石破茂首相の退陣表明に伴う自民党総裁選が22日、告示された。小林鷹之元経済安全保障担当相(50)▽茂木敏充前幹事長(69)▽林芳正官房長官(64)▽高市早苗前経済安保担当相(64)▽小泉進次郎農相(44)――が立候補を届け出て、5人による争いとなった。物価高対策を含む経済政策や、野党との連携、7月の参院選大敗を受けた党の「再建」が争点になるとみられ、国会議員票と同数の党員・党友による地方票の獲得が鍵を握る。10月4日に投開票され、新総裁が選出される。
候補者5人は22日、党本部で開かれた所見発表演説会やテレビ番組で、それぞれの政策などを訴えた。
小林氏は「諦めではなく希望を、頑張れば報われるという実感を。現役世代がそう思えるような日本をつくる」と語り、時限的な所得税の定率減税や防衛費の引き上げなどを掲げた。人工知能(AI)や宇宙といった分野への投資や、法改正による経済安全保障政策の強化なども打ち出した。
茂木氏は「私は組織の上に立つのではなく、先頭に立って逆風を受け止め、日本を前に進めたい」と挙党態勢に向けた意欲を強調。首相に就任した場合は、閣僚の平均年齢を10歳若返らせ、女性を3割登用するとアピールした。増税ゼロの政策も推進するとした。
林氏は「政権中枢にいた責任を感じながらも、この経験を生かして、継承の中に変化、革新を求める」と述べた。実質賃金の「1%程度の上昇の定着」を公約に盛り込み、地球温暖化対策の産業化を進めると表明した。低・中所得者を支援する新制度導入にも意欲を示した。
高市氏は「日本をかけがえのない国にしてきた古来の伝統を守るために体を張る」と訴え、外国人の受け入れに関しては厳格に対応する考えを示した。坂本龍馬の言葉を引き合いに「日本を今一度洗濯する。公平で公正な日本を実現し、若い人に良かったと思ってもらえるようにする」とした。
小泉氏は「自民党に足りなかったのは国民の声を聞く力。国民の求める安全と安心を実現する党として、自民党を立て直していこう」と呼びかけた。所得税の基礎控除を物価や賃金上昇に応じて調整する制度の導入を主張。物価高対策や社会保障など国民の関心が高い政策については「野党に幅広く協議を呼びかけ、合意を模索する」とした。
総裁選は、国会議員票295票と党員・党友票295票の計590票で争われ、過半数を得た候補が新総裁に選ばれる。過半数に届かなかった場合は、上位2人による決選投票に進む。決選投票は国会議員票295票と都道府県票47票で争われるため、国会議員票の比重が大きくなる。党によると、投票資格のある党員らは前回から約14万人減の約91万人。【畠山嵩、内田帆ノ佳、遠藤修平】