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LOCAL PRODUCE BOOK (6) 「ブランディング&デザイン論」

つづいて、今回は【どのように?】についてです。

このパートは、①デザイン ②情報発信の2点を説明しますが、今回は「①デザイン」についてお話したいと思います。情報を伝えるために最重要な要素が、デザインです。

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誰に(ターゲットを定めて)、何を(伝えるべき情報の"強み"を整理して)、それをどのような形で具現化し、また魅力的に伝えるか。

前述しましたが、何かイベントを企画する時も、商品・サービスを開発する時も、他人に伝わらないと何も始まらりません。しかし、その伝え方が上手くないケースがローカルにはたくさん転がっています。せっかく美味しいのに、せっかくいい取り組みなのに…など。

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磨けば光るというかすでに光ってるものがたくさん。それ故にもどかしさを感じることが多い


僕がローカルで今のような活動をしようと思ったきっかけもここにあります。2005〜2009年頃、高崎という群馬の地方都市で大学時代を過ごした自分にとって、高崎で目にした熱意あるプロジェクトも、素晴らしい活動をしているお母さんたちのNPOも、足りないのは「デザイン」でした。

これだと伝わらない、もったいない。その感覚が今も残っています(卒論のテーマは『地域におけるデザインの重要性』でした。思えばずっと同じことをしています)。

故に、既にいい活動をしていればいるほど、またこれからしようとすればするほど、情報の伝え方、そして伝わり方をしっかりと設計してもらえるといいと思います。その具体的手法についてお伝えしますね。ここは "興味のない消費者を振り向かせる技術" を徹底的に鍛えられた広告会社出身者の本領発揮パートでもあります。押忍。


デザインを正しく選ぶ・決めるのは、あなた

たとえ自分でデザインの仕事をしていなくても、仕事やプロジェクト、事業をはじめる場合、デザインを誰かにお願いして、デザインを正しく「選ぶ」「決める」ことはしなければいけません(たいていは複数アイディアを提案され一つに決める)。誰しもデザインを見る目を持っていなければいけないのです。

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よく勘違いされますが、富川はプロデューサーでありデザイナーではないので、自分でイラレなどのデザインツールを用いてデザインすることはありません。イラレはほぼ使えません。また、美大出身者でもありません。それでも、ポイントを押さえておけばデザイナーに的確に指示ができるようになります。

というか、必要に迫られてできるようになりました。というのも前職の広告会社時代は、新卒の22歳から「プロデューサー」という肩書きをつけて、初心者にも関わらず年上の経験豊富なデザイナーやエンジニアに指示を出さないといけない立場でした。
なかなか難しい立場でしたが、このプロセスを経たことによって自分のデザイン観のインナーマッスルは大いに鍛えられました。今回はそうした経験も踏まえて書きたいと思います。


「ブランディング」の語源

さて、デザインの話を始める前に、「ブランディング」について触れておきましょう。ブランディングやブランドという言葉は一般的にも使われていますが、その意味や語源まで理解している人はどれぐらいいるでしょうか。

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いわゆる"ブランド"もの
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スタバ、apple、SONY、昭和だと読売巨人軍とか。事例が古い



ブランドの語源は、brandr(ブランドル)といい、もとは焼印をつけるという言葉だといいます。つまり、牧場である牛とある牛を区別する際など、家畜を判別する際に生まれた言葉です(諸説アリ)。

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そこから派生して、ある商品を別の(類似した)商品から区別するための一連の要素と定義されています。商品のデザインやマーク、商標、キャッチフレーズなどですね。

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書籍化する際はきちんと引用元を記載します。※「商品」をサービスや会社などに置き換えてもOK


ブランディング ≒ クリエイティブにカッコよくすることみたいな、デザインに関する概念だと思いがちですが、ブランディングが上記のような定義だとすると、もう少し根本的であり、他と差別化をする一連の行為・活動だということがわかります。つまり前回話していたSWOT分析などを用いて、他と比較して強みをつくること自体がすでにブランディングでもあるのです。

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ブランディングを支える「デザイン」

そうした前提に立ちながらさらに考えたいこととしては、その「差別化ポイントを適切な形で表現・デザインすることができるかどうか」です。

これが差別化ポイントだ!となっても、見当違いなデザイン、クオリティの低いデザインになってしまっては伝わるものも伝わりません。以下の①と②の工程を踏んではじめてブランディングは成立します。

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ブランディングの流れ


これまで遠野で多くのブランディングを担当してきましたが、最終アウトプットになるデザインは何より大事だと考えています。そのもの自体に宿る100の魅力を"100のまま"伝えたいと思ってやっています。

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デザインにそこまで予算をかける認識が高くないローカルですと、デザインのクオリティが低かったり、自分で作ってみたり(悪いことでは全然ないですが)、ほんわかしたりしているテイストのものが多いので、何も考えずに進めてしまうと、デザイン領域で差別化できずに埋没してしまうのです。これではブランディングは完結しません。繰り返しますがが、ブランディングは差別化の活動なので、デザインパートにおいても差別化を意識しましょう。


デザインの「御本尊」

では、具体的な「デザイン」に関する話に入ります。どうしたら、情報が的確に伝わるデザインになるか、またデザインを的確に指示、ディレクションできるか。そのポイントは「御本尊」を持つことです。

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「御本尊」といえば、お寺の本堂の中央に鎮座する仏様のことですね。年に一度ご開帳の時にしかお顔を拝見できないものもあったりする、あれです。信仰の根本、中心のことを指します。人々の意識が集中するコアであり、私たちが大切にしていて、また立ち返ることのできる源のようなものです。

いきなり何を言ってるのかと思われるかもしれませんが、ここでは、「御本尊 ≒ 作りたいデザインのイメージ、または参考事例」としましょう。

日頃デザインになじみのない人や、デザインパートに入るとデザイナーにお任せになってしまう人によくあるのは、おそらく苦手意識があったり、デザインは特殊な領域のものだと思い込んでいたりする結果、この御本尊 ≒ 作りたいデザインのイメージを持たぬまま指示していることが多いのではないでしょうか。

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御本尊をここではこう定義します。※一般的な用語としての「御本尊」の使い方ではないので、対外的に使うときは別の言葉にしてくださいね


例えば、2017年に遠野市への移住促進PR施策として「TONO BOOK」という遠野を紹介する冊子をプロデュースして制作しました。移住促進冊子というと、いわゆる「山!」「人!」「畑!」「笑顔!」みたいな写真とほんわかしたデザインがかつては多かったものですが、それとは明確に切り分けたデザイントーンにしました。遠野なのに、河童も一匹も登場しません。

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この時、デザイナーさんや制作スタッフに伝えたデザインのイメージ(=御本尊)は雑誌『TRANSIT』でした。移住冊子のコンセプトを本屋に行って考えていた時に目に留まったのが『TRANSIT』であり、遠野の景色って北欧とか海外ぽいよなぁと思っていたので、遠野を海外のどこかの国のような切り口で紹介できたら面白いかも、と思って全体のプランニングをしました。

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こうした「御本尊」を持てると、自分やデザイナーも含めたチーム内で方向性がブレないし、途中ですこし方向性と違うデザイン案が上がってきた時にも、「俺らの目指すゴールってここですよね?」と、ディレクションもしやすいです。デザインに馴染みがなかったり、苦手意識を持っている人なら尚更、御本尊を持っているといいです。

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ちなみに、デザイナーの感性を尊重してあえて具体を示さずにお願いするケースもあります。ただ、それは後から修正やコントロールができるスキルを持っている場合に限ります。

具体イメージを伝えなくてもデザインはできるはできますが、自分がイメージしたものになるか、または目的に合致するものになるかはわかりません。美容室で「お任せでお願いします」と伝えて美容師さんが困るやつと似てますね。その場合、自分の満足度も高くなかったりします。

書籍化した場合は、実際のデザインと、デザイナーに依頼する際に考えていた御本尊も紹介したいと思います。表面的にデザインやトーンを参考にする場合もあれば、もう少し深い部分や、抽象度を上げてメタ的に参考にする場合など、様々あります。また、同じジャンルのデザインを参考にすることもあれば、違うジャンルのデザインやアウトプットが御本尊になる場合もあります。また、「言葉」の時や、ある「曲」だったりすることも。要素を分解できれば再構築できるので、対象へのより深い洞察が必要になります。

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つべこべ言わず、まずインプット「量」

ちなみに、「御本尊」は大きな本屋さんで探すことが多いです。ネットでも探せなくはないですが、自分の興味領域に偏る可能性があるため、偶然の出会いが少ないように感じます。

本屋さんは大量のテーマの本が並び、ある程度編集された言葉とデザインが並んでいるデータベースです。また、ページをめくったり、次々に自分の手を動かして情報を浴びることができるため、フィジカル的にも脳を回転させて考えることができます。なので、モヤモヤ考えるよりも早めに本屋に向かってしまい、店内をぐるぐる回りながら参考になるものを探すようにしています。

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ただ、本屋に行っても御本尊をどれにすればいいかが分からない、選べない!という声もありました。確かに。

そんな時は、自分が必要としているジャンルの中で、特集されているもの、結果が出ているもの、アワードなどを表彰しているもの、専門家や世間に評価されている事例を見て分析することです。また、デザインに関しても、商品パッケージのデザイン、ロゴデザインなどの本があるため、そのコーナーで、ピックアップされているものをとにかく見ましょう。

それで、作り手たちが何を大切にして、何を目的に(なぜ、誰に、何を)作っているのかを自分なりに考えるのです。また、そもそも、なぜそれが評価されているのだろう?と考えることです。

この圧倒的インプットが大事であり、デザインを決める目を養うことができます(デザインに限らず、すべてのことに言えると思います)。僕も何かプロジェクトを始める場合などは、チームの中で一番インプットしている状態をつくることを意識しています。誰よりも知っている、また考えていることは、そのまま企画力に直結します。

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ちなみに、自分のことですが、小学校高学年から高校卒業まで、実家のケーブルTVにたまたま入っていた音楽配信チャンネル「スペースシャワーTV」が大好きでした。

部活から帰ってくると、すぐチャンネルを開き、最新のアーティストのかっこいいミュージックビデオを観るのが日課でした。好きなアーティストはもちろん、スペースシャワーがその月にピックアップしたアーティストや、ミュージックビデオアワードを受賞した国内外のアーティストの映像などを音楽とともに大量に摂取しました。その感覚は、今も腐葉土のように豊かな土壌として身体に残っており、デザインを判断する際のベースとなっています。

「センス」で片づけられがちな議論ですが、そのセンスもインプット「量」次第です。一定の量がないと比較対象がないために質も上がってこないのです。つべこべ言わないでいいものをたくさん見ましょう、体験しましょう。

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実際、デザインを制作するプロセスを見ても、デザインは天から降りてくるものではなく地道なプロセスを経て生み出されていることが分かります(以下)。御本尊の検討、インプット、事例調査、デザイン案複数検討、色味や形の調整などなど。

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最後に、デザイナーへ指示を出す場合は企画フレームと同様に以下の情報は整理しておくのが良いです。ちなみに、デザイナーさんも悩みながら作業をしていることが多く、一発で100点が出せるわけではありません。何度もやりとりしてブラッシュアップした先にいいものが出来上がります。そのためにも的確な修正指示を出せるようになりましょう。

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以上、「どのように?」のデザインについてでした!

実際の案件における具体的なディレクションなどを説明しないと伝わりにくいかなと思いましたが、書籍では詳しくお伝えできたらと思います。次回は「情報発信」について書きたいと思います。それではまた!

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