活動の原動力は「戦争を止めること」
警察庁によれば中核派の構成員は約4700人。中核派全学連は、中核派の下部組織の位置づけだ。現在、全国の大学に約100人いて、うち約3割は女性だという。今年はすでに全学連だけで13人の逮捕者を出し、うち1人が起訴されている(8月現在)。
矢嶋さんに逮捕歴はないが、
「獄(刑務所)に入るのも覚悟しています」
今は大学に通いながらアルバイトで生活費を稼ぎ、活動を続ける。
活動の原動力は、「戦争を止めること」。台湾有事が起きれば、日本は米国と一体となって中国と戦争し、九州や沖縄が戦場となり、多くの住民が犠牲となる。それを絶対に止めなければいけないと、力を込める。
「いま日本はアメリカと合同軍事演習を繰り返し、一部の日本の政治家は核シェアリング(共有)を訴えています。戦争を止めるためには、戦争を進める日本政府を倒すことが必要です」(矢嶋さん)
女性差別を根本から変えたい
学生運動のピークは1960年代後半。長期化するベトナム戦争や日米安保条約改定などに反対し、社会の変革を目指して運動を展開、機動隊とも衝突を繰り返した。だが、70年代に入り、内ゲバや武装闘争のエスカレートなどで急速に支持を失う。今では学生活動家は少数となり、イデオロギーによる対立も終焉を迎えた。そんな中、なぜZ世代の女性たちが「革命運動」に身を投じるのか。
京都大学文学部3年生の池之端紗衣さん(21)は、大学入学とほぼ同時に、中核派全学連に加入した。
「女性差別を根本から変えられるのは全学連の運動だけです」
中学生の頃から女性差別に問題意識を持っていた。特に、祖父が母親に「女は大学に行くな」という趣旨の発言をしていたことを知り、理不尽さに衝撃を受けた。フェミニズムに関する本には「女性はこうすれば仕事でも活躍できる」と書かれていたが、男性はこんなことを考えなくても自由に仕事を選べる現実を見て、「女に生まれた以上は超えられない壁がある」と絶望し、諦めていた。
2023年に大学に入学。京都大学に進学した理由は特にない。文学部を選んだのも、「なんとなく人類学をやりたかったから」。入学すると、全学連が開催していた「革命的女性解放」の学習会に参加した。そこで、「女性差別は、私有財産制と資本主義に原因がある」という提起に触れ、強く納得した。
約1万2千年前から1万年前に狩猟採集社会から農耕が発展し、階級と同時に私有財産制が生まれ、外で働く男性は地位を高め、女性は家事労働に縛られ差別が制度化された。さらに資本主義の下では、女性は非正規雇用や低賃金で働くことを強いられ、差別が続いていると学んだ。

















