中国はすでに対日攻略を始めている…イスラエル元諜報部員が考える「台湾有事」の前に狙われる日本の急所とは
■トランプが乱す世界秩序、隙を狙う中国 アメリカでは、ドナルド・トランプ大統領がアメリカ人の大多数を代表しているわけではなく、共和党と民主党が互いに半数の支持を得ています。また、共和党のなかにもさまざまな声があるのに、トランプ氏は共和党内で最大の「断片」を取ることで、共和党を乗っ取り、再び大統領の座に返り咲いたわけです。 アメリカの大統領の言動は全世界に影響を与え、どれほどの衝撃をもたらすかは計り知れぬところがあります。おそらく世界は非常に不安定なものとなるでしょう。 社会は分断され、民主主義制度が破綻しつつあります。何度もいっているように、これは中国にとって大きなチャンスなのです。人口が減少する中、北京の現指導部は、自分たちの時代が限られていることを理解しています。中国はあと75年ほどで、人口が半分になってしまう。だからこそ、彼らは「やるなら今だ」と考えているのです。 ■燃えやすい世界を前に日本は目を覚ませ すべてはつながっている――私が言いたかったのは、この一言です。 過去の歴史、現在の社会、アメリカ大統領、世界的な経済状況、気候変動など、すべてが非常に脆く、燃えやすく、危険な状況をもたらしています。そして、社会の断片化と、SNSやエコーチェンバー現象といった情報バブルのなかに人々がいます。 ロシア、中国、北朝鮮といった攻撃者たちにとって、目の前に火薬が詰まった樽が積まれていて、いつでもマッチで火をつけられる状態です。 中国は、自分たちが世界を支配すべきだと考えています。ロシアは、プーチンが言ったように、ロシアが存在しない世界はありえないという立場です。 習近平もプーチンも、残された時間は少ないと自覚しています。つまり、今、認知戦への対策を早くはじめないと、間に合わなくなるのです。
■民主主義を狂わす最大の敵は「感情」 日本が一致団結して対処を始めれば、少し先に待ち受けている困難な時代を乗り越えることができるチャンスを手にしている――私はそう確信しています。 もし日本が目を覚まさなければ、まず来る国政選挙で、そして将来は中国との間で、厄介なサプライズが待っているでしょう。 私が皆さんに望んでいるのは、誰が自分の心を操ろうとしているのか、自分の望まない解決策を押し付けようとしているのかを知ってもらうことです。 私は本書『認知戦 悪意のSNS戦略』の中ですべてを解決するための方法や、民主制度が良いのか悪いのか、そしてどうすればそれを正すことができるのかという話をしたかったわけではありません。ただし自信を持って言えるのは、民主主義制度は世界中で大きな課題に直面しているということです。 その問題の一つは、「感情」に原因があります。私たち人間が常に犯している最大の過ちは、感情で判断してしまうことです。私たちは、事実に基づき、論理的に考えて、合理的な判断をしなければならないのです。 ■日本よ、剣を構えよ…戦う前に負けるな 最後に私の好きな剣道について話しましょう。 剣道では二人が竹刀を交差させ、睨み合って動かなくなります。突然一人が叫ぶと、もう一人は後退りします。後者は筋肉を緊張させて攻撃を準備し、その動きを読み取った前者は叫んだのです。この叫びは「もし攻撃するなら、私は防御するだけではなく、反撃をするぞ」という意味です。そして、彼らは最初からやり直します。 このような動きは、まさに国家間でもおこなわれるべきです。 日本は中国の前で剣を構えて、中国が動き始めたら、日本はこう言うべきなのです。 「あなたの動きは見切っている。動きを止めるべきだ」 ところが、日本人は中国が攻撃の準備をしているのに、気づいていません。中国の影響力工作がおこなわれているのにもかかわらず、日本人は対処するための十分な準備もしていないのです。 戦いが始まる前に負けてしまっています。 そのことを自覚し、一刻も早く準備を始めましょう。 ---------- イタイ・ヨナト 元諜報部員 1968年、イスラエル生まれ。OSINT(公開情報の収集・分析・活用手法)インテリジェンス企業インターセプト9500の創業者兼CEO(最高経営責任者)。イスラエル工科大学で修士号を取得。イスラエル軍に入隊し、諜報部員として様々な作戦に従事。現在、各国政府のアドバイザーを務める。 ----------
元諜報部員 イタイ・ヨナト