「その人らしさ認めて」 札幌でトランスジェンダー勉強会 性と生殖 決めるのは自分

 生まれた時の性別と性自認が一致しないトランスジェンダーの人たちをとりまく現状を学ぶ勉強会「トランスジェンダーのいま」が札幌市内で開かれ、「トランスジェンダー入門」(共著)などで知られる群馬大准教授の高井ゆと里さん(35)=倫理学=、性別適合手術を受けていない当事者会「ノンオペ・トランスジェンダー北海道」会長の大井まりあさん(63)らが語り合った。トークセッションと、高井さんの講演を詳報する。

トークセッションする高井ゆと里さん(右)と大井まりあさん(西野正史撮影)

「やっと自分になれた」

 ――大井さんは今年8月、戸籍上の性を女性に変更しました。
 大井さん それまでは、マイナンバーカードや診察券の性別欄を目にする度、「おまえは男だ」と突きつけられているようで、とても苦しかった。60年生きてきて、やっと自分になれたと感じる。自分らしく生きる第一歩になった。

「やっと自分になれた」と語る大井まりあさん(西野正史撮影)

 ――医療の地域格差についてはどう思いますか。
 大井さん 地方と都会では受けられる医療に格差がある。性別適合手術ができるのは道内では札幌だけ。診療希望者が殺到し、抽選になっている現状もある。
 高井さん 戸籍上の性別を変えるには「2人以上の医師の診断を受けている」ことが法で求められている。医師の診断をもらい、安心感を得られた人がいる一方、「診断をもらっているのが本物」という格差を生んできたのも事実。医療と法律を結びつけてしまったことは問題だと思う。本来、性別を変更したいという思いと手術を受けるかどうかは別の話だ。

勉強会で「状況は人それぞれ異なることを理解してほしい」と話す高井ゆと里さん(西野正史撮影)

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いじめ、離婚、自殺未遂… 63歳でやっと手にした女性戸籍 札幌のトランスジェンダー大井さんの思いは?
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