BOND住民訴訟 レインボー求釈明への欺瞞に満ちた東京都回答
BONDの住民訴訟において東京都に対する裁判所の求釈明に対して都の回答がなされた。しかしながら、前回の記事で指摘した歪曲やチェリーピッキングされた解釈による事実に反した一般論の繰り返しでしかなく、新鮮味にかけるものであった。
1.東京都の回答
いきなり「特殊性」である。「特殊性」は規則や慣習等を逸脱した場合、それを正当化するためによく使われる言い訳フレーズでもある。特殊な公共調達をしようとする場合、役所は入念に調達スキームを検討するのでその痕跡が残る。
今回も「公法上の契約に類する契約の通達」という証拠が残っていた。しかし、それは地方自治法を逸脱するための手段であり理論武装には使えない。結局、違法な手続きの責任逃れをしようとのたうち回った結果が、監査や自らの再調査とも矛盾する今回の回答として結実した。
都の回答をまとめると以下のとおりである。
2600万を上限とする企画競争をしたので企画提案どおりに履行されれば2600万以上と推定される
補助事業ではなく委託契約なので領収書を積み上げて経費を確認する必要はない
事業計画書において2600万以上の内容だと確認している
実施状況報告書が企画提案書・事業計画にそっていれば2600万と推認され、都による領収書の確認は不要である
過失、故意による架空請求があっても実施状況報告書に表面的な不備がなければ都の職員に責任はない
2.東京都回答の欺瞞
都の主張が自己矛盾や契約に違えたものであることは前回の記事で指摘済みであり、これを覆す証拠や論理の提示はなかった。要点を整理すると以下のとおりである。
企画競争やプロポーザルの委託で経費精算の業務も当然ある。領収書の確認の要否は「委託契約」や「選定方法(企画競争)」でなく契約書・仕様書等で決定される。
東京都若年被害女性支援事業の仕様書は「事業に使用した経費」に対して支払うものであり、企画提案時の仕様書からも明らかである。
BONDの実施状況報告書は厚労省事業分も含まれており、東京都事業分の検証さえ不可能。
BONDの事業計画書はアウトリーチが週1~2回程度と回数が倍半分だったり、自立支援の想定人数も書かれていない。これらは事業費に直結する事項であり、不明なままでは見積もりもできない。当然、2,600万に見合った事業内容なのか評価もできない。
COLABOは仕様書、提案書、事業計画書に記載の週1回程度のバスカフェを履行しておらず都はそのチェックをしてないし、colaboのR4事業計画書の多数の簡単な計算ミスさえ、暇空氏が指摘するまで気がつかなかった。
事業計画書から事業内容が変わっても一度も計画書の変更をしておらず形式的に提出させるだけのお飾りとして運用。
東京都の監査が実施状況報告書の様式では事業の実施状況を確認できないため、別途報告を要求。
東京都の監査が経費の積み上げによる精算としている。
再点検にて東京都福祉保健局自ら「団体が保有する帳簿」と「2,600万」とを比較し返金要否の判断。
3.東京都の稚拙な不都合な事実の隠蔽
「都が受領した資料が、受託者がいくらでも捏造や虚偽報告が可能なペラ紙の実施状況報告書しかない」という事実から逆算して正当化するためには、ペラ紙の実施状況報告書の受領をもって行った「精算」が地方自治法の則ったものと位置づけるしかない。このため都は、簡単に事実との齟齬が発覚する稚拙な論理を繰り返すしか方法がない。
そして、東京都には触れてほしくない地方自治法に反する事実があり、今回の回答でも、その話題を婉曲的に回避し納税者を欺こうとする。その話題とは「検査」である。
地方自治法第234条の2及び福祉保健局が自ら作成した手引にあるように、契約の履行の確認をするのは精算時ではなく検査である。
BONDの業務の検査は3月31日に実施されたとしているが、同日には通年の実施状況報告書の暫定版さえ提出されてないおらず、履行の確認は物理的に行えない。
行政訴訟を専門に扱う部署での合議制の裁判で、このような稚拙な工作が通じると思っているのであろうか。却って心象を悪化させるだけであろう。
4.東京都若年被害女性支援事業の「特殊な」事業計画書運用
東京都若年被害女性等支援事業は仕様書に数量的なものが夜間アウトリーチ回数(週1回程度)しかなく、事業事業内容変更の協議や事業計画書の修正もされてない。すなわち「2600万は女性支援に紐づけられれば何に使ってもOK。事業計画書に縛られる必要もないしチェックもしない」という運用がなされていた。これは東京都被害女性等支援事業(若しくは福祉局)の特殊な運用であり、通常ではあり得ない。
そこで同様に一般的に企画競争及び準委任の委託による契約がなされる公園管理事業のそれと比較してみる。
(1)人件費(人員の配置)
準委任の委託事業は「人」が重要であり、その経歴や能力によってサービスレベルが大きく異なってくると共に費用面でも大きな割合を占める。このため事業計画書で経歴明記すると共に出勤計画も明らかにする。
東京都被害女性等支援事業では経歴等が不明かつ事業のどのタスクを担っているのかも不明である。このアバウトすぎる計画では事業内容に見合った人件費であるかの検証も不可能であるし、被害女性へのサービスレベルを「推察すること」もできまい。
(2)事業計画の見直し
事業の進捗に伴い外部環境や受発注者のやむを得ない事情により、事業計画どおりの事業実施が困難になるケースがある。そのような場合には、受発注者協議の元で事業計画の見直しを行う。
しかし、被害女性等支援事業では4団体とも事業計画の修正を一切していない。契約管理が全くされていない証拠である。今更、レインボー求釈明に対して「事業計画書」に依拠した回答をしても無意味である。
私が経験したプロポーザルによる準委任契約においても、対象事業の状況変化等に基づき協議の上で配置担当及び委託金額の契約変更を行い、変更後の計画書を提出した。
(3)事業実施状況のチェック
事業計画書の履行は業務終了時だけではなく、履行期間中においても確認する必要がある。東京都被害女性等支援事業では、監査が「具体に実施状況の確認ができる報告」を要求したように、簡単に捏造が可能なペラ紙の実施状況報告書を四半期に提出させるだけであった。
公園事業については履行報告書は公表されておらず詳細は不明だが、共通仕様書を見る限り詳細なものが提出されているようである。
なお、「指定管理者管理運営業務の手引き」については開示請求を行った。


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