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ローマ字入力でもなく、かな入力でもなく 日本語行段入力のすゝめ

(偉大な先輩)

日本語入力の方法には大きく分けてローマ字入力とかな入力があります。他に漢字直接入力というのもありますが、一般的なパソコン等には搭載されていないため、比較にならないほどマイナーです。

で、漢直も含めて、標準的な入力方法に満足できない人達が考えたいわゆる新配列というものが色々あるぜ!という話はこないだしました。

今回の記事はそのうち「ローマ字」の深堀りです。

「ローマ字新配列」の問題点

前記事でも取り上げた大西配列を含め、「ローマ字(日英共用)の新配列」というのも色々ありますが、共通の問題がいくつかあります。

英語やショートカットの都合に縛られる

これが一番大きいでしょう。日英教養なのだから英語も同じ配列で打つことになり、ショートカットにも影響します。

例えばqwertyのvは一般的な(立体でない)キーボードではかなり良い位置です。

しかし日本語でvの使用頻度は非常に低い、というか外来語なので、一生書かない人だってそこそこいるでしょう。
ではここにもっと日本語的に重要なキーを持ってこれるかというと、ペーストがずれるからやりたくないわけです。
多くのローマ字新配列が左手に(キー数の少ない)母音を持ってきている最大の理由はこれでしょう。

とはいえ、Dvorak配列は博士の生涯を懸けた布教も虚しく規格化バトルに敗れ、それから今日まで続くQWERTYの支配下で、あらゆるOSやソフトウェアはQWERTY前提のキーバインドを敷いてきた歴史的経緯がある。
それでColemak配列(2006, Shai Coleman)に端を発するいわゆる英語用「モダン配列」の多くは、コピペなどの基本的なショートカットに使うZXCVQWあたりのキーを、QWERTYと同じ位置に保存するのがセオリーになっている。

https://note.com/illlilllililill/n/n3b51f4aaf086

じゃあ果たしてそれが本当にベストなのか? 「器用な右手で複雑な子音を扱うべき」という主張もあり、それがいいならそれでもいいのですが、左手→右手の交互打鍵のほうが自然に感じるという意見もあり、僕もそのクチです。

逆にいうと、英語が日本語の都合に縛られるとも言えます。
日本語で最頻出の母音はaですが、英語ではeです。これだけで、日本語の最適が英語の最適と異なることは明らかです。英語は英語で突き詰めたいという人もいるでしょう。
qwertyよりはマシな英語配列をついでに覚えられると考えればそう悪くないとしても、そもそも(英語は大して書かないから)qwertyのショートカットを一切変えたくないという人は多いはずです。

設計の自由度が低い

全ての文字を入力するために最低限必要なキーは、とりあえず記号は別として

  • 子音(ksgngwyrw gzdb p v):15

  • 母音(aiueo):5

  • その他( x(l)):1|

の、合計21キー。他のjfqvx(l)は代用可能で、なくてもいいちゃあいいものです。
そこで、余ったキーに別の役割を持たせようというのがいわゆる拡張ローマ字で(そもそも訓令表にないqを使っている標準ローマ字自体がすでにそうなのですが)、「ん」「っ」「ー」を入れるなんてのはありがちです。

しかしそういうことをやり始めると、pはともかくv要る?とか、kとgが別のキーであること自体がだるくね?とか、拗音をyで入れる必要ある?とか、「もっと楽に打てる方法」は色々思いつきます。
そこで例えば大文字を使って、Pがvの代わりとか、K=gとかA=xaとかやることはできます(Google日本語入力とかで)。

できますが、それもうローマ字じゃなくね?
別にaがアである必要だってないっちゃないじゃん。

ローマ字入力とはかな置換入力の一種である

と僕は定義します。いやかな置換入力ってなんやねんというのは、以前書きました。

手書きを基準に考えると、同じようにすべての文字を指定して出せるのが漢字直接入力、かなだけ指定して出して感じに変換するのが仮名漢字変換。
仮名漢字変換前提のかな入力方法も、かな直接入力(いわゆるかな入力)とかな置換入力があり、かな置換入力の標準が、ローマ字というルールでアルファベットをかなに置換するローマ字入力です。

より少ないキーの組み合わせでかなを入力しようと考えたとき、かなを何らかのルールで整理する必要があります。これは50音表で言う「行(あ行、か行…)」と「段(あ段、い段~)」でマトリクスとして整理するのがわかりやすいでしょう。
ローマ字も行と段のマトリクスですが、「行・段とキーの紐づけ」を、「アルファベットによるローマ字」に基づいて行う必要は別にない。極端な話、「;」が「え段」とかであっても成立するわけです。
よって、「行・段によって整理するが、ローマ字ルールに基づかない」かな置換入力を指して、僕は行段入力と呼んでいます。

行段入力であれば、上記のローマ字特有の問題は全て発生しません。vはvのままqwertyのvの位置にあってよく、ただ「ゔ行」ではなくなればいいだけ。もちろん、colemakと組み合わせたっていい。

なんでかな入力しないの

かな(直接)入力ならローマ字入力特有の問題が発生するわけもなく、メリットも多いですが、かな入力特有のデメリットも背負うことになります。

かな入力とかな置換入力の基本的な対比は、

  • キー数は多いが打鍵数が少ないかな入力

  • 打鍵数は多いがキー数は少ないかな置換入力

です。
かな入力は手をめちゃくちゃ広範囲で動かすか、または1キーに複数の機能を与え、複雑な操作で使い分ける必要があります。
かな系新配列の多くは後者の方針で、使用キー数はローマ字同等かちょっと多いくらいですが、覚えるのがローマ字系よりは大変ですし、そもそも専用のアプリケーションを入れないと使えないものも多い。

先程も書きましたが、それに対してローマ字に最低限必要なキー数は21、句読点と長音符を入れても24で、なんら複雑な操作も必要ありません。
要するに、かな置換入力のほうが色んな意味で「コンパクト」なわけです。

で、ローマ字がアルファベット+「,.-」の合計29キーでやってることを22キーでできるぜっていうのが、今この記事を書くのに使っているフタワフタバです。

「通常の母音」と「第2の母音(濁母音)」を用意して、濁音とマイナーかなを第2の母音によって入力することで、キー数を圧縮しています。
もっと単純に子音のShift入力で濁音を入力する方式の例としては、カタナ式があります。

打鍵数が少ないのは重要ですが、手を動かす範囲が狭いこともそれはそれで重要。空いてるキーでいたずらもできますしね。

いやいやなんか問題あるだろ

「ローマ字そのもの」が打ちにくくなる、というのは正直あります。NISSANとか打とうとすると混乱するし、aiueoの打ちづらいことと言ったら。
英語はそれよりだいぶマシですが、やはり混乱がないことはなくて、どっちかというとqwertyがフタワフタバに侵食される方が多いですね。物理的に近いので。

だから慣れたら何も問題ないよーとは言いませんが、「vを活用できなくてzをsとセットで動かせない」「ctrl+fが遠くて使いづらい」のとどっちがいいかって話なんですよ。
僕は、同じかな置換系であっても、ローマ字(日英共用)配列より行段配列のほうがメリットが大きいと思いますし、日本語入力メインならなおさらです。

で、フタワフタバ紹介記事でも書きましたが、天キー8で日本語入力比較体験会みたいなのやります! 配信もあるのでよろしくお願いしまーす!

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