ロシアによるウクライナ侵攻開始から3年半が経過したが、いまだに収束が見えない。

 8月15日から、米ロ首脳は米アラスカ州アンカレジで会談した。しかし、どうひいき目に見ても、会談は成功とは言いがたかった。トランプ大統領は会談後、プーチン大統領とゼレンスキー大統領の首脳会談を実現させたかった。しかし、プーチン氏はモスクワ開催という高いハードルを突きつけて事実上拒否した。

 率直に言えば、プーチン氏は戦争の終結に対する関心を一切示さず、会談後にウクライナへの軍事行動をエスカレートさせた。欧米に対し、まるで挑発の度合いを強めているようだ。その背景には、プーチン氏の野望、ウクライナ全土を掌握したいとの意向が見え隠れする。

 ではどうしたらいいのか。2022年の侵攻以降の米国による対ウクライナ支援の総額は約1850億ドル(27・1兆円)。欧州の支援額は米国を若干上回る。一方、制裁で凍結されたロシアの国家資産3300億ドル(48・3兆円)は、西側諸国の銀行にそのまま残されている。その資金はウクライナの向こう3年間の国防などに充てられることは決まっている。

 その上で、ロシアの継戦能力をそぐには、ロシアのエネルギー収入を断つのがいい。侵攻開始以降、西側諸国によるロシア産天然資源の輸入額は対ウクライナ支援額を上回る。理想的には、ロシア産の石油と天然ガスを誰も買わないのが一番よい。ロシア政府の収入が激減すれば継戦能力はそがれていく。

 そうなると、世界のエネルギー市場にロシア産が出回らなくなり、エネルギー価格が高騰。どこかの国が抜け駆けして、ロシア産を購入するだろう。いくらロシア産を買わないように禁止措置や制裁をかけても、抜け穴はいくらでもある。

 そう考えると、ロシア産を買わないように、西側諸国だけに圧力をかけるのは得策でない。エネルギー量の規制だけではなく、価格を下げれば、結果としてロシア経済が回らなくなるのは同じだ。

 そのためには、米国がエネルギー増産に乗り出せばいい。例えば、米国はインドに対しロシア産を購入しているとして関税制裁をかけているが、日本が間に入り、中東からの日本向けエネルギーをインドに振り替え、その代わりに日本は米国からエネルギー購入する「エネルギー・スワップ」などの案が考えられる。

 安倍晋三氏がご存命であれば、こうした地球儀を俯瞰(ふかん)するダイナミックな外交もできただろう。

(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

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