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AIで作るギャルゲー開発記③「イベントCGを作る」

ギャルゲーに表示されるグラフィックは、大別すれば2種類です。
立ち絵と、イベントCG
あ、UIとかは考えないものとします。

立ち絵を作る様子は前回記事にしたので、こちらをご覧ください。
今回はイベントCG編です。

画像1枚でわかるイベントCG制作の流れ

今回もあります。
現代社会にぴったりな、タイパの良いダイジェスト画像がこちら!

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これはひどい

なんというクソ発注でしょう。

では、本編に入っていきます。

メイキング

今回は立ち絵の時とは別のヒロイン、加賀見 蛍(かがみ けい)のイベントCGです。
彼女のCGは、今回の制作手順のお手本の例とも言うべきものでした。
大変さでは上から2番目くらい。

ラフを描かせる

イメージが固まっていて、それを最低限でも出力できる人は自分で描いてもいいでしょう。私はやめておきました。

ラフの目的は、構図の確定です。それ以外は全て些事と言っていいでしょう。
つまり、こういうことです。

  • 表情が崩れまくっていてもいい

  • 髪型がちょっと違っても気にしない

  • 服装とか気にしてる場合じゃない

  • とにかく、ポーズと重要なモチーフが出てくるまでガチャる

蛍はバンドマンという設定のキャラクターで、本編でもそれを前面に押し出したシナリオを予定しています。
よって、CG1枚目は「公園での弾き語り」にすることだけ決めていました。
よってプロンプトの指定はこんな感じ。

  • セーラー服(スカーフの色は赤)

  • 背景は公園

  • ギターを弾いている

  • ベンチに座っている

  • 目を閉じて歌う

では、出力!

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うーん……?

どこ座ってるの????
地べた? でも椅子っぽい座り方してない? 埋まってる??

あと、表情はこだわらないとは言え、ちょっとイメージと違うかも。目閉じは^^じゃなくて∨∨がいいんですよね。
調べたら、sleepingとかだとそれ系の目が出やすいらしい。

プロンプトを調整して再出力!!

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寝た

あっ……。

まあ、ともかくプロンプトの調整を繰り返してラフを切っていきます。
今回はイメージが固まってるのでそれに近い構図を求めますが、そうでない場合は適度に指定を緩くして、色んな構図を出してもらうとアイデアをもらえて嬉しいです。

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ラフ案1
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ラフ案2
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ラフ案3 採用ラフ

ラフ段階でだいたい200枚ほどガチャっています。
ちなみに今回のCGでは、比較的わかりやすい(前例がたくさん存在する)構図だったのでラフを切るのは楽な部類でした。
そのため、この時点でちょっとディティールも取捨選択しています。

ユニークな構図を作ろうとするほど、凝ったプロンプトを書き、言うことを聞かないAIになんとか軌道修正させる必要があります。
一番苦戦したラフは、ラフを作る段階で3、4回リテイクを繰り返してようやく形になったレベルです。

服装のイメージが合わない(色が違う、シャツルックの制服なのにジャケット着ちゃった)ときは、一瞬のクオリティ低下を恐れず自らの手で欲しい服の色で塗り潰したりもします。けっこう常套手段です。
それを下絵にAIが描いた絵はいい感じになるので大丈夫。

リテイクする

ここではラフを元画像としてimg2imgを行い、細かいディティールを詰めていきます。
コツはこんな感じ。

  • ポーズや背景を指定するプロンプトを弱める、一部は消す

  • ディティール部分のプロンプトを強める、一部増やす

  • 出力解像度を上げる

ゼロから描いてもらっていたラフと違い、下絵があるので大まかな部分の指定は弱めても下絵を参考にして描いてくれます。
逆に、ディティール(制服のスカーフの色、スカートのチェック柄、髪型の雰囲気)のプロンプトを強め、細かいところを詰めてもらいます。

あと、解像度は大事です。でかい画像を出力すると描き込んでくれます。
GPUで殴れ

では、出力!

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よさげ

ディティールの雰囲気はいい感じになってきましたね。
もうちょっと静かめに歌っているイメージがあるので表情のニュアンスも調整したいところ。

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アグレッシブベンチ

椅子が……マイクになってる…………!

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おっ

よしきた! これですよこれ。この表情!
背景に人工物の気配が少ない
のもイメージと合ってていいですね。ビルとか写り込んだりする出力も結構ありました。

さらにリテイクする

さて、リテイクした画像もまだまだ気になるところがあります。
キャラクター周りはまあいい感じですね。髪型をちょっと調整したいくらい?
ヤバめなのは背景です。特にベンチとギター。

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ベンチの背もたれが途切れてたり、ギターヘッド長すぎだったり

このあたりはAIがやや苦手な表現がてんこ盛りなので、少し手を入れてからリテイクしてもらいましょう。
今日のスーパー雑コラタイムです。

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手直し後の画像

きょ、今日はこんなもんで勘弁してやる……。
CGは立ち絵より雑コラが大変です。透過しないので消した部分は近場の背景の色で埋めなければいけません。

ベンチの木枠を埋め、ギターヘッドを少し削ぎ、あと髪をちょっとウェーブっぽくするためにハネっ毛を増やしました。
じゃ、AIくんあとはよろしく!!

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いいじゃん

いいじゃん……!

が、やっぱりベンチの木枠は破綻していますね。
AIはここがめちゃくちゃ苦手で「キャラクターを挟んだ背景の右側と左側の連続性を保てない」というミスをすごい頻度でやらかします。

背景とキャラを別々に出力する手も考えられますが、そうするとキャラの影が描かれずに光の当たり方が変なCGになりそうな気もするんですよね……。研究課題!

自分で直す

ここまで来たら、完璧なものをAIに求めるのはしんどくなってきます。
スーパー雑コラタイムその2ですね。

先ほど触れた通りベンチがヤバいとかはわかりやすいところですが、ギターもまだまだヤバいです。拡大表示でご覧ください。

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oh

弦がズタズタです。本数も……これ合ってるの? ダメそう。
ギターには詳しくないですがギターヘッドもダメな気がします。このデザインのギターだと留め具は上下に3つずつなのでは?
あっ指も溶けてますね。見れるくらいまでは直したい。

最近バンドアニメを見て得た知識()とGoogle画像検索の力を借りながら弦を張り直していきます。

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ネタバレ:ピックは描き忘れた

なんとかしました。サンキュー直線ツール。
まーーーーーーギターに詳しい人が見たら気になるところ満載でしょうが、そこまででもない人にパッと見でバレなければ許容範囲とします。
大丈夫ですって! 見る人の9割はかわいいキャラクターに目が行って細かいギターの破綻には気づかないはずなので!!

ベンチ問題にも挑んでいきます。
幸い、ベンチについてはボツ画像の中にいい感じの木材の切れ端が大量にあります。その辺りを引っ張ってくるのもアリですね。

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切れ端の例。これも良い出力だった

コラと手作業と指先ツールによる馴染ませを行使して、誤魔化し誤魔化しで組み上げていきます。画力が欲しい!!!!

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完成品

できました!! かなりいい感じではないでしょうか。
あっ、記事で紹介した手直し箇所を拡大して見るのはおやめください。後生ですから。

おわりに

イベントCG作成編でした。
もっといいやり方、別のやり方を思いついたり見つけたりしたらまた記事にします。
モデルとかAIの進化でもっと楽に作れるかもしれないし! 楽しみ!

さて、第2回、第3回で立ち絵やイベントCG画像をAIで作る様子をお届けしました。

尺の都合で、記事で紹介したのはヒロイン一人分の画像だけですが、本ゲームの攻略可能ヒロインは5人を予定しています。
そんな紹介しきれなかったヒロインたちについては、こちらのサイトをご覧ください!!

本公式サイトでは現在、あらすじ、立ち絵付きでヒロイン5人のプロフィール、各ヒロイン1枚ずつのイベントCGギャラリーを掲載しています。
これからもコンテンツを拡充していく予定です。乞うご期待。

このサイトで使っている画像のうち、まだ解説していないものが一つありますね。
次回はそれについての記事を予定しています。


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