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健屋花那さんがお医者さんだったの話(同業者目線からのお気持ち?)

まず前提に・・・この記事を読んでくださる方がいらせば・・・。
以下の事を分かっていただいて、お読みいただければ嬉しく思います。

界隈の話は詳しくないので、あくまで自身の医者である医療目線での話のみ記載します
「~」されると、我々はちょっと困っちゃうなと言った話も含めています。
と言うかそれメインで、出来る限り中立の立場から書こうと思っています。当該の方につきまして、私はミリしらも同然なので。ただTwitterを見る限りでは、「今医師免許を所得した」等の誤解もあったり、色々と医療現場における誤解がありそうなので、改めてそこも含めて書こうと思っています。

〇私は一応リアル医者(ウソだと思ってもらってもOKです。)(一応消化器内科)。
〇健屋花那さんにつきましては殆どミリしらであること。
〇同業者としての目線から見た出来るだけ主観を交えないようにしつつ(無理ですけど)客観的に可能な限り客観的に書こうとした記事です。
〇たぶん・・・読んでいていい気持ちになる記事ではないと思います。

★法律的に大丈夫なのかとか、そういう視点から見た内容も書きます。

〇前提の前提:医学部の生活について

基本的な内容からまずお話します。
医学部の生活は基本的に6年間です。単位は基本的に全部必修であり、1単位でも落とせば即留年である大学が多いと思います(色々差異はあると伺っています)。
基本的に低学年(1-2年)に教養も含め勉強しながら早いと1年あたりで基礎医学の勉強が始まり、2年生辺りでご献体の解剖、所謂解剖実習があります
それ以降は臨床医学の勉強が始まり、大体4年の半ば頃までには臨床医学の内容を全部網羅する形となります。その後はCBT(後述)というコンピューター試験及びOSCE(後述)という実技試験をクリアしたのち、病院実習(ポリクリ=クリクラ)に入っていくことになります。病院実習は大体6年の夏前位(多少前後は大学によってあると思いますが)までで、そこで大体「卒試」があり、そこを突破したら「国家試験を受ける資格」を得られるわけです。

基本的には大学6年生の夏前あたりから、医者の「就活」である「マッチング」というものがあり、自分の希望する研修先を第一希望から順に出願していきます。病院側も希望を順繰りに出し、コンピューターで1:1マッチするようになるのです(なので医学生は内定は必ず1個になり断れない)。
国家試験は2月上旬に行われ、大体翌月3月の中旬ごろに結果が発表されます。そのまま合格していれば翌月4月1日から初期研修開始、と言った形が医者の黄金ルートとなります。

初期研修は2年間あり、必須科目と呼ばれる科目(内科、外科、精神科、救急科、産婦人科、小児科等)を月単位で学びつつ選択科目等も選んで2年間を過ごします(スーパーローテート制度)
その後は専門科へ進み、所謂専攻医(後期研修医)となり専門医所得を目指すわけです。

これが大体の医学部生→若手医者の黄金ルートになります。まずこれを把握していただければ嬉しく思います。

〇前提

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この方の胃の件のやつはちょっとだけTwitterで見たことあります
ですわの人の印象

健屋花那さんにつきましてですが・・・「殆ど」ミリしらと言ったのは理由があり、以前でしょうか?
確か有名なVtuber(サロメさんだったかと思います。私はそちらの方についてもミリしらなのですが・・・)の上部内視鏡(カメラ)かなんかで胃の画像かなんかの診断かなんかをしてたような気がします

調べました。確かに内視鏡写真見てましたね
それで確か診断もつけてたかな?と思います。そこで出てくる語彙が「内視鏡室にある程度長年勤めているおばちゃんナースさん(でもこの答え出せるとは思えない)」か、「医者」かと言った感じの語彙で(普通の他の看護師さんなどのコメディカルでは分かりかねる内容)、自分は「ああ、この方は多分ナースさんじゃあなくて、医者か医学生なのだろうな」と思った事があります。

只それだけの知識です。それしかないです。

〇今回の件

2025年9月19日に「医師免許」を所得していたことを公表された?ようですね。
当該ツイート↓

このツイートも拝見いたしました。↓


6周年なのに初配信?と言うのがすごく何を言っているのか分からず困惑しているのですが・・・配信とか一切せずなんか活動してたんでしょうか・・・?

ま、まあまずこのことから言えることは・・・。

とりあえず「学生時代」にVtuberを兼業すること自体は問題ないかと思います勿論人道的な観点から見れば、「医者」を志す者として勉強に精を出さねばならぬという気持ちは分からなくもないですが、あくまで医学生時代については「学生」であって、医師免許を持っている「医者」ではないので・・・。

実際、医学生時代に何らかの小規模なビジネス等を並行してやっている友人はいましたし、結構医学生は皆多彩で色々やってたりします。部活動もありますし(原則みんな入る。サークルの概念は無い事が多い)。

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人を相手にした人気商売の場合は、やはりそういう点でも批判されやすくなるのはしょうがないと思います。

※ただし、「大目立ちしない位の生活費のタシにするくらいのアルバイト」だったり「小規模で世間に大きく目立たないビジネスとか」をするのと、「多くの人に注目され、人気商売となる業種」の兼業であれば、多くの人の目につくわけですし、「人道的でない」と批判されても致し方ない部分があると思います。人気商売なわけですしね。そういった面では若いうちは勉強勉強勉強とならざるを得ない医学とは相性が悪いのかもしれません(Vとは)。
本来であれば多様性を認める社会という事で許容されてしかるべきですが、なかなかそういった理解を得られる社会ではまだないと思っています

で。2個目にはりつけた「さいくろん」様のツイートの画像のキャプチャには結構色々と問題がある気がするので・・・。それについては後述します。

〇今回の件について改めて健屋花那さんについてWikiから情報を手に入れました

参考にさせて頂いたのはWikipediaさんから。
2019年9月19日にデビューされていたんですね。当該ツイートを見る限り、「デビュー直後のでかい試験」は多分「CBT」と「OSCE」だと思います。

簡単に噛み砕いて説明すると・・・。
※CBT:コンピューターを使用して行うとりあえず医療の全範囲を網羅したミニミニ国家試験みたいなもの。これパスしないと実習受けられない。(ちらほら落ちたりする人を観測することもある試験)。
※OSCE:病院実習(ポリクリニック:ポリクリ=クリニカルクラークシップ:クリクラ)に臨むにあたり必要な「実技試験」。これも同様にパスしないと実習受けられない(あんま落ちる人はいない)。

今の時代多分CBTとOSCEは4年生の時にやることが多いので、まあ順当に考えたら2021年の休止期間は「国家試験」の勉強のためだと思います。
(補足:多分ポリクリ期間中は活動を休止してないと思います)。
↑2021年6月時点で休止という事はまあ多分6年生かなと思います(実際ポリクリが終わるのがどこも大体6年の夏前位だと思うので)。
となると2020年ぴったしの時のタイミングって、多分「コロナ禍」が騒がれだし緊急事態宣言とかで街が静まり返った真っただ中だと思うんですよね。2020年時点のコロナウイルス流行時は今と違って本当に「未知のウイルス」扱いであり、ポリクリとかってどこもかなり「縮小」してやったんじゃないでしょうか?と思います。

で。従来通りの病院実習ができていた世代か?と言われると「多分NOなのではないか?」と思います。

患者さんに向かって「未知のウイルスとされてたコロナウイルス」を感染させるわけにはいかないわけですし。
とまあコロナ禍前までの十分な「病院実習」が出来ていたかと言われると「うーん?どうだろう?」と言う感じです。

要約すると、「従来の病院実習よりも暇な時間が多かった可能性があるかも」という話です。

まあそんな閑話を挟みつつ・・・。2021年6月から休止したのはまあ多分「国家試験」目的だろうなって思います。実際に活動再開したのは2022年3月ですし(医師国家試験は例年2月の上旬に行われ、結果は3月半ばに出る)。

ここまでWikiの情報と自身の推測も合わせ(間違ってないと思います)、医師免許を所得したのは確かだと思いますし、9月19日の発表であった通り「免許」自体は所得していらすのだと思います。

〇ここまで前提:ここから本題

ここまでが長くなりましたが前置きです。

健屋花那さんが「初期研修をしたのか?」「していないのか?」に分けて各見出し毎に書いていこうと思います。

〇初期研修を受けていなかった場合

個人的には「こうであってほしい」という選択肢ですね。多分これが一番「正解」と言うか、ルートとして最善のルートだと思っています。只、すぐ後述しますが問題もあります。

〇初期研修を受けずに「医師免許」だけ所得するメリット

初期研修を終えなければ「一人前の医者」として認められないというのは、世間の人も多く認知されていることであると思います。

実際、初期臨床研修を修了しない限り、保険医療系アルバイト(クリニックバイトや訪問医療等のバイト、療養病床での寝当直etc…)は出来ません
後、クリニックなどの院長業務をこなすこともできません。基本的に「医療」に携わる行為は出来ないと思ってもらった方がいいかもしれません。

自分は健屋花那さんは初期研修をしていないと思っています(してたら後述しますが問題です)。

メリットとしてはVを仮に引退するようなことがあった時、初期臨床研修から開始できることですね。臨床研修終了後にVの活動を行っていたとすれば、ブランクの期間が長くなるほど現場への復帰が難しくなります。そういった面でも、保険の手札のカードとして初期臨床研修を残しておくのはアリだと思っています(地域を選ばなければ絶対多分どこか拾ってもらえると思います)。

次に問題ですが・・・。

〇一応「診断」というか「診療行為」は医師免許があれば出来るハナシ

原則として、「医師免許」がなければ「医業(医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、または危害を及ぼす恐れのある行為を反復継続する意思をもって行う事)」をしてはならないという項目が「医師法」と言うもので定義されています

※簡単に例えるとてんびんのようなものです。我々医者は患者さんに対して針を刺したり切ったり縫ったり薬を投与できます。それって言ってしまえば患者さんを傷つける行為に該当しますよね(侵襲行為)。

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そういう行為を行うことによって患者さんが得られるメリットが侵襲行為によるデメリットを「上回ると考えられる」時のみ「医療行為」は認められるわけです。
だからメリットデメリットをてんびんにかけた際、デメリットが上回ると「その時のタイミングで想定される」場合、基本的に治療適応がなくなったりします。

こういった感じで、医師免許と言うのはメリットが上回ると考えられるときに限り「患者の人体に傷をつけていい(極論)」事を許された免許になるわけです。

同様に・・・。

基本的に「診療行為」という事(問診や身体診察等諸々の行為)は医師でなければできません(医師法における医行為と言うものに該当する)

だから、「医師免許」自体があれば「診察」とか治療行為は「一応出来る」のです。

(ただ、上述したように医師免許所得直後の半人前医者は初期研修制度によって国が指定した病院『でしか』働くことが出来ないのでそういった医業や医行為は初期臨床研修指定病院に限定され、一般にそれ以外ではできないよねって話です)。

★これを外でやるのは問題だと思います。特に公共の電波とかで問診や診察行為などをするのは問題になりうる可能性があると強く考えています。
(一般の方に対しての影響も含めてです)。

〇気になる点1

自分は「消化器内科」専攻医で、所謂カメラ(上部内視鏡とか下部内視鏡)を専門にしており、ぺーぺーで駆け出しもいいところですがだからこそ「~じゃないのかな」って言えるのですが・・・。
ぶっちゃけた話、サロメさんが提出した画像だけで診断するってのも「どうなんでしょうか?」と思うところがあります

↑これ。これだけで診断を付けるってのは「大変」じゃないかと思うんです。まずそもそもサロメさんが「なにをもってして」3枚の内視鏡画像をチョイスしたのかもわからないし・・・(医者から手渡されただけかもしれないし)

確かに内視鏡検査って結構「診断」つけやすい方の検査ではありますが・・・、これに加えて『状況によっては』生検検査などをしてみて、それで

多分これかな」って診断がつくのがやっとだと思うんですよね(典型例で分かりやすいのも勿論ありますが)。

補足:あくまで画像で撮ってますけど上部内視鏡(カメラ)はもっとリアルタイムで肉眼的に観察します。それこそ360度、見落としが可能な限りないように内視鏡で全体を検査するわけです。それを鑑みたら、
3枚の画像から「診断」なんてまあ厳しいことが多いんじゃないかと思うのです。無理じゃないかもしれないけど、「確実にこれです」とは言いきるのは結構勇気がいるなと個人的に思うのです

確かに提示された3枚の画像は「所見がある」と思われサロメさんに提示された画像なわけですから、そこから鑑みて〇〇ぽいな?と思う疾患は確かに思いつきます。しかし確実に「これです」と断言はできません(本当かどうかは実際見てみないとわからないので)

(ただ画像を見る限りではそこまでヤバイ疾患ではないと思うのですが実際自分が見に行ってみないとわかんないです。保証できないです。逆流性食道炎・・・はありそう…だけど・・・、胃は解像度が低すぎて何とも・・・。)

後は「症状」だったり「L/D(ラボデータ)」だったり、「Xp(レントゲン)」だったりCTを撮影してたらその画像だったりとか・・・色々と複合した結果を照らし合わせて、

その結果から「今現状考えられる疾患としては〇〇が一番『可能性が高い』と思います。」と言った感じで「診療」は基本的に進むので・・・。

一部の内容だけじゃ分からないことが多いです。典型例だったら分かるかもですけど、典型例じゃないケースも多い。それで色々な検査を駆使してやっと「これが一番『現状』可能性としては高いね」って感じで(現状ってワードがポイントです)。

だって患者さんって、症状(腹痛とか頭痛とか)を訴えて病院にかかるわけですよね。

自分がよく例えに使う事ですけど、患者さんのひたい(おでこ)に「私の病気は~~~です!」って表示されるシステムは人間には搭載されていませんよね

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おでこに病名が表示される世界があったらどれほど楽な事か・・・。

それゆえ確実に「こうです!!!!!この病気です!!!!!!」って言いきるのはとても難しいんですよ。現場でそれやるの滅茶苦茶難しいんです
(特に夜間の人手不足・リソース不足の中行う救急外来などは特にそう)

だからそれをたった3枚の画像から診断ってのも、診療の精度は低くなる可能性が高いよなと思うのです。

国家試験とかだったら、「クイズの答え合わせのそれ」でいいんですけど・・・。

現場は「患者さんの命」がかかってるわけですから・・・。外してとんでもないことになったら患者さんは最悪「死ぬかもしれない」んですよね

(↓言いたいこと)
だから何というか、医学生とか医者同士の仲間うちだったり、抄読会だったり勉強会や日々のカンファレンスや回診で身内だけの内々で画像だけの診断を話題に出すならまだしも、公共の電波で全世界に向けてさらに「インフルエンサー」としての発言を医者初心者がべらべら喋るのは良くないと思います
発言には責任が伴います。これで間違った情報を拡散したら責任を取る必要があると思うのです。それ位覚悟がいるのです。医療系の情報の拡散は・・・
(↑言いたいこと)

「これだと思う!!!」って言われても、違ったら・・・現場だったら・・・現場は大変なことになる可能性がありますからね。

それ故に「この3枚で健屋花那さんは診断できてたのに何であなたは診断できないんですか!!!!!」とか言われた日がきたら我々としたら困ります

「やれるだけ」を「やって」、総合的に照らし合わせて判断するのが現場の臨床医療です

そういう面で業界と言うか医者への迷惑行為になってないかと言われたらなりうる可能性をはらんでいると思います

無論これを「エンタメ」だととらえて分かって視聴してくれている方も多くいらすのは分かりますし、それならまだしもそうじゃない捉え方をする人もたくさんいらっしゃるでしょうし
(実際そういうエンタメでない捉え方をする人は結構いらす印象です)。

と言うかそもそも検査した医者が本来は「診断」するものであって、まず「胃の写真をなぜ見せるのか?」と言う疑問は当然として・・・・・・・・・

人の画像で診断ごっこを公共の電波で、インフルエンサーの方が初心者の知識で大々的にひけらかされると困るなという事です(内容が間違っててもその正否については一般の方では指摘が難しい面もありますよね)
(まとめにも書きますが解決案もございます)。

〇気になる点2

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そして・・・、病院実習と「初期研修」は全く異なるものです。

実習は「医師免許」を持ってない状態で医学生がやるものです。

逆に「初期臨床研修」は「医師免許」を持った半人前とはいえ「医者」が行うものです。前述した見出しにもあるように、医師免許を持ちさえすれば診療行為などの行為は出来てしまうのです。

そして「労働」として「賃金」を頂く立場になるわけです。当然責任が生じます。一応初期研修中は「指導医(オーベン)」の指導の下行うので基本的に指導医が責任を負うことになるのですが、初期臨床研修医もいわゆる訴訟に備えた「医賠責保険」に加入します。それ位重みが違うのです

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特に最近は医療と司法の対立が著しいです。
ただでさえ医者にヘイト視線が高まる中、あまり余計なことはしてほしくないのが本音です。
真摯に現場で、最前線で頑張っているドクターをないがしろにする行為でもあるわけですから・・・

そういった環境下で2年間鍛えられ過ごすことで研修を終えられるわけですから・・・。

そういうの抜きで、指導医もナシにエビデンスも無く、国家試験までの知識だけでプロを気取って堂々と医療的回答の流布は個人的にはしてほしくないですね

たいへん困ります。いや、免許ある時点でプロではあるんですけど、初心者プロと言うか、スタートラインに立っているだけと言うか・・・。

実際自分はまだ臨床修了から数年以内のぺーぺーですけど、実際やればやるほど「自信をもってこうです!」と申し上げるのは難しいなと常々思います

だから、安易に臨床現場を知らないままに医療知識を発信するのは「ガチでアカン問題」だと思います

勘弁してほしい。これは本当にです。
有名人がこうこうこういってたからこうなんですよね先生!!」と言われることはたまにありますね。内容が違ってたりすると困ります。撤回するのにも時間がかかりますし・・・。

〇医師国家試験までの知識と現場で得られる知識は大分異なる

前見出しと重なりますが、医師国家試験までの知識は確かに臨床で3割くらい(体感)役立つときもあるような気がしますけど・・・ぶっちゃけ臨床現場に出て「得られる知識」って滅茶苦茶ありますし、国家試験だけの知識だと大分厳しいです(まず知識が足りないのと遭遇頻度とかそういった生の知識が足りない)

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臨床で得られる知識はやっぱり新鮮ですし最前線です。

と言うかあくまで国家試験の知識は「国家試験に受かる為」の知識であって、そこがスタートラインになるわけです。そこからもっともっと深い所を勉強していくのが研修医、専攻医、更にサブスぺ・・・と言った感じで。だからこそ現場の知識が全くないような状況で「医療情報の発信のインフルエンサー」として情報を発信するのは医療業界から見て大変リスキーな事であると考えていただきたいのです。

そういった臨床現場の知識がない状態で「医療知識を発信していきたい!」って言うのはマジで勘弁してほしいのです。それだけです

欲を言えば、初期臨床研修が終わって専攻医ルートが始まってからが「真のスタート」であって、そこからずーっと自分の専門科の勉強をして、やっとそれを数年続けて専門医取ってちょい位のタイミングくらいで自信がついてくるもんじゃないかなと思っていて、実際自分もまだまだ上昇途中の人間で、とても人に大っぴらにインフルエンサーとして活動できる自信はありません

医者としてのスタート地点に立ってるだけだとしたら最前線兵士を気取るべきではないと思います。この間の選挙でもどこかの政党から出ていた若手女性のお医者さんでさえ一応初期臨床研修は終えてたわけですし・・・。

〇インフルエンサーとしてむやみやたらな医療知識の発信は避けてほしい

あくまで医師免許って医者としてスタートのゴールのない果てしない片道切符だと思っています

だからスタートラインに立った状態に過ぎないにも関わらずさも最前線に立っているかのような立場で正否が分からない医療知識を発信されても困るよって話になるのです(仮に臨床研修をしていなければ)。

インフルエンサーである立場であることを強く強く強く強く自覚して動いてほしいのです。間違った情報を流布されようものなら私たちは大変困ります

〇初期臨床研修を進めていらした場合

こうであってほしくはないと思っています。

〇まずそもそも初期臨床研修中「兼業」できる?の話

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ぶっちゃけかなりグレーゾーン。
本業(=初期研修)に支障が出るようならダメなのは当然だと思います。

初期臨床研修制度って、生活を最低限保護するくらいの給料を出す代わりに、医者としてまだ半人前という事で医療系のアルバイト(健診、クリニック外来、療養病院での寝当直etc…)と言ったものが禁止されています

この「医療行為のアルバイト」に関しては明確に「禁止」されています

只、その他の業種のアルバイトについては(たぶんそもそも想定されていない為)明確な文章がありません。だからまあ、法律的に(?)は「できなくはない」のだと思います(グレーゾーン)。

(初手初期研修をやらずに脱毛等の医療に進むかどうかについては出来るかどうか考えたことも無いので、今回は割愛させていただきます)。

只、初期臨床研修制度は「臨床研修に全力を注いでもらうためにアルバイト等の副業を禁止している」という名目も強くあると思うので、そういう観点から見ると、本業と言うか臨床研修に支障が出るような副業(ここで言うところならばV業)は禁止されてしかるべきであると思います

ただ現状明らかな文章が無いので、許可する病院もあってもおかしくはないかな?と言った感じです。

多分殆どの病院はNG出すと思うのですが、確実に「無いです。あり得ません。」って言いきることはできないと思います

〇24h365日×2年間でも足りない初期臨床研修期間

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思うのは生涯全てを勉強に費やしても多分足りない位、医療の世界は広く深いです。
ただ一定以上の熟練した後は兼業している人も多くいらしますね。
(小説を書いたり、ビジネスを開いたり・・・)。
勿論医者にだって家族とかありますし、QOLとかもあります。
どこまで医療にパワーを割くかと言うのは私たち医者のの永遠の課題でもあります。
家族を大事にしたい気持ちだってあるし、医者としてガンガン強くなりたい気持ちも私はあります。

仮に24h起きていられたとして、それを365日、それを2年間ずっとやって、余暇の時間等全てを仕事と勉強に捧げても、ぶっちゃけ個人的に思うのは研修医として「学びたいこと」は多分学びきれないんじゃないかなと思うんです。

勿論今あげた例は身体的に到底無理な話ですし、メンタル面のカバーも重要ですから、適度な休息や息抜きは必要になります
起きている間ずっと勉強しろと強要するのも酷ですし。

ただ言えるのは、仮に法律が許して兼業が出来たとして、

ただでさえ「研修で医学を学ぶ時間」が足りないのに兼業先にうつつをぬかす暇があるか?と言われたらNOだと思います

〇インフルエンサーとして

仮に初期研修中に「Vとの兼業」をなされていた場合ですが、沢山の方に注目される商売ですし、人気のある方であると伺っております。

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インフルエンサー

だからこそ問題になるというか、世間的な「感情を含めた視点で」人道的に見たらやはり「医者である以上医業一本に絞って活動してほしい」という声が出るのも仕方がないかなと思うのです。そこを突っつかれたら大問題になるのも仕方ないのかなと思うのです。ただでさえ医者に対してのヘイトが高まっている世の中ですし。

健屋花那さんはにじさんじの起業所属の方とうかがっておりますので、一度企業内でのコンプライアンス会議とか、本人といらせばマネージャーさんとの意見のすり合わせや今後の活動等キッチリ考え直す必要があるのではないかと思うのです。

現状まだ炎上(?)はしていないと思うのですが、仮にこれが燃え広がるとしたら、今後の医療において、「初期研修制度においていかなる副業も禁止行為とみなす」と言った裁定が下ってもおかしくないと思います

いずれにせよ、今回のケースがあった以上「初期臨床研修制度中の副業の是非」に明確なメスが入るのもいい機会ですし多くの人に知られても良いとは思うのですが・・・。
やはり、燃えないなら燃えないに越したことは無いですよね。

〇まとめて

書いているうちに主観が強く入り、医者として・・・と言うよりは自分の医者の個人としての矜持を主体に考え、批判色が強くなってしまったので、大幅に文章を削り、出来るだけ客観的な問題点のみを記述したつもりです。

うーん、いち医者として思うところは沢山ありますが・・・。兼業できるのであれば兼業していいのだと思います。多様性の社会ですからね。

実際にある程度熟練の領域に達したDrであれば、兼業も視野に入れて来ていいと思うのです。そういった形で沢山兼業されている先生もいらしますし、自分も将来的には医者一本以外でも何か考えています

ただ思うのは、医療情報を発信するのであればある程度の現場は知らなければならないと思うコトです。臨床現場を知らないのに医療情報を発信されると、それが万が一間違っていた際、凄いインフルエンサーであるという事は伺っておりますので、とんでもない誤情報が流布されることに繋がり、一度まねいた誤解を解くのは相当に大変ですし、それを解くのは我々医者になります。誤解を解くのは本当に大変な事なのです。

だからこそ、当該の方に対して、そこは慎重に慎重に判断していただければと思うのです。

解決策ではありませんが、「にじさんじ」というVtuberさんの企業においても、リアル医者の方が入られたというのは耳にしています(精神科の先生でしたよね)。そういった場数がある方は良しとして、医療安全部門ではありませんが、医療系の発信をする際に確認・エビデンスを取ってくれる医師を別途で雇うといったのも一つの選択肢ではないかと思います。これはあくまで「企業」目線での話になりますが・・・。

兎にも角にも、今回は医者としての目線で「良くないな」と思う点を中心に書きましたご献体の件とか、色々とお話は伺っておりますがそれはまた別件で・・・自分はアンチではないですし、あくまで同じ「医師免許」を持つものとして警鐘を鳴らしたかっただけなのです。

(ご献体の件は内容によっては医学における聖域をとんでもなく犯すことになるので、内容次第ではとんでもないことになると思います。それこそ依然あった美容外科医の解剖実習の自撮り並みに・・・。)

うっすらしか知らずほぼミリしらな自分でも「多分医師免許は持ってるんだろうな」という気持ちもあった中、このタイミングでの暴露は何かの意図があるのか、そこまでは私が足を踏み込む領域ではないと今回は判断しました(実際ファンでもないですし、たまたま朝おすすめツイート見ただけなので)。

医者って、自分も死ぬほど死ぬほど死ぬほどなりたかった職業で、自分は何度も浪人してなった位には思い入れのある職業ですし、世間的に見ても不況とかいろいろ鑑みても、「憧れる人が一定数以上いる」職業だと思います。門戸の数が少ない分、死ぬほど勉強してもなれなくて泣く泣く諦める方も沢山いる世界だと思っています。だからこそ、だからこそ・・・このタイミングで「医師免許アルヨー」と言ったような開示を今になってするのは、悪手だったのではないかなと個人的に思いますコロナ禍とかあって、ワクチンとかあって・・・。色々と医者へのヘイトが高まっている現在・・・。

あくまで私の記事はここまでにし、今後についてはファンの方々や、ご本人が仮にこの記事を読むことがあるのであれば、今後の活動の参考にしていただければ幸いです

読みにくい箇所至らない箇所等多々あったと思いますが、ここまで読んでくださった方がいらせば、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。


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コメント

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記事を拝読しました。 とても分かりやすく、勉強になりました。 健屋さんとは別の方ですが、とある医者VTuber(名前は伏せます)をよく見ています。その方は医学的な情報を発信する際はかなり慎重な姿勢を取っています。その理由については本人も説明していましたが、この記事を読んでさらに理解が深ま…

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2-Low いいね
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IYO-3753

話が長い 補足とかミリしらやらで1/3くらいあるやん もっと簡潔に話してくれよ

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2-Low いいね
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素直シュール

あの初配信に関しては単なるネタです。 6年目なのに初配信!? みたいな感じです。

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2-Low いいね
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あいき

健屋花那さんは壱百満天原サロメさんの胃カメラ写真について、仲間内で症例の予想をしたということ以上のことは(具体的な症例も)特に話していなかったと思うのですが、これも「診断」にあたるのでしょうか? ちなみに、貼られていた動画のタイトルの「診断」は投稿者が勝手につけたもので、健屋さん…

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健屋花那さんがお医者さんだったの話(同業者目線からのお気持ち?)|2-Low
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