成田空港周辺の開発用地を多人数の出資金で取得し、賃料収入を得る不動産投資商品「みんなで大家さん」(成田商品)の配当が遅延している問題を巡り、出資者44人が、不動産を運用する「都市綜研インベストファンド」(大阪市)に対し、出資金計約6億9000万円の返還を求め、大阪地裁に提訴したことが原告代理人への取材で分かった。
◆7月末から配当滞り数千人が解約申請、手続き進まず
原告代理人の鈴木祥平弁護士=みずがき綜合法律事務所=によると、原告は北海道から沖縄県までおり、多くは高齢者。8月末から順次提訴しており、最も多い返還請求額は7000万円に上る。今後も原告は増える見通しという。
成田商品は、空港近くの45万平方メートルの用地に複合商業施設などを建設する大規模開発計画を巡る商品。都市綜研インベストファンドは、開発事業をするグループ会社に用地を貸し出し、得た賃料を出資者に分配していた。
年間7%の想定利回りをうたっていたが、7月末から配当の遅延が続いている。造成工事も4年8カ月遅れている。
昨年6月に大阪府と東京都が業務の一部停止を命じたことをきっかけに、出資者からの解約申請が殺到。関係者によると、数千人が解約を申請しているが、手続きは滞っているという。みんなで大家さん全体の出資者は昨年4月末時点で約3万8000人。
鈴木弁護士は「解約を申し込んでから1年たっても、手続き書類が届かない原告もいる。お金はどこに消えたのか」と疑問視する。
同社の親会社の共生バンク(東京都千代田区)は東京新聞の取材に「誠実に訴訟対応する」とコメントした。(井上真典)
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◆小池知事「都として国、大阪府と連携しながら対処」
東京都の小池百合子知事は19日の定例記者会見で、都の対応を問われ、「都として国、大阪府と連携しながら速やかに必要な調査をし、処分をしてきている。引き続き法律に基づいて適切に対応していく」と強調。
みんな社側に対しては「投資をした人にいかに約束をした配当を行うか、これに尽きるというふうに思っている」と述べた。
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