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AIで作るギャルゲー開発記④「キービジュアル(集合絵)を作る」

ギャルゲーのキービジュアルというと、メインヒロインがパッケージを飾っているタイプと、ヒロインが全員描かれているタイプの二つがよくあるパターンです

今回は公式サイトのトップTwitterのヘッダーのために使うことを想定していました。おそらく横長の絵になるでしょう。
となると、ヒロイン一人で余白を作らない構図にするのはちょっと骨が折れそうです。ヒロイン全員をいい感じに並べる方がよさそうな気がします。

しかし、AIに絵を描かせる上で、複数のキャラクターが登場する絵は鬼門です。

その厄介さと、なんとかしていく様子を紹介していきます。

画像1枚でわかるキービジュアル制作の流れ

今回は手数が多く、省略した行間にも作業が詰まっています。
雰囲気は感じ取れそうなダイジェスト画像がこちら!!

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こんな感じ!

では、本編に入っていきます。

メイキング

失敗例

手順を紹介する前に、AIに集合絵をそのまま描かせるのは無理という話について、失敗例をもとに触れていきます。

キービジュアル制作で最初に試したのは「とりあえず立ち絵は全ヒロイン用意してあるから、いい感じに並べてimg2imgすればそれっぽくなるんじゃね?」というやり方でした。

まあ、見事に大失敗したんですが。大失敗すぎて元画像が残っていません。再現として、完成品のキービジュアルを元絵にして試してみましょう。

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なんということでしょう

5人分のキャラクターの特徴を維持できません。髪型髪色etc……結構変わっちゃってます。
加えて描画対象が多すぎるせいで一つ一つのパーツの描き込みが甘いです。

そもそも「5人女の子が並んでいて、1番右の子の髪型と服装はこうで、右から2番目の子は……」みたいな複雑な指定をしたプロンプトを、AIに理解できる形で渡すのがほぼ不可能でした。

また、描画パーツが多すぎてガチャをするのも非現実的です。AIが上手く描いたり描かなかったりしそうなパーツが10や20じゃ足りません。
10連が欲しいSRとSSRだけで埋まる……ぐらいのガチャ要求です。リセマラでも絶対やらない。
流石に直で描かせるのは無理という結論を出してよいのではないでしょうか。

集合絵を一発生成するのが無理筋ならどうするか。
AIに複数の絵を生成させ、人の手で合成するというのが妥当そうです。

この段階で「背景付きのイラストにするのはしんどい」と察しました。
公式サイトのデザイン的にもヒロイン5人だけが描かれた透過画像が欲しかったため、これを最終形として目指していきます。

全体のラフを作る

とりあえず、それっぽい構図とポージングでキャラクターが5人並んでいるラフを作っていきます。

失敗例にもある通り、5人も描いてキャラクターの特徴を維持することは不可能です。よって、構図以外はこだわらないものとします。

色んなアイデアが欲しかったので、「5人の女の子」「無重力」「様々なポーズ」みたいなプロンプトを突っ込んでいます。
見ていきましょう。

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有象無象

人体が崩壊したり、人数が明らかに増えていたりとヤバめの絵が目に付きますが、バリエーションとしてはよさげです。
無重力プロンプトのせいで宇宙を呼び出すことがあります。

時々マジの抽象画みたいな恐怖画像も出てきましたが、めげずにガチャって選んだラフがこちら。

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採用ラフ

まあ、無難な構図では無いでしょうか! 5人がほぼ均等なサイズで描かれ、全身が写っているのがポイント高いですね。
これをベースにして、img2imgで軽くリテイクします。背景の模様が邪魔なので、それを消すのもサブ目的です。

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リテイクして調整

こんな感じ。この時点で完成品のキービジュアルの面影が見て取れますね。

1キャラの全身絵×5に分解する

早くもペイントツールを握る時間がやってまいりました。
なげなわツールを巧みに使い、5人が並んだ1枚の画像を、5枚のキャラ単体全身絵に分解します。

さらに、バラした画像に上から正しい髪型や服装の色を塗り重ねていきます。
5人分の1枚絵を作った後、それを元のラフに合わせて重ね合わせるわけですね。

細かいところはAIに任せる心意気で、ざっくり塗りつぶした下絵たちがこちら!

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まあまあ

AIが解釈するには十分なので、こんなもんで大丈夫です。

各キャラの絵をブラッシュアップする

再びAIのターンです。
どうにかこうにか作成した各キャラの下書きを、AIにいい感じにしてもらいます。

手順は立ち絵作成とほとんど同じなので、ダイジェストでご紹介します。
詳細はこちらをどうぞ。

では、手描き感あふれる下書きをベースにキャラを描いてもらいましょう。ガチャは省略して、こうなります!

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かわいい
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かわいい
画像
かわいい
画像
かわいい
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かわいい

あの下書きがこのクオリティになるんだから感動しますね。

念のため、元の構図に合わせて絵を重ねてみます。
これで何か破綻があったら泣きながら手直しとか生成リセマラとかする必要があります。

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よき

……大丈夫そうですね!

では、これらの絵を更に「顔」「上半身」「下半身」に分離し、クオリティアップした上で合体させましょう!
1枚の絵を描くために15枚のパーツ作ってる……。

最終的なキービジュアルに採用されるヒロインたちの画像がこちら!

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微調整の範囲と言ってしまうこともできますが、個人的にはこの工程を挟むか挟まないかでかなりクオリティが違う気がしますね。

画像を合成する

素材は揃いました。
完成した5枚の絵をラフに合わせて配置し、適宜調整していきましょう。

キャラクターの距離感や、髪型と服装が変わったことによるバランスの変化と合わせて、それっぽくなるよう弄っていきます。
キャラどうしが重なってゴチャついた場所は消しゴムをかけたり、目につく範囲で気になった場所を修正して……。

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完成!

長い戦いでした。1週間くらいかかったはず。
公式サイトに使う画像はこのまま、Twitterのヘッダーやら何やら用の画像はそれっぽいグラデ背景を足して完成です。

実際の使用例も載せておきます。

おまけ:AIで作らないタイトルロゴ

絵を描くAIに文字は描けません。
タイトルロゴばかりは自力で何とかするほかありませんでした。

※ 最近は文字も描けるAIもあるらしいです。日本語もいけるんでしょうか。

やったことと言えば、それっぽいフォントを見繕い、それっぽく文字の並びを上下にずらし、それっぽい傘のアイコンとそれっぽい雨をイメージしたラインを追加したことくらいです。

この手のデザインはロクにやったことがないので、形になるまで「ロゴごときのせいで企画が頓挫するかもしれない……」という恐怖と戦い続けていました。

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タイトルロゴ

完成品がこちら。割とそれらしくなったのではないでしょうか。
まあ、絵と比べれば些細な要素なのでぱっと見から雰囲気を壊さなければOKとします。


次回は記事の公開に合わせて公式サイトを更新する予定です。乞うご期待!

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  • 6本

コメント

3
でんでん
でんでん

手順記事それぞれ拝見しましたが、どれも参考になりました!
手間暇がすごい……!
自分が雑魚GPU環境なので、よろしければどのグラボ使ってるのかお教えいただけませんか? 今後の参考にしたいです!

シガナ
シガナ

>でんでんさん
ありがとうございます!
クオリティ80%くらいの絵はAIで簡単に出せますが、だからこそ残り20%を詰めるか詰めないかで見栄えが全然違うな、という感想が強いです。

グラボですが、GeForce RTX 3060の12GBモデルを使ってます。
生成できる画像サイズはVRAMメモリで限界が決まるので、値段とメモリサイズのバランスを取って選びました。
性能を上げれば生成速度も上がるはずですが、そっちは青天井で際限がないので……。
参考になれば幸いです。

でんでん
でんでん

ご返信ありがとうございます!
今後自分の環境見直す際に参考にさせていただきますね。
ゲーム制作も応援しています!

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AIで作るギャルゲー開発記④「キービジュアル(集合絵)を作る」|シガナ
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