「まるでぼったくり」無事故なのに6万5000円…レンタカー会社が"見えない傷"に修理代を請求し始めたワケ
AI検査はアメリカだけでなく、イギリスにも広がっている。英テレグラフ紙によると、レンタカー大手のシクスト(Sixt)社がロンドンのヒースロー空港で、仏プルーヴステーション(ProovStation)社製のAIスキャナー「カーステーション(CarStation)」を導入している。 同社のガブリエル・ティサンディエCEOはソーシャルメディアのリンクトインで、この技術で「レンタカーの透明性と信頼が刷新される」と投稿。同スキャナーは「車を1ミリ単位でスキャンし、あらゆる損傷や変化を見逃さない」とうたう。 ■日本人旅行者にはさらなる負担に 英国車両レンタル・リース協会(BVRLA)の広報担当者は、「アメリカで車両損傷スキャナーの使用が拡大しており、イギリスでも導入が始まっている」と認めた上で、利用者にすぐ結果が分かる利点もあると述べている。 しかし現実には、レンタカー利用の負担が増えている形だ。これまでであれば社会通念上請求対象とならなかった傷についてまで、AIの執拗な検査で請求される。回避するには、どの店舗にシステムが導入されているか、ネットでの情報収集が欠かせない。 日本からアメリカへ向かう旅行者にとっても、この問題は他人事ではないだろう。レンタカーを借りる際、利便性を考えれば、空港で借りるケースも少なくない。 言語の壁がある日本人旅行者は、とりわけ不利になる。返却後に突然「損傷を検出」の通知を受けても、英語でのやり取りに不慣れな場合、適切に主張を伝えることは難しい。チャットボットとの会話、カスタマーサービスへの電話、現地スタッフとの交渉など、すべて英語でやり取りしなければならない状況で、傷について反論することは相当な負担になる。 今のところ確実なのは、残念ながらハーツを避けることだ。しかし、「収益が6倍になる」とうたわれている技術だけに、他社も追いかける可能性は否定できない。また、イギリスにもすでに導入されていることから、日本国内のレンタカー店舗に導入が広がる日も遠くないのかもしれない。 ---------- 青葉 やまと(あおば・やまと) フリーライター・翻訳者 1982年生まれ。関西学院大学を卒業後、都内IT企業でエンジニアとして活動。6年間の業界経験ののち、2010年から文筆業に転身。技術知識を生かした技術翻訳ほか、IT・国際情勢などニュース記事の執筆を手がける。ウェブサイト『ニューズウィーク日本版』などで執筆中。 ----------
フリーライター・翻訳者 青葉 やまと