英国、パレスチナ国家承認を正式表明 イスラエルに「猶予」与えず

ロンドン=藤原学思
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 英国のスターマー首相は21日、パレスチナを国家として承認すると正式に表明した。イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃はやむ気配がなく、これ以上イスラエルに時間的な猶予を与えることは意味がないと判断したとみられる。

 スターマー氏は7月、パレスチナについて、イスラエル政府が停戦に合意したり、ヨルダン川西岸併合の意思がないと明確化したりするといった条件を満たさない限り、国家承認するとの方針を打ち出していた。

 英国と「特別な関係」にある米国はイスラエルの後ろ盾となっており、パレスチナの国家承認には極めて否定的な態度を貫いている。今回の発表は、トランプ米大統領が18日に国賓としての英国訪問を終えた直後の時期となった。

 トランプ氏は18日、スターマー氏と並んで会見した際に英国のパレスチナ承認について問われ、「その点については意見が一致しない。実は数少ない不一致の一つだ」と語った。ただ、英国を直接非難することはなく、スターマー氏としても、パレスチナの承認が英米関係を大きく傷つける結果にはならないと自信を持っているとみられる。

 英国において国家承認は「一方的な政治的行為」とみなされ、政府が必要に応じて独断で判断することができる。そのため、議会の同意も必要としない。英国が新たに国家を承認するのは、2011年に独立した南スーダン以来となる。

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この記事を書いた人
藤原学思
ロンドン支局長
専門・関心分野
ウクライナ情勢、英国政治、偽情報、陰謀論
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    錦田愛子
    (慶應義塾大学教授=中東政治、難民研究)
    2025年9月22日2時2分 投稿
    【視点】

    国家承認の表明に先立つ今月10日、イギリスにはイスラエルのイツハク・ヘルツォーグ大統領が訪問し、ガザの状況やカタールへの攻撃などについて意見を交わしていた。それに続き18日にアメリカのトランプ大統領が訪問した。いずれもイギリス国内で物議をか

    …続きを読む
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    川上泰徳
    (中東ジャーナリスト)
    2025年9月22日13時18分 投稿
    【視点】

    英国のスターマー首相が「パレスチナ国家承認」を発表したのは、英国でのガザ戦争に批判的な世論に推されて、「親パレスチナ」の姿勢を示さざるをえなかったためだが、パレスチナを国家承認をしただけでは、ガザで続くイスラエル軍の軍事攻撃や飢餓の蔓延を止

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