円安の効果
大和総研の試算によると、23年1月時点の円相場(1ドル=130円50銭)から10%円安が進むと、実質国内総生産(GDP)を0.1%押し上げる効果があるという
10%の円安で製造業の経常利益は5%弱、非製造業も1%程度押し上げられるとも試算する。
実質国内総生産とは実質GDPの事で、実際の生産量になります。
- 100円のりんごを一個生産した場合、名目GDPは100円で、豊かさはりんご1個分です。
- 物価が上昇して1000円のりんご1個を生産した場合、名目GDPは1000円になりますが、豊かさはりんご1個です。
- このりんご1個が実質GDPになります。
- 実質GDPでは物価の影響を取り除くので、この場合の実質GDPは、物価上昇前も、物価上昇後も100円です。
どこまでの円安が経済にとってプラスなのか
円安はインフレ率を上昇させる要素を持ちます。
人類の経験則から、インフレ率は2~3%が良いとされていて、円安によりインフレ率が2~3%を超えるあたりから、円安は経済に悪影響を与える可能性があります。
ほとんどの場合は、インフレ率が高くなりすぎることを防止し、目標値まで下げるよう誘導するが、その逆の場合もある。
インフレターゲットは元々、高いインフレ率に苦しむ国で採用された
健全なインフレ率は、人類の経験則から2-3%といわれている
インフレターゲット政策を採用した国は採用後、インフレ率が低下する一方で、実質GDP成長率は上昇
近隣窮乏化政策
政府が為替相場に介入し、通貨安に誘導することによって国内産業の国際競争力は増し、輸出が増大する。さらに国内経済においても国産品が競争力を持ち、国内産業が育成される。やがて乗数効果により国民所得は増加し、失業は減少する。
その一方で貿易の相手国からすると、通貨高による国際競争力の低下、輸入の増大と輸出の減少、雇用の減少を引き起こすことになる。
輸入材料100円、輸出完成品1000円とします。
100円から110円の円安になった場合(10%の円安になった場合)
- 輸入材料は100円(1ドル)から110円(1ドル)になり、日本から見て10円の上昇です。
- 輸出完成品は1000円(10ドル)から1100円(10ドル)になり、日本から見て100円の売上上昇です
- 10円のコスト増に対して、100円の売上増になり、差益が大きくなります。
- 円安になり、コスト上昇分の10円を足して1010円で売る場合、日本視点では10円の値上げ、アメリカ視点だと、9.18ドル(9ドル18セント)になり、0.82ドル(82セント)の値下げになります。結果、価格競争で有利になります。
輸入材料100円、輸入完成品1000円とします。
100円から110円の円安になった場合(10%の円安になった場合)
- 輸入材料は100円(1ドル)から110円(1ドル)になり、日本から見て10円の上昇です。
- 輸入完成品は1000円(10ドル)から1100円(10ドル)になり、日本から見て100円の上昇です。
材料の輸入だと10円のコスト増、完成品の輸入だと100円のコスト増になり、完成品の輸入の方がコストが上昇します。
結果、国内で生産をした方が安く済むようになる場合があり、国内産業が発展します。
- 完成品を輸入して1000円を払う場合、外国に1000円が渡ります。
- (外国のGDPが1000円分上昇します。)
- 円安になり。
- 材料を輸入して110円を支払い、自国で完成品を作り1050円で売る場合、外国に110円、自国に「1050円 ー 110円 = 940円」支払うことになります。
- (外国のGDPが110円分上昇します。日本のGDPが940円分上昇します。)
- 消費者視点で見ると50円の値段上昇ですが、国内市場で940円の循環が起き、誰かの給料上昇に繋がります。
- (現代では、消費者=生産者です)
円安
外国人旅行客の増加による消費
東京都は13日、2024年の外国人旅行者数が前年比27%増の約2479万人だったと発表した。過去最多を2年連続で更新した。円安を背景に増加傾向が続いた。外国人の観光消費額も過去最高を更新し、前年比44%増の約3兆9625億円だった。
外国人旅行客により米がよく売れる。
【お米はなぜ足りなくなった?】
代表的な要因は4つあるといわれています
2.外国人の消費が増えた
今年はたくさんの外国人旅行者が円安の日本にやってきました。日本食は大人気ですから、日本での消費も増えたと言われています。さらには米の輸出も増えています。
百貨店の売り上げが上がる
2024年は円相場が7月に約38年ぶりの円安・ドル高水準を更新。訪日外国人(インバウンド)客の恩恵もあった。小売り・外食など地域の消費拡大につながった
百貨店の販売額は9月まで31カ月連続で前年同月を上回った。高級ブランド、化粧品などの売り上げが好調。
Jカーブ効果
外国為替相場の変動に対し、その効果が現れるまでタイムラグがあり、短期的には予想される方向とは逆の現象が起こること。
円安の進展は、当初は貿易収支が悪化するものの、それが一定期間を経過すると黒字に向かって上昇する(J字型を描く)。逆に、
円高は日本のドル建ての輸出価格が上昇し、輸出量の減少は遅れるために、一時的に輸出総額が増え、
その後減少していく(逆Jカーブ)ことになる。
黒字に向かう要素になるだけで、他の要素により打ち消されたりする場合があります。
また、黒字に向かうだけで、黒字になるとは限らないです。