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赤トンボ激減の原因と新聞報道で指摘されたネオニコチノイド系農薬とは? #エキスパートトピ

猪瀬聖ジャーナリスト
写真:イメージマート

日本の秋を彩る赤トンボの代表種「アキアカネ」が全国的に激減し、原因の一つとしてネオニコチノイド系農薬の使用拡大が指摘されているとの毎日新聞の報道があった。ネオニコチノイド系農薬はあまり聞き慣れない農薬名だが、実は様々な種類の昆虫や川魚、野鳥の減少への関与が指摘されており、自然環境への影響が大きいとして欧州連合(EU)をはじめ多くの国や地域で使用禁止などの措置がとられている。ネオニコチノイド系農薬についてわかりやすく解説する。

ココがポイント

水田や湿地の減少、アキアカネに強く作用する農薬の使用が原因と指摘されている。
出典:毎日新聞 2025/9/15(月)

欧州連合(EU)がネオニコチノイド系農薬有効成分の屋外使用の全面的禁止を支持
出典:食品安全委員会 2018/4/27(金)

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気候変動や水質の変化など様々な要因が考えられる中、稲作にもよく使われるある農薬が有力な“容疑者”として浮上した。
出典:猪瀬聖 2025/6/24(火)

エキスパートの補足・見解

ネオニコチノイド系農薬は生物の神経に作用する神経毒の殺虫剤。害虫だけを効果的に駆除し従来の農薬と比べると他の生物や人には安全との触れ込みで1990年代から世界各国で急速に普及した。だが貴重な花粉媒介昆虫であるミツバチの生息数が激減するなど生態系の異変が相次いで報告されるようになると、その毒性に関する研究が各国で始まり新たな懸念が次々と明らかになった。東京大学大学院の山室真澄教授らは、島根県の宍道湖でウナギとワカサギの生息数が激減したのは周辺の水田にまかれたネオニコチノイド系農薬が原因の可能性が高いと指摘した。医学博士の木村―黒田純子氏は、ラットの発達期の培養神経細胞を使った実験で、ネオニコチノイドが人を含む哺乳類のニコチン性受容体(神経の伝達に欠かせないタンパク質)に直接作用することを突き止めた。この研究結果はEUの規制強化の決定に影響を与えたとされる。米国でも規制強化に動く州が増えている。日本ではこの間、政府が規制緩和に踏み切ったこともあり使用量が増加。最近は、発達障害児の増加とネオニコチノイド系農薬の使用量増加との関連を指摘する研究者や報道も目立つ。ただ、いずれも因果関係は立証されていない。

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ありがとうございます。
ジャーナリスト

米コロンビア大学大学院(ジャーナリズムスクール)修士課程修了。日本経済新聞生活情報部記者、同ロサンゼルス支局長などを経て、独立。食の安全、環境問題、マイノリティー、米国の社会問題、働き方を中心に幅広く取材。著書に『アメリカ人はなぜ肥るのか』(日経プレミアシリーズ、韓国語版も出版)、『仕事ができる人はなぜワインにはまるのか』(幻冬舎新書)など。

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