玄海原発周辺で7月に確認の“3つの光”「航空機の可能性高い」

ことし7月に、佐賀県にある玄海原子力発電所の周辺で確認された3つの光について、佐賀県警の福田英之本部長は、19日の県議会で「航空機の光をドローンと勘違いした可能性が高い」とする見解を示しました。

ことし7月、佐賀県にある玄海原発の周辺で、3つの光が確認され、九州電力は、ドローンの可能性があり、運転に影響を及ぼすおそれがある核物質防護に関する情報にあたると判断し、原子力規制庁に通報しました。

この3つの光について、佐賀県警の福田英之本部長は、19日の県議会の一般質問で、「原発の周辺を飛行していた航空機の光をドローンと勘違いした可能性が高い」とする見解を示しました。

理由として、原発周辺の警備員の証言や、防犯カメラの映像などを精査したところ、目撃された光は、
▽民間の航空機が使う発光パターンと同じで、
▽当時、原発周辺にいた複数の航空機の飛行ルートと矛盾しないことが分かったということです。

一方、ドローンの可能性も完全には否定できないとして、捜査を続けるとともに、警戒を強化するとしています。

九州電力 通報までに50分余

九州電力は、3つの光はドローンの可能性があり、運転に影響を及ぼすおそれがある核物質防護に関する情報にあたると判断しましたが、事前に定められた手順で、原子力規制庁に通報したのは26日午後9時56分で、警備員が最初に光を確認してから50分余りがたっていました。

九州電力は、こうした国などへの通報に課題があったとして、核物質防護に関する情報を通報するまでの、各段階ごとに対応時間の目安を設定するなど、即時性や正確性を向上するための改善策をまとめ、今後、訓練などを通じて実効性を確認していくとしています。

また、九州電力は、原発の敷地内で不審な物体や光などを確認した際の対応も見直しました。

当時、3つの光は、警備員が最初に光を確認してから、2時間近くがたった午後10時53分ごろに確認されたのを最後に見えなくなりましたが、原発の敷地内では、今もドローンの現物は見つかっていません。

また、当時、警備員がデジタルカメラなどで原発の敷地内を撮影することは、核物質防護上の理由から認められておらず、映像は残されていません。

今回の事案を受け、九州電力は、こうした運用を見直し、警備員などが、不審な物体や光などを確認した場合、許可を得たうえでデジタルカメラなどで撮影できるようにしました。

さらに、暗視スコープなどを増やしたり、投光器の設置を進めたりして、監視体制を強化するとしています。

このほかに、九州電力は、ドローンなどの攻撃を防ぐには、早期の検知が重要だとして、ドローンの検知装置の導入などについて、国などと協議をしながら検討を進めるとしています。

原子力規制庁 情報発信で課題 改善へ検討進める

一方、今回の事案では、原子力規制庁の側にも、情報発信の面で課題がありました。

当時、通報を受けた原子力規制庁は、九州電力からの情報をもとに午後10時半すぎに、原発の運転に影響が出るおそれがある通報があったと第一報を発表し、その1時間半後に「ドローン3機が飛行中であることが確認された」と発表していました。

しかし、九州電力や警察などと改めて協議した結果、ドローンと断定できないことが明らかになり、「ドローンと思われる3つの光が確認された」と表現を訂正したのは、半日ほどたった27日の正午すぎでした。

こうした対応について、規制庁は、
▽事案の概要や、施設の安全性について、どのような情報を発信するべきか判断に時間がかかったことや
▽事後的に訂正した点で課題があったとして、今後、改善に向けて検討を進めるとしています。

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