させたと強調。国連が「管理不能」な移民の動きを助長していると批判し、改めてグローバリズムへの敵対的な姿勢を鮮明にした。

トランプ氏は貿易で米国が不利に扱われてきたと主張するなど、既存の国際秩序が米国にとって不当だと訴えてきた。演説でも自身が掲げる「米国第一」の立場を改めて強調した。

トランプ氏は演説で、自身が停戦に導いた紛争として、タイとカンボジアによる武力衝突や、イスラエルとイランの紛争を挙げた。多くの紛争解決につなげた実績により、ノーベル平和賞を受賞してもおかしくないとの認識を示した。

トランプ氏は2月、国際機関への資金拠出の見直しを命じる大統領令に署名。国連教育科学文化機関(ユネスコ)からの脱退や米国際開発局(USAID)廃止といった対応を打ち出してきた。

国連のグテレス事務総長はトランプ氏に先立ち演説し、国連の機能が制限され、平和の追求や気候変動などへの対応が十分でないと危機感を表明。「国連は道徳の羅針盤であり、国際法の守護者だ」と重要性を訴え、効率的な組織に改革する決意を示した。

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