清原達郎、伝説のファンドマネージャーが教えるこれからの相場
2025年7月25日発売のForbes JAPAN9月号は「次のバフェット・モデルを探せ」特集だ。一代で1,500億ドルの資産を積み上げたオマハの賢人、ウォーレン・バフェットの引退表明というビッグニュースは、瞬く間に世界中に響きわたった。足元では、トランプ第二次政権の関税政策によって世界経済の不透明感が高まり、景気の先行きが読めない不安相場に。金融マーケットは大きな潮目を迎えた可能性がある。投資家たちはこの変化にどう向き合っていくべきか。有力ファンドマネージャーやトップストラテジスト・アナリスト、株価好調企業の経営トップ、著名な個人投資家、海外著名人らに総力取材。これからの最良の資産運用のあり方を探した。 「日本株は今、とてもシンプルに語れる」。そう断言するのは、伝説のファンドマネージャーと称され、2005年に長者番付1位になったことでも知られる投資家・清原達郎だ。企業価値を見極め、割安な成長株に投資する手法で、1990年代から一貫して高い運用実績を築いてきた。 世界の投資環境が不安定さを増すなか、清原はそれらを「想定内のリスク」と切り捨て、市場の本質を冷静に読み解く。いま、個人投資家が本当に備えるべきことは何か──。その投資術の核心とは。 ──米トランプ政権の関税政策、中東での地政学的リスクの高まりなど世界情勢は不透明感が増すなか、相場の方向性をどう見極めるべきですか。 清原達郎(以下、清原):私はリスク(positive surpriseも含む)を3種類に分けて考えています。 ●リスク1:想像ができ、ある程度相場に織り込まれているリスク。景気、金利、為替、AIバブルの崩壊、自社株買いの方向性、といったリスク。 ●リスク2:想像はできるが相場に織り込めないリスク。例えば南海トラフ大地震、世界的な核戦争といった類いのリスク。 ●リスク3:想像もできないリスク。例えば原発が水素爆発を起こすリスクなど誰も想像していなかった。 我々が議論して意味があるのは、リスク1についてだけです。2と3は議論の意味がない。つまり、我々が議論できるのは一部のリスクに過ぎないのです。 トランプ関税はリスク1であり、すでに相場にはある程度織り込まれています。仮に今後の展開が日本の株式相場にネガティブであっても、今年の4月のような暴落は起きないでしょう。 景気の動向についても、私を含めて大方の投資家は今年後半の景気が良くなるとは思っていないので、景気が相場を大きく動かすとは思えません。日銀も急速な利上げはしない、ということは大幅な円高もないということになります。