「詐欺で騙していたとすれば、許せません」“みんなで大家さん”に3000万円を投じた銀座ママの嘆き 出資者たちは怒りの集団返還訴訟へ
たまたまテレビのCMを見て…
冒頭の投資家、宮畑理央(仮名48歳)もその一人だ。銀座でバーを経営している佳人で、さすが銀座のママだけに、個人の投資資金はトータル3000万円ほどあるとか。 「水商売をやっているので、店の引っ越し費用なんか、急にお金が必要になるときもあるでしょう。それで多少手元にお金を置いていて、銀行に預けておくよりは運用したほうがいいかな、といろんなところに投資しています。といっても、ギャンブル性の高い投資は嫌だから、投資信託やイデコ、S&P500とか(自動運用サービスの)ウェルスナビとか……。 で、たまたまみんなで大家さんのテレビCMを見て、たまには不動産投資もいいかな、と手を出したのが失敗でした」 テレビCMは例の「てぇへんだ、てぇへんだ」という時代劇風のあれだ。2022年8月、理央ママの買ったファンドが、福岡県北九州市と水巻町にまたがる施設内にある「アグレボバイオテクノロジーセンター」の「みんなで大家さん39号」だった。同社のウェブサイトを覗くと、〈「アグレボ」とは「agriculture(農業)revolution(革命)」の略〉として次のように謳う。 〈バナナを中心に種苗が生産されており、対象不動産で生産された苗は通常24ヶ月程度かかるところ、わずか6ヶ月目で収穫可能です。苗の成長に必要な日照も従来の6分の1で足りるため、従来のように日照差で収穫量が大きく左右されにくいため短期間に安定した収穫が見込めます〉 みんなで大家さん39号は、共生バンクグループの「都市綜研インベストファンド」が2019年12月に運用を始めている。投資期間は5年なので、理央ママは途中から参加したわけだ。この投資商品は昨年11月には元本の償還満期を迎えるはずだったが、償還が1年延期され、今にいたっている。当人はほとんどあきらめ顔だ。 「CMを見てネットで検索して申し込んだのですが、私にとっては、一口100万円で年利7%というのも安心材料でした。大手の不動産投資商品だと3%程度ですが、7%はほどほどなので、比較的健全だと感じました。株式投資だと10~20%の利益が出る代わり、元本割れのリスクも高い。実際、農園と成田の商品ではこの3年間、月に1万円近く振り込まれてきました」 理央ママの投資したもう一つの商品が、成田PJのシリーズ成田だ。それぞれふた月に一度の配当なので毎月1万円ほどの配当があったようだが、そのうちシリーズ成田の配当が止まったから、解約を申し出たという。 「向こうにメールしても連絡が途絶えてしまっていますから、どうすればいいのでしょうか。アグレボ農園のほうは、そろそろ(11月)元本の償還がある予定になっていますが、それも難しいでしょうね。投資は自己責任なのはわかっています。けれど、もし事業実態のない詐欺で騙していたとすれば、許せません」 (第2回へ続く) * * * マネーポストWEBの関連記事《【みんなで大家さん問題】出資者たちが20億円返還訴訟へ「虎の子の退職金と年金を失った70代男性」「CMを見て手を出した銀座のママ」なぜ大金を投じてしまったのか》では、みんなで大家さんの出資者たちの嘆きや、なぜ大金を投じてしまったのかについて詳細に紹介するとともに、返金訴訟に対する見通しを弁護士に聞いている。 【プロフィール】 森功(もり・いさお)/ノンフィクション作家。1961年福岡県生まれ。岡山大学文学部卒。新潮社勤務などを経て2003年よりフリーに。2018年、『悪だくみ──「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大宅壮一ノンフィクション大賞受賞。『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』、『菅義偉の正体』、『魔窟 知られざる「日大帝国」興亡の歴史』など著書多数。 ※週刊ポスト2025年10月3日号
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