濁母音行段入力「フタワフタバ」の紹介と天キー8で握手しようぜの話
ニャアン始まりましたがニャアウ配列は終わりました
本当はまた打鍵動画撮るつもりだったけど、その気合が溜まるのを待ってるといつまでも書けなそうなので、天キーまでに動画出します
何があったのか?(母子左右分離についての色々)
前回はニャアウ配列ってのを始めましたという話で終わりました。
とりあえずそこからの悪戦苦闘の話を書きますが、要点は次のセクションにまとめるから飛ばしてもいいよ。
子音(行)側を整理して上下段ジャンプはかなり減ったんですがそれでもうざくて、「ジャンプなくしてえな……」という気持ちになっていました。3日くらいで。
拗音拡張用のヤユヨキーをなくして一部の行キーを段キー側に移せば範囲が狭くはなりますし、そういうことは何度も考えましたが、できるだけ母子左右分離は崩したくない。なぜなら母子左右分離は「交互打鍵」ではなく「並行打鍵」だからです。
実際使ってみて思うのは、左右分離は「交互」じゃなくて「並行」ってこと。2モーラくらいのレンジだと片手のほうが速いんだけど、もっと長く見ると「並行」の方が多重チャンク化しやすい
— ラクダエン (@catfist) March 8, 2025
【配列】左右母子分離は大西配列の専売特許じゃないよ: 大岡俊彦の作品置き場 https://t.co/tW7CQAbx17
つまり根本的に行キーを減らすしかない。行キーを減らすにはいわゆるシフトをする必要があります。例えばShift+d、つまり大文字のDでダ行とかやればキー数を減らすことは簡単にできる。
しかしそれをやると大幅に打鍵数というかアクション数が増えることになります。またいわゆるSandSも含めShiftキーとなにかを重ねた場合、タップホールドを区別するためにちょっと待ったりしてノッキングが発生することにもなります。
そもそも、多いのは行キーであって段キーはアイウエオに「、」「。」「ん」「ー」「っ」全部足しても10しかない。だからヤユヨとか入れて他件数を減らしていたわけです。それはそれでいいのですが、打鍵数をいうならかな入力のほうが少ないわけで、行段入力の目指す道はキー範囲の少なさではないのか。そのためには、どうにかして行のシフトを段側でやればいいのではないか? できれば、アクションを増やさない形で。
そこで頭を捻って再発明したのが「濁母音」という概念。
子音(行)のほうが多いなら、母音(段)を2セット用意して、同じ行キーに対し「通常母音を入力したら清音」「濁音用母音を入力したら濁音」と分ければいい。
つまり、「か」+「い」=「き」、「か」+「い゙」=「ぎ」みたいな話です。
行段入力における「濁母音」という思いつき。タ行+「あ゙」=「だ」的なこと。
— ラクダエン (@catfist) February 26, 2025
濁音になる清音はカサタハの4行。必要キー増えてんじゃねえかだが、濁母音の単打になんらかの文字を割り振ればその分圧縮が可能。
キーを増やさず、母子左右分離での子音>母音なバランスを改善できる。 pic.twitter.com/zINIhL37G7
「濁音になる清音の行」は「かさたは」の4しかなく、「ぱ」をなんかの濁音ってことにしても5。これらの代わりに濁母音をおいたところで、左右バランスの改善にはなっても、キー数は減りません。
しかし、「濁母音の単打」をアイウエオではなく、「、。んーっ」を割り振ることで、ごっそりキーを減らすことができます。
再発明というのは先人がいたからで、でも見たことはなかったはず! 不勉強なので。
ヤウ配列っぽいものを使っていたこともあったし、最初は当然2行並行に並べようとしました。しかし、これだと運指にかなり無理があり、しかも人差し指側と小指側では手前に強いか奥に強いかも違います。
カラムスタッガードでできれば縦テンティングにすればだいぶマシでしょうが、それでも左端と右端が遠すぎ、しかも「右手前→左奥」の最悪パターンもそこそこあるのを覚悟しなければならない。
どう考えても、運指的には母音の周りに濁母音を配置するほうがいい。しかし覚えられるか……?と思っていたところで、大岡さんに助言いただき、カタナ式風濁母音配列が爆誕、日常実践運用を開始しました。
たーーしーーかーーにーーー。
— ラクダエン (@catfist) March 6, 2025
というわけで暫定版。マ行があまりにむずい。
【配列】濁母音を不規則に並べるパターン: 大岡俊彦の作品置き場 https://t.co/8M1uaZnphE pic.twitter.com/7pJMwxrAvB
「母音の外側」に濁母音があることで、ある程度規則的な配置になっている覚えやすさがポイントですね。
が、結局使ってりゃ覚える、運指の楽は覚え易いにまさるということで、マイナーチェンジを繰り返すごとにどんどん原型がなくなっていき、現在の配列はカバー画像のとおりになってます。
で、改めて「フタバフタバ」の紹介。
濁母音配列「フタワフタバ」
「フタワフタバ」は、濁母音の概念を利用し、わずか22キーに、句読点+「んーっ」と拗音拡張を搭載した行段入力配列です。Google日本語入力のローマ字テーブルで実装しています。
大西配列をはじめ母子左右分離配列は作例も多く人気がありますが、共通の問題として、母音がアイウエオの5に対して子音がカサタナハマヤラワガダザバパ+ヴで15という不均等があります。
よって、多くは分離が不完全であり、左右並行に回しづらい。母音側に句読点等を集中させることで完全分離したとしても、子音側の運指がジャンプしがちになります。
そこで、「清音用」と「濁音用」2種類の母音(段)を用意することで、バランスを根本的に改善するのが濁母音です。
ゆえに双輪・双刃。左右それぞれ2枚重ねの意味。あとカタナ式DNA。
濁母音の単打に句読点等を割り振ることで、打鍵数は変わらずにキー数を大幅に削減できます。
つまり、濁音→ア行同段の連接(「ぐう」「じい」「べえ」など)は同じ段キーの連打ではなくアルペジオになります。これ自体はいい面悪い面ありますが、清音と濁音で処理が違ってしまうのはデメリットでしょう。
さらに、本来は濁音でない行も濁音扱いにすることで、行キーをさらに削減できます。
そのため、濁母音の頻度は本来の濁音のみをカバーする場合より多いです。「ゔ」「え゙」単打に「を」「わ」を入れていた時期もあったのですが、小指の負荷軽減のため削除しています。
ワ行ヤ行が濁音扱いなのも小指負荷軽減の一環で、これらの行にはウ段エ段が片方または両方ないため、濁母音「ゔ」「え゙」の頻度を増やさないのです。(実はワ行には「ゐ」「ゑ」が入っていたりしますが)
配列図には現れていませんが、拗音(きゃ等)・専用の行がある「ふぁ」「くぁ」「うぃ」以外の外来音(つぁ等)には拡張入力が用意されています。
行キーを連続で入力した場合、異なる列であれば1打目の拗音、同じ列であれば1打目の外来音となります。
つまり「f(か)」+「d(た)」+「j(あ)」=「きゃ」、「d(た)」+「e(ら)」+「j(あ)」=「つぁ」。
小書き(捨て仮名)はShiftキー+段キー、ャュョは「e(ら)」+Shift濁母音。
標準ローマ字と比較すると、
打鍵数はほぼ同等
キー範囲は29(アルファベット+カンマピリオド+ハイフン)→22で、かつ独立「ん」を含む
ということで、打鍵数据え置きのまま指のジャンプを極力減らした設計になっています。左右のバランスや指負担を考慮して多少妥協していますが、割り切れば母音(段)は10、子音(行)は8まで圧縮しても全かなを入力できます。
って書いて気づいたんですが、ふぁうぃじゃくぁを削ってgb空ければそこに句読点入れられるのか……アリ、かも……
そんなふうにさらにキーを削ることもできるので、例えばrtyuの位置にバックスペースとか入れても成立します。
キー範囲を狭めたいがアクションをあんまり増やしたくない場合に、濁母音というアイデアには可能性があると思います。
じゃあおまえなんぼほど打てとんねんっつうと、これは……秒1かなっすかねーー! あのねー、正直言う、難しい! 運指は楽なんだけど、「濁音かどうかで分かれる」っていうのが今までにない概念だからやっぱ慣れるまで時間はかかるよ! なれちゃったらすごい楽だとは思う。近いもんとにかく。
で、まだ遅いんだけど「迷い」はニャウ配列より全然少なくて、反射で打てる運指も増えてきてる。こんな難しいのにちゃんと反射の上書き進んでるんだから、ニャウ配列はア段省略が良くなかったという仮説はあってると思います。「併用前提なら変則はダメ」。
そしてかな入力
打鍵数こそローマ字同等だけど難しいぶんキーは大幅に少なくて、余ったキーで色々いたずらもできるし、これはこれでやりこむ価値のあるメソッドだと思います。空いたとこにバックスペースねじ込むとかもいっとき真剣に考えてた。
てたんですが、えーとね、僕は「突き詰めるとかな入力に行く」という意見には懐疑的で、ローマ字・行段のキー数減らせるメリットは大きいし、「音韻的言語処理」に長け「表音的文章」を書くタイプにはローマ字・行段のほうがあってると思うんすよ。それは今でもそう思ってる。
でもねー……この記事で書いたとおり、「少なくとも僕は」、「早く着く」感覚を身につけるべきで、それはかな入力だよねえってなってる。小指痛くて手書き見直したらそういうことになっちゃった。意想外に。
なってるので、月配列を研究してます。してますが、いまかな入力にしたらマジで締切がやばいので当面実戦投入はしません。しませんが、研究ノート的に書きたいことはあるのでちょろっと書くとは思う。そんな感じです。あと動画ね。あーーーそうそう! 天キー8の話!
天キー8で「物理配列+論理配列」の展示をしようぜ!
という呼びかけをやっています。
配列図だけ見てもよくわかんねえよ!
エンターどこ?
どういうキーボード想定してるわけ?
バックスペースどこ?
実際打ってみせてよ
などの、新配列にちょっとは興味あるけどとっつきづれえーとお思いの方向けに、
いつものキーボード
いつもの論理配列
入力できるパソコンとか
を揃えて、みんなで展示しませんか。沼の中の。別の沼に。引きずり込みませんか。いたいけなオタクの卵たちを。まあ、10人くらい興味持ってくれたら万々歳じゃないすか。くらいの気持ちで。配列勢同士で語り合う目印にもなるでしょ?
ゆえにフタワフタバ紹介だったのさ。やっと書けたので、じ~わじわテンプレとか作っていきます。今週末あたりフタワフタバ展示用資料+テンプレを公開したい。
配列勢で参加する方は一緒に配列晒そうぜ!!!
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