BONDステップハウスはDV交付事業?【BOND住民訴訟判決】
東京都のWBPCへの交付金及び委託契約に関する住民訴訟で初の判決がなされた。令和3年度のBONDの令和3年度東京都配偶者暴力被害者等セーフティネット強化支援交付金(以下、「DV交付金」という)に関する訴訟であり暇空氏側の敗訴である。
交付金や補助金は民法の寄付であり、委託契約と異なり反対給付(対価に見合った成果物)も存在せず行政の裁量範囲も広いことから住民訴訟の中でも行政よりの判決となり易いく正直あまり追っかけていなかった。
ただ、交付金の要綱で他の補助金が入った事業は交付の対象外としている点については気にはなっていた。
Ⅰ DV交付金における補助金併用禁止の対象
(1)補助金併用禁止
令和3年度東京都配偶者暴力被害者等セーフティネット強化支援交付金実施要綱(以下、「実施要綱」という)では他の国庫補助を受けてる事業内容ではないことを要件としている。併用禁止が「事業内容」を基準としていることが裁判上のポイントになっている。
暇空氏は既にBONDが受託及び受託が予定されていた東京都若年被害女性等支援事業と同一事業として交付申請自体が補助金併用禁止に反し無効として住民訴訟を行った。
(2)補助金併用禁止の他事例
他の補助金における併用禁止の縛りと運用について以下に整理する。千差万別であり一概に併用禁止の対象は確定できない。
①事業再構築補助金(経済産業省)
事業再構築補助金の併用禁止は経費ではなく類似事業に補助金が入っていた場合も不可としている。
②環境配慮型先進トラック・バス導入事業(環境省)
この併用禁止も経費ではなく他の補助金が適用された目的物(車両)であり経費より広い範囲で禁止している。
③社会福祉施設等施設整備費国庫補助金(厚生労働省)
この併用禁止は「経費」を対象としており他の補助金が適用された設備でも経費さえ重複しなければ交付対象となる。
(3)DV交付金の補助金併用禁止対象
他事例の整理結果より併用禁止となる範囲・対象は、交付要綱等の拘束力のある図書の用語がキーになっている。経費と書かれていたなら経費、対象物と書かれてたら対象物、事業と書かれてたら事業が併用禁止対象となる。
DV交付金の併用禁止は「事業内容」であり、経費や対象物よりも広い範囲で併用禁止となっている。
Ⅱ 判決のロジック
東京都の主張は「経費が重複してない」と「交付金のステップハウスと支援事業のシェルターは別事業」の2つである。しかし、判決では「経費が重複してない」は一切触れることなくステップハウスとシェルターは別事業として補助金の併用ではないとした。
当然であるが、支援の目的はDV交付金と女性支援事業では異なる。要綱における併用禁止の対象は「支援の目的」ではなく「事業の内容」である。
シェルターは自立までの保護女性支援、ステップハウスは保護女性の自立後の支援であることから事業の内容が異なっていると判断したものと思われる。DV交付金・支援事業とステップハウス・シェルターの考えられる組み合わせを以下に整理する。
結局、DV補助金に先行する支援事業の範囲にステップハウスが入っていると事業内容が重複、支援事業にシェルターが入っているので後発のDV交付金事業の対象にシェルターが入ってても事業が重複することとなり、判決が成立するケースとしてはケース2しかない。
Ⅲ 実際のステップハウスとシェルターの扱い
(1)ステップハウス・シェルター費用の請求・支払い
以前、BONDの不動産関係の請求・支出を整理した記事を書いた(→こちら)。なお、BONDは不動産費用の清算内訳を提示してないため、女性支援事業については事業計画書ベースである。
R2でシェルター費用をDV交付金で手当てし、R4ではステップハウスの費用を女性支援事業で手当てしている。BONDも東京都もステップハウスはDV交付事業、シェルターは女性支援事業といった区別は一切していない。
また、「新たな物件はDV交付金で手当てして、後年に女性支援事業に金の出どころを切り替える」という法則性が見受けられる。DV交付金の対象には新規性が求められているからであろう。
R4の女性支援事業の事業計画書でも実施状況報告書においてもBONDはステップハウスを女性支援事業の居場所支援と位置づけ報告しており、「ステップハウス=DV交付金事業」とは考えていないことがわかる。
東京都は「女性支援事業の居場所支援とステップハウスは別事業で明確に区分してる」としているが、令和3年度の請求にあたり交付金には新規性が必要という費用の条件面の都合でたまたまそうなっただけである。
また、R2のDV交付金事業でもシェアハウスを対象として交付を受けている(→若草氏のポスト)
以上より、ステップハウスとシェルターの経費の手当ては事業目的も内容も関係なく、支払条件とBONDの事情によってDV交付金と女性支援事業のサイフを切り替えているだけと考えざるをえない。
(2)若草プロジェクトのDV交付金事業と女性支援事業の区別
若草プロジェクトはR3DV交付金事業で若草ハウスで交付金を受けた。若手女性、中長期シェルターと対象者も事業内容も女性支援事業と一致する。
この若草ハウスは同じ令和3年の女性支援事業の活動報告にも記載されており、事業内容での活動の区別はされていない。
また、R3の若草ハウスの経費が女性支援事業に紛れ込んでいたのかは不明であるが、R4は若草ハウスの費用を女性支援事業の枠で取得している。
DV交付金と女性支援事業は「サイフ」の区分でしかなく、事業内容で区分してないことは、DX交付金がなくなるため女性支援事業に乗り換えるとする下記の書類でも明らかである。


コメント
2いやーこれは大変整理されていて大変参考になりました。
R3の住民訴訟だけ見ると判決にも一理ありっぽく読みましたけど、
R4はR3のDV補助事業対象を若年~事業に組み入れていることを加味すれば、
「異なる支援目的」とは言い難いですね。
そのあたり控訴審で突っ込んで議論されるとよいですね。
ええと、おかしいと考えておられるのならば、地裁で暇空敗訴に終わったBONDの住民訴訟の控訴審を手伝ったほうがいいと思いますよ
控訴理由書の案を出したりとか、意見書を書いてあげるとか、色々と暇空茜を手伝えることがあると思いますが
でないと高裁でも暇空敗訴になってしまう可能性もあるわけですし
それをしないでひたすらXとnoteでおかしいおかしいとだけ言っているのは非合理的で不思議です