成年の行事に臨む天皇家の内親王、愛子さま。ティアラとイヤリング、首飾り、左右の腕飾り(ブレスレット)、勲章をつける大綬(だいじゅ)留めのブローチを合わせた5種類の宝飾品とローブデコルテのドレスで臨む=2021年12月5日午後0時48分、皇居・宮殿西車寄
成年の行事に臨む天皇家の内親王、愛子さま。ティアラとイヤリング、首飾り、左右の腕飾り(ブレスレット)、勲章をつける大綬(だいじゅ)留めのブローチを合わせた5種類の宝飾品とローブデコルテのドレスで臨む=2021年12月5日午後0時48分、皇居・宮殿西車寄

 では、なぜ悠仁さまの旗は成年式で掲げられ、愛子さまの成年式では、旗が掲げられなかったのか。

 宮内庁に、旗の掲出が皇族男子に限られた理由を尋ねると、こう回答した。

「親王成年式の先例を踏まえ、今回の成年式においても『親王旗』を立てることとした」

愛子さまは初めての「鴨場接待」に、佳子さまと臨んだ。ふたりのプリンセスの接遇に周囲も笑顔に包まれた=2025年2月14日、新浜鴨場、JMPA
愛子さまは初めての「鴨場接待」に、佳子さまと臨んだ。ふたりのプリンセスの接遇に周囲も笑顔に包まれた=2025年2月14日、新浜鴨場、JMPA

 先例を踏まえ、というのは無難な回答ではあるものの、今後のために実情を踏まえて再検討してほしい――。そう、指摘するのは、皇室制度史や儀式に詳しい京都産業大の所功・名誉教授だ。

「いま、天皇陛下を支える皇族方の多くの公務は、宮妃そして愛子さまや佳子さまなど若い世代の皇族女子が担い、皇室が多くの国民に理解される役割を果たしていることは、誰の目にも明らかです。しかし、それにふさわしい制度になっていないのが現実です」

天皇陛下を先頭に皇族方が三笠山と呼ばれる小高い丘に並び、園遊会が始まった。高齢の常陸宮さまは欠席され男性は天皇陛下と秋篠宮さま。女性の皇族の存在と活躍を抜きにして皇室公務は語れなくなっている=2025年4月22日、東京・元赤坂の赤坂御苑、JMPA
天皇陛下を先頭に皇族方が三笠山と呼ばれる小高い丘に並び、園遊会が始まった。高齢の常陸宮さまは欠席され男性は天皇陛下と秋篠宮さま。女性の皇族の存在と活躍を抜きにして皇室公務は語れなくなっている=2025年4月22日、東京・元赤坂の赤坂御苑、JMPA

 少し立ち入って現状を見ると、不均衡は少なからずあるようだ。

 たとえば、内廷外の皇族が生活全般に使う費用もそうだ。その額面は、皇室経済法によって定められ、皇族1人あたり年額3050万円を基準とし、皇嗣のような身位や男女の区別、独立の有無、成年か未成年かによって増減する。

 独立前の皇族費は男女ともに同じで、内親王の佳子さまも親王の悠仁さまも同額。しかし、独立して生計を営む段階になると、親王は定額の3050万円が支給されるのに対して、内親王は半額の1525万円と差が生じる。

 前出の所さんは、皇位継承の有無や順位とは別問題としたうえで、こう話す。

「皇族費を見ると、男女で格差がつけられています。しかし、成年に達すれば、天皇陛下を支えるために、それぞれの宮家に割り当てられた公務を担う。その公務の内容に、男女で本質的な違いがあるわけではありません」

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