一関市花泉町の金沢(かざわ)八幡神社(金沢直宮司)の例大祭大名行列(実行委主催)は14日、神社周辺で行われ、旧金沢(かざわ)村の内沢地区の氏子たちが威風堂々と練り歩いた。人口減少の逆風にも負けず、集落で268年つないできた使命を守り貫いている。
「ハーオートマカショー」「ハードッコイトナー」。空高く毛槍(けやり)を掲げ、どっしりした挟箱(はさみばこ)を担いだ黒い装束の集団が、地面と水平に両手を大きく広げ、左右に揺れながら力強く進んだ。
起源は江戸時代の宝暦7(1757)年、火災で焼失した同神社の遷宮の際、田村藩の名代と内沢地区の氏子がご神体を守り行進したことが始まりとされている。こうした背景から、かけ声は「お供は任せて」「どこまでも」など護衛を奮い立たせる内容となっている。
大名行列は代々、内沢地区の氏子が継承してきたが人口減少が加速。金沢宮司は10年ほど前、集落以外から参加者を募ることを住民に持ちかけたところ、「自分たちで続けたい」との返答があり、旧来の形を維持している。
新型コロナウイルス禍で休止した期間を経て、今年は21人が参加した。内沢大名行列保存会の加藤克巳会長(72)は「大名行列は例大祭の核。ずっと続けてきたから、みんな積極的に参加してくれる」と語り、「いつか他の地区と一緒になる日が来るかもしれないが、できる限り続けたい」と決意を示した。
大名行列の後ろには、地元小学生による鉄砲隊が歩いた。花泉小6年の千葉穂佳(ほのか)さんは「昔から伝わっているお祭りだから大切にして、いろんな人に見てほしい」と地元の伝統を心に刻んだ。