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Conversation

水産庁がスルメの漁獲枠を突如緩めた件、批判されていますね。 目標の16%しかいない個体群にこれでは、当然と思います。 日経さんは「(イカが漁場にいるのに獲れず)死活問題」という 漁業関係者の言葉を強調しますが… 乱獲で資源を潰してしまえば、本当に漁業が死んでしまうのです。 確かに、僕が知る限り、今回増枠を得た漁業の関係者が、自らを 「水産庁に規制される被害者」的に感じていらっしゃる場合は多い。 僕自身も昨日、某水産行政官に対して増枠を批判したところ、 「もっと漁業者に寄り添って」と苦言をいただいてしまいました。 ですが、漁獲規制で水産資源を守るのは、水産業者の仕事を守るため。 漁業団体の意見だからと無条件に受け入れ、未来を犠牲にするのは 「漁業者に寄り添う」行為ではないはずです。 まして多くの漁業は、他の産業よりも手厚い減収補てんを受けてもいる。 「死活問題」だけ目立たせる報道は、公平性を欠いています。 もくじ 1.乱獲のリスク~16%しか残っていない~ 2.増減枠、両輪で漁業を守る 3.見えた希望の芽 #日本の漁獲は40年で7割減 ・・・ 1.乱獲のリスク~16%しか残っていない~ この個体群は激減が明らか(直近で目標量の16%のみ)。 abchan.fra.go.jp/wpt/wp-content 今年、漁場にスルメが多いというのは確かなのですが、 水温が良くたまたま漁場に集まっているだけという可能性が捨てきれません。 minato-yamaguchi.co.jp/minato/e-minat minato-yamaguchi.co.jp/minato/e-minat 見切り発車で漁獲枠を緩めれば、残った貴重な親魚を一網打尽にし、 今冬に産卵する機会を奪ってしまう危険が残っています。 こうした観点をしっかり議論することなく、たった2時間の会議で 増枠を即決してしまう、その資料を会議前日まで得られない 委員すらいた、というやり方は拙速な印象を拭えません。 ・・・ 2.増減枠、両輪で漁業を守る 増枠支持者の「スルメは寿命が1年だけで、環境条件次第で 卵や仔魚の生き残り量や資源量の予測が大ハズレしやすい。 だから、その年の状況を見た、生き残り量に合わせた 漁獲枠じゃないと信頼性が薄い」というご意見はその通りです。 ですが、だとすれば生き残りが悪そうだった年には 漁獲枠を下げる議論をしておくべきだったはずです。 今すべきは、いたずらに枠を緩めることでなく ・資源の分析を、2年前でなくリアルタイムのデータでする ・漁場以外も含めた個体群全体を調査する ・そのために、漁業者から調査協力やデータ提出を得る ・結果、資源が多そうなら枠を増やすが、少ない年は枠を絞る ・データを世界と共有し、中国などの漁船も一緒に規制する …といった体制づくりではないでしょうか。 スルメに限らず、調査予算を削らせてまで漁業補助金を増やすよう 迫ってきた方が「科学はアテにならないから」と、科学者の勧告する 漁獲削減を拒絶する現状には矛盾があります。 一部の県が「嫌がる漁業者がいるから」と、国の研究機関へ 漁獲データ提出を渋っている現状も、打開が必要でしょう。 こうして資源が減り続けている現状は、海や資源を守るために 真に努力している漁師さんや研究者の皆さんに、あまりに酷です。 ・・・ 3.見えた希望の芽 とはいえ、前進もあります。 昨日の増枠の会議では、水産庁から 「枠は資源が良好だったら増やす、良好でなかったら下げる」 委員の魚屋さんから、 「漁船を使って(より広い海域を)調査をできるよう、予算をつけよう」 といった内容の発言があったと聞きます。 僕自身の取材でも、水産庁の会議でも、増枠を求める漁業関係の方から 「調査やデータ提出には協力したい」とコメントを聞くことが増えています。 minato-yamaguchi.co.jp/minato/e-minat 水産業界の「我々は漁業規制の被害者」という空気を 「我々の経営を守るために、海と資源を守ろう」に 変えていくことができれば、まだ、未来に希望はあるはずです。
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日本経済新聞 電子版(日経電子版)
@nikkei
スルメイカ豊漁で漁獲枠3割拡大 初の期中改定 nikkei.com/article/DGXZQO 水産庁は2025年の漁獲枠を34%増やすことを決めました。期中の改定は現行制度で初めて。今年は豊漁で、漁業関係者から「すでに上限に達してしまい死活問題」との声が上がっていました。