では、なぜ悠仁さまの旗は成年式で掲げられ、愛子さまの成年式では、旗が掲げられなかったのか。
宮内庁に、旗の掲出が皇族男子に限られた理由を尋ねると、こう回答した。
「親王成年式の先例を踏まえ、今回の成年式においても『親王旗』を立てることとした」
先例を踏まえ、というのは無難な回答ではあるものの、今後のために実情を踏まえて再検討してほしい――。そう、指摘するのは、皇室制度史や儀式に詳しい京都産業大の所功・名誉教授だ。
「いま、天皇陛下を支える皇族方の多くの公務は、宮妃そして愛子さまや佳子さまなど若い世代の皇族女子が担い、皇室が多くの国民に理解される役割を果たしていることは、誰の目にも明らかです。しかし、それにふさわしい制度になっていないのが現実です」
少し立ち入って現状を見ると、不均衡は少なからずあるようだ。
たとえば、内廷外の皇族が生活全般に使う費用もそうだ。その額面は、皇室経済法によって定められ、皇族1人あたり年額3050万円を基準とし、皇嗣のような身位や男女の区別、独立の有無、成年か未成年かによって増減する。
独立前の皇族費は男女ともに同じで、内親王の佳子さまも親王の悠仁さまも同額。しかし、独立して生計を営む段階になると、親王は定額の3050万円が支給されるのに対して、内親王は半額の1525万円と差が生じる。
前出の所さんは、皇位継承の有無や順位とは別問題としたうえで、こう話す。
「皇族費を見ると、男女で格差がつけられています。しかし、成年に達すれば、天皇陛下を支えるために、それぞれの宮家に割り当てられた公務を担う。その公務の内容に、男女で本質的な違いがあるわけではありません」

















