「人気取りの素人の思いつき」強行が全ての元凶
もしも、進次郎が無理矢理備蓄米を過剰に安く流通させなければ、順調に昨年の米が売りさばかれ、今年の新米は、こんなに高くなることは絶対になかったのです。
こうした事態は十分に農水省やJA全農、卸業者等、米の流通に関わる「プロ」の人達の間では十分想定されていました。だから、前農水相の江藤大臣は、備蓄米を急激に何十万トンも超安値で販売するという極端な対策をとらず、少しずつ流通させ、それを通して米価を徐々に引き下げる戦略をとっていたのです。
例えば筆者も、関係者から「進次郎の2000円米のせいで、卸業者は絶対に赤字になりますよ。彼らは民間企業だからそれに対応するために何でもやりますよ…」と耳にしていました。
だから当然ながら、「小泉進次郎農水大臣」もまた、急激に備蓄米を安く売りさばこうとすることに大きな混乱、問題が生じさせますよという説明を、関係者から耳にしていたことは間違いないのです。
しかし彼は、そんな言葉を聞かなかったのか理解できなかったのかは分かりませんが、「四の五の言わず、兎に角2000円米を消費者に届けるんだ!」とばかりに強引に2000円米を流通させようとしたという次第です。
結果、8月末までに30万トンを売りさばくと言っていたのに10万トンも残り、米価も銘柄米と備蓄米で「二極化」してしまい、肝心の「銘柄米」については8月末時点でほとんど引き下がらなかったばかりか、「新米」についてはかえって「高騰する」という最悪の帰結をもたらしたのです。
いわば、進次郎氏はプロの関係者達の忠告に耳を貸さずに「素人の思いつき」を強引に遂行し、現場を混乱させ、米価の引き下げどころか「米価高騰」をもたらしてしまったのです。
しかし、そんな実情を国民はもとより、マスメディアの記者やキャスター、コメンテーター達も、そしてもちろんのこと当の本人も、殆ど理解してはいないのが実態です。それどころか、「進次郎は農水大臣としてやよくやった」というイメージが未だにマスコミ世論にはそこはかとなく残存している始末。
何という馬鹿馬鹿しく愚かな、そして恐ろしい話なのでしょう…。