虚構戦記 第三の手記

「ッチ、もったいぶってねーでさっさとヤらせろよな、むかつくなあ」「本当ですよね、もし目の前にいたならメッタ◯◯にしてやりたいくらいですよね」「は?メッタ◯し?お前頭大丈夫か?引くわー」「あ、えへへ、当然冗談ですよ~、えへへ、えへへへ」

「それよりHobbyさんの著作、読ませていただきましたよ。本当に面白かったです」「…へぇ?どういうところが面白かったわけ?」こいつの名前はHobby。フォロワー15,000の中小フェミニストアカウントだ。だが、今私が所属しているアルファフェミニストDMグループのボスはこいつなのだ。

なぜこんな、性欲が皮を被ってるようなやつの機嫌を取らないといけないのか。実は、こいつが、元は有名マンガ家だからだ。それなりに名の通った、しかもフェミニストが鼻白むようなお色気漫画を書いていたこいつは、よりにもよって行きずりレ◯◯で逮捕された。要するにただの人間のクズだ。

どう考えてもフェミニスト失格で、これがバレたら大炎上するはずなのだが、なんと天上人フェミニストであり、超有名大学教授の田町様に目をかけられ、今度、更生してフェミニストになった男性として、田町様の使えるメディアの総力を上げてコメンテーターになる予定だというのだ。

フェミニスト界隈ではどうしても女性アカウントが発言力をもつ。フォロワーでいうと、洗濯物畳みマシーンや、「ねえお父さん、あのポスター気持ち悪い」の超バズでフォロワー5万人になり、エスプリのきいたツイートを毎日量産している私が名実ともに最強のフェミニストであるはずなのに、だ。

そんな折、女性だけでは偏りがあるからと、田町様の白羽の矢が立ったのが、元有名マンガ家のHobbyだった、というわけだ。正直面白くないが、こいつはバカだからレ◯◯事件のことも話してきた。筋書き通りにコメンテーターになったら、私も引っ張り上げるよう、このネタで脅してやる。今だけの我慢だ。

有名マンガ家と言っても原作者は別にいたらしい。だから、昔の作品のストーリーを褒めると不機嫌になるという情報はすでに調査済みだ。「いやー、本当にHobbyさんって絵が上手いですよね。見開きとか、本当に感動しちゃいましたよ」「へ、へえ~。なかなかわかってんじゃん」チョロいバカだぜ

今日はHobbyと、私と、あと新人フェミニストの女性2人でのオフ会だった。男性嫌悪に陥った原因を聞き出して、それが強引な性行為にあったと知るや、鼻息を荒くしたこいつが、ラブホテルでセラピーをしようと言い出したので、引き気味に辞退して帰っていった。こいついつかまた捕まるんじゃないのか?

「Hobbyさん、今度東南アジア一緒に行きませんか?案内しますよ。ベトナム人の女は特に最高なんですよね」「あ、俺女買う趣味ないから。何?お前?東南アジアに女買いに行ってんの?」「え?あっ、えへ、あの~、あっ、えへ、あの~、あ、はい、たまに、まあほら、半年に1回くらいかな、へへ」

「お前さ~……女の前では絶対そんな事言うなよ?大炎上するぞ。っつーかフェミニストを目指してるならやめろそんなの。女はな、口説いて抱くんだよ」てめーはレ◯◯犯じゃねーか。何が元マンガ家だ、ほしいもリストでつまみのカルパス乞食してAmazonのダンボールに他人のキャラ描いてるアル中が。

今日はオフ会で酒を抜いているが、こいつはムショから戻ってからアルコールが片時も離せないようになった。絵がヨレヨレなのも手が震えるからだ。トラウマになるようなことでもあったらしいが、酷く酔うとレ◯◯の思い出を語るほど馬鹿なのに、ムショの話はしないからよほど酷いトラウマなんだろう。

「いや~Hobbyさんほどの売れっ子マンガ家ともなるとモテたんでしょうね~」「まぁな、mixiって知ってるか?あそこの業界志望者オフ会とかに行くとよ、そりゃもうウハウハよ」「ウハウハですか~さすがですぅ~」機嫌も治ってきたようだ。本当にコイツはバカだが、操りやすいのは助かる。

後でオフ会参加者に、もし流出させたら同じようにトラウマ情報が流出する可能性をDMして、Hobbyの失態をいかに私がうまくフォローしたのかを上田さんに報告しておかないと。上田さんは田町様よりも位の低いフェミニストで、ツイッターでも精力的に活動しているNPO団体の代表でフォロワー数は7万だ。

上田さんには何度かHobbyのバカさ加減と、いかに私ならどうしたかという戦術・戦略をDMしているのに、たまに指示が来る以外は返事がこない。お忙しい方なので、きっと暇ができたらまとめて返信が来るのだと思う。いつ、本当にコメンテーターになるべきは私だということに気づいてくれるのか…

最近、フォロワーも5万を超えているのに、私のツイートはバズらない。バズりそうなツイートをしたあとで、DMを送って回ってもあまりRTしてもらえない。Hobbyを持ち上げる事に決まったせいだろう。苛ついていてもしょうがないので公園で花の写真を取ってアップする。「娘と散歩中見つけました」っと

定番のバズツイートといえば食事の写真だ。毎日21時を回ると惣菜が半額になるから、先にカゴに確保しておいて、シールを貼りに来た店員に差し出す。今日は牛肉のタタキ、焼き豚、鶏の唐揚げが確保できた。肉肉肉。大戦果だ。ウキウキしながらツイートする「娘を寝かしつけたら買い物の時間です」っと

丁寧に惣菜を皿に移して盛り付け、ランチョンマットの上に並べる。バレないように向かいにも皿を並べて見切れるように撮るのがコツだ。「今日も妻が遅くなると連絡があったので、娘とは別に夫婦で食事です。知的な会話に盛り上がりながら、手作りの料理でもてなしました・・・」っと。

こうやって食費を切り詰めないといけないのも仕送りが少ないせいだ。良い半額惣菜が買えなかったときは、ボンカレーで済ませている。仕送りを増やさせようと何度か試みたが、どうもこれ以上は出せないらしい。何らかの収入源を作らないと、月に1回しか東南アジアに行けない。

来週はシンガポールだ。一晩中腰を振り続ける想像で股間が熱くなってくる。部屋に戻って、シンガポールで隠し撮りした映像で鎮めようかと思ったら、寝室へ姪を連れて行く弟嫁と鉢合わせた。挨拶もしやがらない。体だけはいいんだがな・・・と見つめていると睨み返された。このブスが。

「ねえー姫ちゃん、あのおじさん早く仕事でもしたらいいのにねー?」「んー?」小さい子を使って差別発言かよ、◯してやろうか。何年も一緒に暮らしているというのに、心を開くどころかどんどん当たりが強くなってくる。一体どういう教育を親から受けてきたんだこいつは。「チッ」興が削がれた。

こないだ弟に仕送りとは別に小遣いを出すように請求したときも、「どうしても文句があるならでていってくれ、ルールを全部守ってるうちは居てもいいが。何かしたいならすればいい、この家は俺が守る」とわけのわからんことを言っていたし・・・誰のおかげであのブスと結婚できたと思ってるんだろう。

こいつらを頼りにしていてもしょうがないから、早くフェミニストとしてボロ儲けしてファンも食い放題にならないと。フォロワー5万の出世頭じゃなく、あんな、昔の栄光にすがってるだけの元マンガ家のレ◯プ犯なんて、早く見捨てられたらいいのに……やっぱりこの状況はあのHobbyとかいう奴のせいだ

「そうだ!あいつさえ居なくなれば、どうか投げても次に代わりに選ばれるのは私だ!なんで気づかなかったんだ!」思わず叫ぶ。「そうだあ~!そうだあ~!」まずは匿名のアカウントを作る。そうだ、女子大生ということにしよう。フェミニズムと出会って目が覚めた設定だ。バカ女どもはこれが大好きだ

名前は「縁」にする。プロフィールには女子大でフェミニズムに出会い、勉強中であることを書き、著名なフェミニストをフォローしていいねをしてまわった。最初のツイートはこうだ「結局、一定の良識なり見識があり、自己にプライドのある人間は、自然とフェミニズムに目覚める」完璧だ。

本アカウントもいつもどおりの運用を続けながら「縁」のアカウントを育成する。本アカウントから引用リツイートでコメントしたりもしたから、あっというまに「縁」のフォロワーは1000人を超えた。本アカウントではされたことがないのに、田町様からも一度リツイートされてしまったくらいだ。

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