日本を滅ぼす研究腐敗――不正が不正でなくなるとき(36) 6章 たたかいは続く 2
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35
2025年6月。蒸し暑い季節が到来し、大学訴訟の控訴理由書の期限がたちまちせまってきた。記録を読み返し、メモを書き、構想を練った。書いては直し、書いては直し、という作業を繰り返した。疲れて頭が動かなくなると床に入った。未明に起き出し、頭に浮かんだことを枕元のメモに走り書きをする。そしてまた寝る。そんな日々を送るうち、次第に形になってきた。
アイセンティケイト(盗用・剽窃判定ソフト)――中京大学の攻めどころはまずこれだと思った。予備調査の記録によれば、アイセンティケイトで参考までに調べた結果、類似はみられなかったため調査に使用しなかったとある。ここが疑わしいと考えて、高知県立大学の不正調査の例と比べてみることにした。高知県立大学に情報公開請求をおこない、しばらく後に資料が手に入った。それをみて、アイセンティケイトの判定結果は「一致率○%」という数字で出てくることがわかった。「類似はみられなかった」などという結果は機能的に出ないのだ。中京大学はアイセンティケイトで比較検査をした結果、相当高い一致率を得ていながら意図的に無視した疑いがあった。
武蔵大の調査は不備が多々あり、一審でも指摘してきたが、あらたな疑問点が続々とみつかった。
たとえば、大内記述1(「奨学金が日本を滅ぼす」)と私の「日本の奨学金はこれでいいのか」第2章が類似していることについてだ。武蔵大学の調査報告書には「著作物の発行当時、ともに奨学金問題対策全国会議に所属して活動していた。全国会議の基本となる考えで共有していたと述べている」(趣旨)とある。「ともに」全国会議で活動してから、文章の表現や内容が似ていても不思議はないというわけだ。だが、大内記述1の「奨学金が日本を滅ぼす」の刊行は2017年2月で、私が全国会議を退会したあとである。すでに、「ともに」活動はしていない。当然のことながら大内氏はその事実関係をよく知っている。
(「ともに」全国会議で活動していたから文章が似た、などと本当に大内氏は言ったのか)
ここから先は
¥ 500
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
購入者のコメント