「抜け穴」だらけの在留資格制度
そもそも、「移民政策」かどうかは、移民希望者から見て、利用できる制度や在留資格が、移民目的として活用できるかが全てと言っていい。彼らにとっては政府が在留資格に定めた趣旨や目的は関係ない。
例えば、全体の約6割が中国系であり「中国人用の移民ビザ」とも揶揄される「経営・管理」を使ったり、「留学→就業ビザに切り替えて国内企業へ就職」という方法もある。これらは永住権取得や帰化へのステップとしても活用される「移民ルート」だ。政府はもちろんこれらの状態を移民政策だとは説明していない。
他にも、「クルド人問題」で明らかになったように、観光ビザで来日して難民申請を繰り返せば(現在は2回まで)、脱法的な長期滞在が可能だ。またテレビ朝日の報道によれば、大阪万博の滞在のためのビザで来日したアフリカ出身者による、就労系のビザへの切り替え希望者の相談が行政書士事務所に複数寄せられているという(「万博で日本に入国…『帰りたくない』 就労ビザに切り替えたいとの相談相次ぐ」テレ朝NEWS、2025年9月16日11時配信)。こちらも難民申請を検討する者もいるという。彼らが移民目的ではないと説明するのは困難だろう。
取材に対し、JICAの担当者が答えたこと
その意味で、ホームタウン事業に関しても、移民目的として利用できる制度なのかが、「移民に繋がる事業」かどうか、の全てと言っていい。
現在、政府が明確に「誤報」と説明しているのは、公的・法的に元々、存在しない立場の「移民」の受け入れ促進と、「特別ビザの“新設”」のみ。否定の仕方も「想定されていない」と、トーンの弱い表現となっている。やはりアフリカ4カ国の人々の住民登録を伴う3カ月以上の国内在住や、既存の在留資格の活用自体をなんら否定するものではないのだ。
JICAの広報担当者は取材に対し、以下のように答えた。
「『アフリカ・ホームタウン』は交流目的でインターン生を受け入れる研修事業です。長期か短期か、いつまで続くか、また、在留資格など詳細は現時点で決まっていません。過去のJICAの研修事業では、様々な目的のもと、大学や団体、企業でインターン生の受け入れ支援を行い、その後のインターン生は帰国することもあれば、国内に就職することもありました」