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小松基地問題研究会

20250402尹奉吉墓碑用地使用許可取消訴訟 判決文

2025年03月26日 | 尹奉吉義士
3・25 尹奉吉墓碑用地使用許可取消訴訟 判決文

 3月25日、金沢地裁で、尹奉吉墓碑用地使用許可取消訴訟<令和6年(行ウ)第14号>の判決があり、傍聴してきた。「却下する、訴訟費用は原告負担」とだけ述べて閉廷した。

 判決主文は「1 本件訴えを却下する。2 訴訟費用は原告の負担とする」であり、裁判所の整理によれば、次のような論理構造になっている。
<被告金沢市と原告の主張>
 金沢市は「本件訴えは住民訴訟であるから、問題となった行為が財務会計上の財産管理行為でなければならない。しかるに、本件処分は、亡尹奉吉が本件墓地内に埋葬されていた歴史的事実や、関係団体からの要請、日韓関係への配慮等諸般の事情を踏まえ、行政財産の目的外使用として許可した処分であるから、本件墓地の財産的価値に着目してその価値の維持、保全を図る財務的処理を直接の目的とする財務会計上の財産管理行為に該当しないことは明白であり、本件処分に基づいて本件慰霊碑を設置する行為もまた財務会計上の財務管理行為に該当しないことは明白である。したがって、本件処分は住民訴訟の対象とはならず、本件訴えは、不適法であるから、却下されるべきである」と主張している。
 他方、原告は「本件処分は、目的外使用許可として許容される範囲を超えており、違法である。しかるに、違法な処分に基づいて本件慰霊碑を設置することは許されないのであるから、被告は、本件処分を取り消すべきであるのに、何らの対応もしておらず財産管理を怠る事実として違法である」と主張している。

<裁判所の判断と結論>
 両者の主張をもとに、裁判所は「本件墓地は、金沢市が設置した墓地であって、行政財産であるところ、本件処分は、亡尹奉吉が本件墓地内に埋葬されていた歴史的事実や、関係団体からの要請、日韓関係への配慮等の経緯を踏まえたものであることがうかがわれ(甲4,7)、墓地の本来的な用途に従った利用ではないから、行政財産についての目的外使用許可(地方自治法238条の4第7項)であると解される。そして、目的外使用許可は、あくまでも行政財産の用途又は目的を妨げない限度において行われるものであり、公用若しくは公共用に供するため必要を生じたとき等には、その許可を取り消すことが出来るのであるから(同条9項)、その中核的な性質は、財産管理の作用ではなく、公務管理者としての行政管理の作用にあると解される」、「また、本件処分が土地の使用許可という財産管理の一面を有するとしても、同処分によって本件墓地の財産的価値に影響が及ぶものとは認められず、本件慰霊碑の設置を許可するか否かは、結局、本件墓地を設置した行政目的を達成、維持することとの関係において考慮すべき事項であるから、行政管理上の問題であるといわざるを得ず、本件処分は、財産的価値の維持・保全を図ることを直接の目的とする財産管理としての性質を有するものではないというべきである。」、「したがって、本件処分は、財務会計上の行為には当たらないというべきである。」と判断した。
 そして、裁判所は「本件処分は、住民訴訟の対象となる行為とはいえないから、本件訴えは不適法である」、「よって、その余の争点について判断するまでもなく、本件訴えは不適法であるからこれを却下することとして、主文のとおり判決する」と締めくくっている。

<判決の本質的根拠>
 この判決で最も注目すべきは、原告が提出した甲7号証(「尹奉吉義士の金沢殉国と顕彰事業」金祥起(注))である。甲7号証には、尹奉吉が朝鮮独立のために上海爆弾事件を挙行し、三小牛山で処刑され、野田山に暗葬されたいきさつが書かれている。金祥起さんは憲兵司令官秦眞次の報告書(「死刑執行ヲ終ルヤ直ニ遺骸ヲ清メ納棺ノ上…金沢市野田山陸軍墓地ニ接続セル金沢市共同墓地両側ニ深サ約六尺ヲ堀開同所ニ埋葬シ午前十時三十分全部終了セリ」)を引用し、「野田山共同墓地の片隅に埋葬された」と書いている。
 裁判所は尹奉吉の遺体が野田山墓地の通路に遺棄されたという事実認識に立ち、「亡尹奉吉が本件墓地内に埋葬されていた歴史的事実」を明確に認定し、判決では、行政財産についての目的外使用許可(地方自治法238条の4第7項)の是非を争点にしているが、その背後にある尹奉吉の不法埋葬(死体遺棄)こそが野田山墓地に尹奉吉墓碑が建てられた直接の原因であり、金沢市が墓地使用を許可する必然性を認定しているのである。
 この判決にたいして、原告<西村+大西>は3月30日付けで控訴し、控訴理由として「6項目」を述べ立てて、判決理由「ア」「イ」に反論しても、「亡尹奉吉が本件墓地内に埋葬されていた歴史的事実」を覆さない限り、説得力はないだろう。
(注:file:///C:/Users/user/Downloads/ks_9_kimsangki.pdf)

 以下に「判決全文」を添付して、報告とする。
不鮮明な画像からの翻刻なので、誤記載の可能性があり、注意して下さい。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
令和7年3月25日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官
令和6年(行ウ)第14号 怠る事実の違法確認請求事件(住民訴訟)
口頭弁論終結日 令和7年2月14日

判決
金沢市粟崎町(以下略)
 原告 大西・・
金沢市広坂1丁目1-1
 被告 金沢市長 山村卓
 同訴訟代理人弁護士 坂井・・・
 同         長澤・・
 同指定代理人    別紙指定代理人目録記載のとおり

主文
1 本件訴えを却下する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由
第1 請求
 被告が、金沢市の野田山墓地において、平成4年から法的根拠等々に基づかずに、韓国人テロリストである尹奉吉の建立許可の継続を行っている事が違法であることを確認する。
第2 事案の概要
 1 事案の要旨
 本件は、金沢市の住民である原告が、同市が設置する野田山墓地において、尹奉吉碑の設置許可処分をしていることが違法であると主張して、被告が設置許可処分を取り消すことを怠る事実が違法であることを確認する住民訴訟であると解される。
 2 前提事実(争いのない事実並びに掲記証拠(特記のない限り枝番を含む。以下同じ)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
 (1) 当事者
ア 原告は、金沢市の住民である。
イ 被告は、金沢市の執行機関である。
(2) 原告は、令和6年6月28日、金沢市監査委員に対し、金沢市が設置する野田山墓地(以下「本件墓地」という。)において、平成4年から法的根拠に基づかず尹奉吉碑(以下「本件慰霊碑」という。)の建立許可をしていることについて、これが違法であり、必要な是正措置を求めるとして住民監査請求をした。(甲1の2)
(3) 金沢市監査委員は、同年7月26日、本件墓地に設置されている本件慰霊碑について、その設置許可処分(以下「本件処分」という。)は、墳墓を設けるために設置している本件墓地の財産的価値の維持・保全を図る財務的処理を直接の目的にするものではなく、住民監査請求の対象となる財務会計上の行為ではないとの理由で、原告の住民監査請求を却下する決定をした(甲1)。
 (4) 原告は、同年8月23日、本件訴えを提起した(当裁判所に顕著)。
 3 争点及びこれに関する当事者の主張
 (1) 本案前の争点
 本案前の争点は、本件訴えの適法性であり、この点に関する当事者の主張は以下のとおりである。
ア 被告の主張
 本件訴えは住民訴訟であるから、問題となった行為が財務会計上の財産管理行為でなければならない。しかるに、本件処分は、亡尹奉吉が本件墓地内に埋葬されていた歴史的事実や、関係団体からの要請、日韓関係への配慮等諸般の事情を踏まえ、行政財産の目的外使用として許可した処分であるから、本件墓地の財産的価値に着目してその価値の維持、保全を図る財務的処理を直接の目的とする財務会計上の財産管理行為に該当しないことは明白であり、本件処分に基づいて本件慰霊碑を設置する行為もまた財務会計上の財務管理行為に該当しないことは明白である。
 したがって、本件処分は住民訴訟の対象とはならず、本件訴えは、不適法であるから、却下されるべきである。
イ 原告の主張
 争う。
 (2) 本案の争点
 本案の争点は、本件処分に基づいて、本件墓地に本件慰霊碑を設置していることが財産の管理を怠る事実として違法であるか否かであり、この点に関する当事者の主張は、以下のとおりである。
ア 原告の主張
 本件処分は、目的外使用許可として許容される範囲を超えており、違法である。しかるに、違法な処分に基づいて本件慰霊碑を設置することは許されないのであるから、被告は、本件処分を取り消すべきであるのに、何らの対応もしておらず財産管理を怠る事実として違法である。
イ 被告の主張
 争う。
第3 当裁判所の判断
 1 本案前の争点に対する判断
(1) 地方自治法242条の2に定める住民訴訟は、地方財務行政の適正な運営を確保することを目的とし、その対象とされる事項は同法242条1項に定める事項、すなわち公金の支出、財産の取得・管理・処分、契約の締結・履行、債務その他の義務の負担、公金の賦課・徴収を怠る事実、財産の管理を怠る事実に限られるのであり、これらの事項はいずれも直接財産の取得を目的とする財務会計上の行為又は事実としての性質を有するものである。
 したがって、本件訴えが適法であるというためには、本件処分が、前記の財務会計上の行為に当たる必要がある。そして、財務会計上の行為としての財産の管理に当たるか否かは、対象の財産的価値に着目し、その価値の維持・保全を図る財務的処理を直接の目的とするものであるか否かという観点から判断するのが相当である(最高裁昭和62年(行ツ)第22号平成2年4月12日第一小法廷判決・民集44巻3号431頁参照)
 (2) 本件について検討する。
ア 本件墓地は、金沢市が設置した墓地であって、行政財産であるところ、本件処分は、亡尹奉吉が本件墓地内に埋葬されていた歴史的事実や、関係団体からの要請、日韓関係への配慮等の経緯を踏まえたものであることがうかがわれ(甲4,7)、墓地の本来的な用途に従った利用ではないから、行政財産についての目的外使用許可(地方自治法238条の4第7項)であると解される。そして、目的外使用許可は、あくまでも行政財産の用途又は目的を妨げない限度において行われるものであり、公用若しくは公共用に供するため必要を生じたとき等には、その許可を取り消すことが出来るのであるから(同条9項)、その中核的な性質は、財産管理の作用ではなく、公務管理者としての行政管理の作用にあると解される。
イ また、本件処分が土地の使用許可という財産管理の一面を有するとしても、同処分によって本件墓地の財産的価値に影響が及ぶものとは認められず、本件慰霊碑の設置を許可するか否かは、結局、本件墓地を設置した行政目的を達成、維持することとの関係において考慮すべき事項であるから、行政管理上の問題であるといわざるを得ず、本件処分は、財産的価値の維持・保全を図ることを直接の目的とする財産管理としての性質を有するものではないというべきである。
ウ したがって、本件処分は、財務会計上の行為には当たらないというべきである。
(3) そうすると、本件処分は、住民訴訟の対象となる行為とはいえないから、本件訴えは不適法である。
 2 結論
 よって、その余の争点について判断するまでもなく、本件訴えは不適法であるからこれを却下することとして、主文のとおり判決する。

金沢地方裁判所民事部
裁判長裁判官 松浪聖一
裁判官 金井優憲
裁判官石田太郎は、てん補のため署名押印することが出来ない。
裁判長裁判官 松浪聖一

別紙 指定代理人目録(略)





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