「退職金と年金をチマチマ貯めた400万円が消えました」 『みんなで大家さん』で人生初の投資に挑戦し虎の子の金を失った71才男性の悲劇「投資は家族にも内緒で…」
投資信託より安全!?
リンク総合法律事務所の弁護士の小幡に裁判の見通しを聞いた。 「成田PJは問題がわかりやすい。計画地の価格自体が市場価格に基づかず、グループ内で市場価格の100倍に評価されている。そこが一番大きな問題です。実際に土地を売却するとして、その金額で売れるのか。極めて疑問があります」 こうたたみかける。 「みんなで大家さんのパンフレットには、さすがに元本保証とは書いてないですが、元本の安全性を高めた商品であると宣伝しています。安全面は、定期預金がいちばんで、次が個人年金保険、その次がみんなで大家さんと書かれています。投資信託やJリートより安全だと強調されていて、株式投資には株価の変動により元本割れの可能性もあると……」 つまるところ、投資リスクについての説明が足りず、買いやすいように誘導しているというわけだ。リスクの説明不足は投資商品として大きな欠陥といえる。現に共生バンクに事業許可を下ろした東京都や大阪府は昨年6月、出資者に対する投資リスクなどの説明不足による1か月の業務停止という行政処分を下している。このときも解約が殺到した。 かたや、共生バンクでは逆に東京都や大阪府に対し、業務停止の執行停止などを求めて提訴する反撃に出た。地裁で共生バンク側が勝ち、高裁で行政側が逆転、現在も訴訟が続いている。もとより業務停止はひと月だけなので、みんなで大家さんは裁判の続く間も営業を続け、さらに被害が膨らんだのではないか。そう言わざるをえない。出資金の返還訴訟について、小幡が言う。 「民事裁判で、出資金の返還請求や損害賠償請求が問題となります。刑事事件になる場合には、不動産特定共同事業法違反に問われる可能性もありますが、さらに騙す意思が働いていたレベルになれば詐欺罪という話になります」 共生バンクは「訴訟提起の事実を把握しておりませんが、訴状が裁判所から届きましたら、誠実に訴訟対応を行って参る所存です」としている。バナナ農園にしろ、成田PJにしろ、共生バンク側はあくまで計画を進めていると言い張る。だが、それらはアリバイ作りにしか思えない。 * * * マネーポストWEBの関連記事《【みんなで大家さん問題】出資者たちが20億円返還訴訟へ「虎の子の退職金と年金を失った70代男性」「CMを見て手を出した銀座のママ」なぜ大金を投じてしまったのか》では、みんなで大家さんの出資者たちの嘆きや、なぜ大金を投じてしまったのかについて詳細に紹介するとともに、返金訴訟に対する見通しを弁護士に聞いている。 【プロフィール】 森功(もり・いさお)/ノンフィクション作家。1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て2003年よりフリーに。2018年、『悪だくみ──「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大宅壮一ノンフィクション大賞受賞。『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』、『菅義偉の正体』、『魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史』など著書多数。 ※週刊ポスト2025年10月3日号
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