外国人増を「好ましい」と答えたのは28.3%
「移民政策」の推進は、将来的な日本社会において、これまで人口のほとんどを占めていた日本人の割合が低下していく極めて大きな問題だ。
それなのに、受入れ側の当事者である日本国民にとっては、直接的な意思表示の機会すらないまま、なし崩し的に事実上の移民政策が進んできた現実がある。経済衰退や社会生活の不便を承知で人口減を受け入れつつ、引き続き日本人の国でいるか、経済規模を維持するために社会が変容しても外国人の割合を増やしていくかの「選択権」は、今の日本国民にあるはずだ。
出入国在留管理庁が23年に調べた意識調査では、「地域社会に外国人が増えることに対する感情」で「好ましい」と答えたのは、28.3%にとどまった。何となく、外国人労働者が必要だというだという流れでなし崩し的に進んでいるが、こうした現状に対する不満が、今回のホームタウンへの反発として表れたのだろう。
今後20年で在留外国人は1000万人超か
現在、移民の受け入れに関して、10%など上限を設けるべきという議論がある。しかし、この割合は、数字以上の大きな社会変化とインパクトがある。昨年は1年間で約36万人の在留外国人が増えたが、このペースが20年続くだけで、在留外国人は1000万人をゆうに超える計算になる。在留外国人は15~64歳の生産年齢人口に偏っているため、20年後の生産年齢人口に占める外国人の割合は、控え目とされる人口問題研究所(厚労省)のデータを基にしても、6人に1人程度になっている可能性がある。外国人が集住する都市部や若年層ではもっと割合が高まっているはずだ。
そうなった時、今までの社会構造や日本的な慣習の変化は免れないだろう。移民人口が増えれば、彼らの存在感や発言権が増し、欧州のように永住権や帰化がしやすく制度変更されたり、参政権など、一定の公民権もやがて認めざるを得なくなるだろう。逆にそうでなければ納税をする外国人への権利侵害にも繋がってしまう。移民の支援を受ける議員も増え、欧米のように出身民族単位で支持政党が分かれるなど、利害対立や分断が日本でも本格化する可能性もある。