中間管理職の女性Ｗ様から「本質的な話はできるけど細かい話ができない部下がいる。人としては最高なんだけど、仕事ができないから上司からは最悪の評価を得ている。部下もそのことを感じているから萎縮している。人の悪い面ではなく良い面を見ようと言うけれど、さて、どうしたものでしょうか」とご相談をいただいた。私は、身も蓋もないけど「やめちまえよ」と思った。能力がないのではなくて、適性がないのだと思う。合わない環境で自分を擦り減らすのは資源の無駄遣い。自分に合う場所は必ずあるから、そのことを信じて、合わない職場なんてさっさとやめちまえよ。

身も蓋もないことしか言えない。寄り添えない。死にたいなら死ねと思う。止めない。自由。氷のように冷たい愛は死ぬことさえも許容する。翼を授けて崖から突き落とす。死なないようにしがみつくより死んでもいいからフライハイ。慰めて欲しがっている人を慰められない。期待やコントロールを感じた途端に「嫌だ」となって拒絶する。俗世をうまく生き延びる方法なんて知らない。死んでもいいから好きなことをやる生き方しか知らない。うまくやろうとする人にまったく共感できない。うまくやろうとすることに価値を感じられない。損得勘定以外の行動規範を感じられない人間に興味がない。関心が持てない。損な方に賭ける気骨や愚かさがない人間とは友達になれない。

私には四歳年上の兄がいる。小学六年生の時、兄の教材を使って英語を勉強してみたいと思って、独学で中学三年間の英語をすべてマスターした。英語の構造を理解することが面白く、わからないことがあれば兄に聞き、筆記体も覚えた。中学に入り、英語の時間が退屈だから完全自殺マニュアルを読んでやり過ごしていたら、英語の教師から授業態度が悪いと怒られて、テストは百点だったのに五段階評価で四をつけられた。この時だと思う。私は、権威や権力に強烈な違和感を覚えて、いい子をやめた。それ以来、まったく勉強しなくなった。学校は、楯突く力を学ぶ場所となった。

そのまま高校三年まで０点が続き、０点主義を完遂させたところで「大学に行きたい（正確には地元を離れる言い訳に大学を使いたい）」と思い、怒涛の勉強をした。一日十八時間勉強した。まったく苦ではなかった。乾いたスポンジが水を吸い込むが如く、脳味噌はあらゆる知識を吸収して、全国模試では奇跡の偏差値８１を叩き出した。担任の教師からは「お前に行ける大学はない」と言われていたが、偏差値８１のスコアで黙らせた。態度を変えた教師から「君はやればできると思っていたよ」と言われて、権威に対する反感を強めた。お前に褒められるために生きている訳ではない。ごぼう抜きの快感のためだけに身を捧げた。

結局大学は一年で辞めた。そんな男に「職場が合わない」的な相談をすることに意味はない。興味のない勉強をするくらいなら閨房術を学べ。真の快楽を知らない人間が多過ぎる。アダルトビデオのように女に突進するばかりで、急速に果てる。女の悦びなど意識になく、女の悦びによって引き起こされる男の充足した快感についても、全く無知なのである。自分を殺して男に仕えることしか知らない女の不幸。あまりの稚拙さに呆れ返る。もっと他にやることがあるだろ。頭ばかり使っているからダメなのだ。体を使え。自分から動け。受け入れるなんて中途半端なところで満足をしていないで、ぶつかる。受け入れるだけではなく、ぶつかる。一線を越える。馬鹿にされてもいいから、一線を越えて放擲をすることで、真性の狂気は花開く。それを知らずに死ぬなんて馬鹿だよ。