死に様
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エージェント・河上は緋色の空を飛んでいた。

「ああ思い出した。鳥を…閉じ込め…。」

祁院管理官は暴れるエージェント・河上に銃を突き付けていた。

「認識災害に無許可アクセス。すまないが終了だ。」

乾いた銃声が鳴り響く。祁院は手を合わせると、葬祭部門に連絡を入れる。

「私は何人殺さなければならないのだ。」

食堂へ行き、そう嘆いていた祁院は、今は亡きクレフ博士に言われたことを思い出す。

「いちいち悲しんでちゃ何も出来ねえぜ。ここにいる以上あきらめろ、といってもまだ無理か。ハハ。」

それを思い出し、もう無理か、と割り切った祁院は、ラーメンを食べ始める。しかしなぜかクレフのことを思い出してしまう。

「そういえば、あいつはなぜ死んだのだろう。」

憶えていた気もするが、思い出せない。自分はいつ死ぬのだろうと考えたが、財団にいる以上それはわからない。そして、その時はすぐにやってきた。爆発音がして、扉が破られた。よくいる現実改変者の襲撃だった。どうやら蛇の手所属らしい。肩のパッチがそう言っている。避難命令が出て、避難を進めていたが、どうやら内部ヒュームが高いらしく、簡単に阻止される。次々と職員が死んでいく。

「俺に任せて行け。」

祁院はそう言うが、エージェント・月見里が止める。

「だめです管理官。逃げてください。」

しかし祁院は命令だと言って部下を逃がす。自らの現実改変能力で武器を作り出し、戦闘を開始する。

「結局一番人間性が残っていたのは俺かよ。管理官にもなったのに…俺はまだ未熟だな。」

敵は強く、祁院はすぐに命を奪われる。祁院は死に際にクレフのことを思い出した。

「ああ、そうだ。あいつもこうやって死んだんだったな。」

記憶をたどろうとしたが、すぐに意識が途絶えた。後には何も残っていなかった。

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